蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

うらおもて人生録

2008年06月21日 | 本の感想
うらおもて人生録(色川武大 新潮文庫)

著者の生涯を聞き書き風にまとめたもので、ばくちを通して会得した奥深そうないくつかの箴言みたいなものが印象に残る。

①なにもかもうまくいくということはありえない。相撲でいうと常に9勝6敗をめざすのがよい。

②プロは持続を旨とすべし。そのためにはフォームを崩してはいけない。好調時こそフォームが崩れやすく、やがてスランプに至る。

③フォームとは、これだけをきちんと守っていれば、いつも六分四分で有利な条件を自分のものにできる、そう自分で信じられるもの。

④運とは技術や気力体力以外のもの。実力以外のすべてのもの。

⑤ただ生きているというだけで、なにがしかの運を消費している。しかし、一生を通じていえば運の量はゼロ(プラスマイナスで相殺される)。運も不運もあるようでない。運を使いすぎた人は子孫に影響を与える。

⑥原因が結果を呼ぶということは、実力の部分。実力は負けないためのもの。自分の実力は発揮できるように修練が必要。

⑦プロ同士の戦いでは、放っておけばエラーはしない。そこで相手の神経を揺らしてセオリーを完全に使いこなせないようにさせるための作戦をこらす。

⑧三つの決め事。一、一箇所で淀まない。二、ゆっくりと一段ずつ、あわてないで。三、しかし後戻りだけはしない。
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