
「中国汚染」 相川 泰著 (ソフトバンク新書) 定価:730円
【この本を読んだ理由】
新聞の新書・文庫紹介欄で目に付いた本で、北京オリンピックを契機に中国大陸の環境汚染が話題になっていたので、読んでみた。
【読後感】
著者は、鳥取環境大学の准教授。
その人が書いた中国環境レポートという感じの本だった。
中国で発生した汚染物質は、風や海流に乗って日本の環境にも影響を与える可能性がある。
その意味で、日本人は、中国からの輸入食品のことばかりでなく、中国の環境問題にも関心を寄せるべきことを、この本は示唆していた。
しかし、情報の隠蔽、操作などもあり、中国国内の汚染状況は必ずしも十分に伝えられていないようだ。
その中で本書は、河川の大規模汚染で隠しようもなかった化学工場の事故や、国内で問題になりつつある水質汚染が原因と見られる「がん村」などの典型的な事例や、公表されている範囲での統計データなども活用し、客観的に、実はここ数年の事でなく長期的に進行してきた中国の環境汚染の全体像を伝えようとしているようだった。
中でも、私には、「がん村」という言葉が目新しく、気になった。
一応最後まで読んでみて、まだ中国へ行ったことのない私だが、あまり中国へ旅行したいという気分にはなれなかった。