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ザリガニの鳴くところ(映画)

2022年12月06日 | 映画

世界的ベストセラー小説の映画化。アメリカ・ノースカロライナ州の湿地を舞台にしたミステリー仕立てのヒューマンドラマです。

ザリガニの鳴くところ (Where the Crawdads Sing)

原作のベストセラー小説はずいぶん前に読み始めていたものの、序盤に描かれている少女を取り巻く苦難のところで、止まったままになっていましたが、気になっていた映画を先に見に行ってまいりました。本作を見たかったもうひとつの理由は

物語の舞台であるノースカロライナ州の湿地が、私がかつて住んでいたバージニアの半島に比較的近く、懐かしい風景に出会えると思ったから。そういえば当時、バージニアの海の近くの湿地で、手漕ぎボートの自然探索ツアーに参加したこともありました。

でも映画を見ると、どうも植生が違う。木の枝にガーランドのようにぶら下がるスパニッシュモスは、ノースカロライナよりもっと南の地域に見られるものです。後から映画は、深南部のルイジアナで撮影されたと知って納得しました。

とはいえ、いかにも南部らしい、緑豊かな風景はとても懐かしかったです。ヒロインのカイアとボーイフレンドのテイトが見た、何千羽もの白い鳥が湖沼に舞い降りるシーンは、同じく南部を舞台にした「きみに読む物語」(The Notebook)を思い出しました。

序盤の苦難の物語も、カイアがテイトと出会ってからは、良い方向に向かうと思われましたが...。

人道的な弁護士に助けられ、カイアが裁判に出廷する展開は、グレゴリー・ペックの「アラバマ物語」(To Kill a Mockingbird)を思い出しました。アラバマ物語も、人種差別が色濃く残る南部を舞台にしていて

グレゴリー・ペック演じる弁護士が、地元の白人たちの非難を浴びながら、真理のために戦う物語でした。そういえば、本作はCrawdads、アラバマ物語はMockingbirdと、どちらもタイトルに生物の名前がついているのが興味深い。

本作は、カイアの人生や、カイアを取り巻く環境が、少し甘めに描かれていて、うまくできすぎているという向きもあるかもしれませんが、美しい映像と美しいヒロイン、ミステリーとしてのおもしろさもあって、私はとっても楽しめました。

南部を代表する俳優、リース・ウィザースプーンが製作を務めていることもあり、南部の魅力がノスタルジーたっぷりに描かれています。お勧めの作品です。

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