登亭
2012年02月04日 | 食
登亭
とまりぎ
鰻の店で昭和27年というから、戦後の混乱期に創業した登亭(のぼりてい)を忘れるわけにはいかない。日本橋室町が最初の店で、神田、日本橋本社、新橋、新宿、銀座が開店した。
当時の老舗の鰻は、注文してから出てくるまでの時間がかかりすぎで、落語にもあったが酒を頼んで待つような程度だったようだ。ゆったりした戦前の雰囲気とはそんなものだったのだろう。
登亭では、この時間を早くした。当然安くなければサラリーマンは入ってくれない。
安い鰻は登亭と、皆の意識の中に定着した。
新宿の店へはよく行ったものだったが、ご飯の炊き方にムラがあり、柔らかすぎるご飯で出てきたときにはがっかりしたこともあった。
このやり方の大筋がその後の「うな鐡」や「宇奈とと」を発展させることになったのだから、先駆者といえるだろう。
商品は違うが、立ち食い蕎麦も回転寿しも牛丼もイタめしもラーメンもカレーも似たような発想だ。
立ち食い蕎麦は、店によって味が違いすぎる。まずい蕎麦では牛丼に負ける。一方、ラーメンは個性を生かして大発展した。
千円の床屋も同じかもしれないし、安いコーヒーの店も同様だろう。
立ち飲みは酒屋がやっていたものだったが、酒屋ではできなくなって新スタイルの店ができた。感じとしては酒屋の雰囲気の方がいいのだが。