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ミセス・ハリス、パリへ行く

2022年12月30日 | 映画

Paul Gallicoによる1958年の同名小説の3度目の映画化。ロンドンとパリを舞台にした、ハートウォーミングなコメディです。

ミセス・ハリス、パリへ行く (Mrs. Harris Goes to Paris)

1957年ロンドン。夫を戦争で亡くし、家政婦として働くミセス・ハリス (レスリー・マンヴィル) は、仕事先の家のクローゼットで美しいドレスを偶然目にし、心を奪われます。

それがパリのクリスチャン・ディオールのオートクチュールと知ったミセス・ハリスは、思いがけなく手に入った大金を握りしめ、ディオールのメゾンでドレスを誂えようと、単身パリへと向かいます...。

ファッションを題材にした作品が好きなので気になっていた本作を、日比谷のシネマズシャンテに見に行ってまいりました。主演のレスリー・マンヴィルは「ファントム・スレッド」ではメゾンのエレガントな支配人役でしたが

本作では庶民的でかわいらしいおばさまを演じています。家政婦のお仕事の制服?が、ブラウスもエプロンもリバティというのにきゅんきゅんしましたが、ミセス・ハリスがひと目惚れした、ビーズと刺繍が全身に施されたライラック色のドレスに目が釘付けになりました。

ミセス・ハリスは愛すべきキャラクターではあるのですが、ドレス代を作るために有り金全部をドッグレースにつぎ込んだり、やっと手に入れた大切なドレスを不用意に人に貸してダメにしてしまったり。善良ゆえに、見ていていらっとすることもありました。

でも、困っている人を見ると放っておけないミセス・ハリスが、ディオールで働いているお針子さんやモデルさんたちが、劣悪な労働環境の中で華やかな世界を支えてことを知って、労働運動を起こすべく立ち上がる勇気と行動力に心を動かされました。

一方、イザベル・ユペール演じるディオールのマネージャーが、(賛否はありますが) ディオールというブランドを守るために力を尽くし、家では傷痍軍人の夫を介護する生活を送りながら、それをおくびにも出さないプロフェッショナルな姿勢にぐっときました。

イザベル・ユペール、やっぱりかっこいいです。

ディオールのメゾンで開かれるドレスのお披露目のショウに登場するゴージャスなドレスの数々。会計士 (リュカ・ブラヴォー) とモデルのナターシャ (アルバ・バチスタ) のさわやかなロマンス。ラストはもちろんハッピーエンディングで、快く楽しめる作品でした。

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