「裁かれるは善人のみ」

Leviathan　　2015年　　ロシア　　DVD
Leviathan：リヴァイアサン＝旧約聖書（『ヨブ記』『詩編』『イザヤ書』など）で、海中に住む巨大な怪物。



≪ストーリー≫
ロシアの北部のかつての漁師町、祖父の時代から海辺に住むコーリャは、市から立ち退きを命じられている、
違法を訴えるが行政も司法も権力の味方、
そこで、モスクワにいる友人で弁護士のディーマに助けを借ります、
訴訟の結果は、市長の勝利に終わり、コーリャたちはやり切れません、

しかし、ディーマは市長の過去の悪を握ってて、最後の切り札として市長を脅します、
検察官たちと共有しているその悪に、コーリャへの賠償金を支払うことを約束します、

コーリャには美しい後妻のリリアが居て、ロマという先妻の子も居るんですが、
ことがうまく運んだその日、弁護士とリリアが関係を持ってしまいます、

翌日、コーリャたちは友人と遊びに出掛けますが、そこでリリアとディーマの秘め事を息子が見ます、
怒り狂ったコーリャは二人を殴打します、

ディーマはリリアと共にモスクワに行こうとしますが、その前に市長に拉致され、銃で殺されそうになり、モスクワに一人逃げます、

リリアはその後自殺、
容疑がコーリャにかかり、悪の検察官に裁判は有罪、刑務所に収監されます。

・.・*・.・*・.・*・.・*・.・*

おおかたのあらすじ全てです、

海辺の冷たくて、でも美しくて厳しい自然の中です、断崖があり、逆巻く波がぶつかり、
その手前にクジラの骨や、船の残骸などが映されます、

一市民が権力でぼろぼろ、ずたずたになります、

この中で教会や神の話が出てきます、
「ヨブ記」は、次々と病に侵され、試練の連続だったお話しと思いますが、
邦題の、「裁かれるは善人のみ」は理解できます、
主人公のコーリャは怒りっぽくて、すぐに手が出ますが、


う～ん深い、考えさせられます
やりきれないです、後味の悪い作品でした、
人間の罪深さ、そして義とは？
人はやっぱりエゴイストなんでしょうか？

不毛の地に見えるこの街ですが、温かさも、愛もなく、ウォッカとタバコが終始でした、
最後に一人っきりになったロマをコーリャの家族をよく知った友人が引き取るんですが、
唯一の救いに見えました

見ごたえのある映画でした