@「被害者が突然加害者になり、加害者が被害者になりうる」、とはこの小説にある言葉だ。被害者も場合によって誹謗中傷、嫌がらせなども被る場合もある世の中なのだ。世の中の情が薄っぺらく細く狭くなったことで、ちょっとした世の中の矛盾でも憤りを感じる人が増えているのは頷ける。特にTwitterやSNSでの一言が最も簡単に悪夢に引っ張り込み、引き込まれるのだ。人は弱者には何事も強要したがる動物なのか。
文中で読んだ気になる言葉
「差別される人間」「鎹が亡くなる」(夫婦の縁を持つことがなる)
「マスコミの世界では聖なるものよりは邪なるもの、美しきものよりは汚いもの、高貴なものよりは下賤なものの方に需要がある」
『夜がどれほど暗くても』中山七里
志賀倫成は、大手出版社の雑誌の副編集長で、その売上は会社の大黒柱だった。志賀は、スキャンダル記事こそが他の部門も支えているという自負を持ち、充実した編集者生活を送っていた。だが大学生の息子が、ストーカー殺人を犯した上で自殺したという疑いがかかったことで、幸福だった生活は崩れ去る。スキャンダルを追う立場から追われる立場に転落、社の問題雑誌であるへと左遷。取材対象のみならず同僚からも罵倒される日々に精神をすりつぶしていく。一人生き残った被害者の娘・奈々美から襲われ、妻も家出してしまった。奈々美と触れ合ううちに、新たな光が見え始めるのだが……。
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