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ドリームプラン

2022年04月03日 | 映画

世界的なテニスプレイヤー、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズを育てた父親リチャード・ウィリアムズにスポットを当てたスポ根ドラマです。

ドリームプラン (King Richard)

予告を見て楽しみにしていた本作を、1か月ほど前に見に行ってきました。期待通りにおもしろくて、ウィル・スミス演じる父親に涙して... 見た後にさわやかな感動に包まれるすてきな作品だったのですが

3月27日ロサンゼルスで開催されたアカデミー賞授賞式で、ウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックのジョークにキレて、平手打ちをくらわしたというニュースで、一気に感動に冷や水を浴びせられました。

ウィル・スミス氏、アカデミー賞授賞式でプレゼンターを平手打ち (2022-03-28)

ここではなるべく、映画を見た時の気持ちを思い出して、感想を書き留めたいと思います。

厳しくも愛情深く、いつもユーモアを忘れない父リチャードをウィル・スミスが好演しています。ウィルの「幸せのちから」(The Pursuit of Happiness) が大好きですが、彼はこういうさわやかなサクセスストーリーがよく似合います。

リチャードは娘たちの才能を信じて、ただやみくもに成功への道を突き進んだのではありません。彼は現実味のないドリーム=夢ではなく、先を見据えて綿密に立てたプラン=計画に沿って娘たちを育てた。そのことに私は心打たれました。

ただ、私たちはビーナスとセリーナが成功することを知っているから感動するけれど、一歩間違えば虐待になりかねないスポ根ぶりではありました。^^; それでもまったくテニスの経験のないリチャードが、娘たちの才能を見抜いて、自分でテニスを勉強してコーチをし

白人だけのスポーツであった、テニスの世界に風穴を開けるという快挙を成し遂げたのは、すごいことだと思います。

本作の中で、私が心に残ったエピソードが2つあります。ひとつは、ジュニアリーグで娘が優勝した時、有頂天になっている娘たちにディズニーアニメーションの「シンデレラ」を見せ、相手選手へのリスペクトと自らの謙虚さを学ばせる場面です。

(でも2018年のUSオープンで、セリーナが大坂なおみ選手との試合で審判の判定に異を唱え、新人の大阪選手を泣かせてしまったことは、とてもこのリチャードの教えが生きているとは思えないですが)

大坂なおみに同情 全米決勝でのセリーナの怒りをメディアはどう伝えたのか (2018-09-10)

もうひとつは、リチャードが待つことのできる父親であったこと。ジュニアリーグで早くに頭角を現し、話題をさらうも、その後大人の都合でつぶされてしまう選手たちを何人も見てきたリチャードは、娘をジュニアリーグから退かせ

ふつうの子どもたちと同じように学校の勉強もきちんとさせて、選手として十分に力をつけてからデビューする道を選びました。また、スポンサーからの破格と思える申し出にもすぐに飛びつくようなことをしませんでした。

全米オープンのデビュー戦で、相手選手の卑劣な行為でペースを乱され、最終的には試合を落としてしまったビーナス。しかし彼女の正々堂々、真摯に戦う姿に胸が熱くなりました。

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