10月に衛星劇場で“黒シリーズ”11本一挙OAを行ったものの、この作品は第三作に当たるも
このシリーズ田宮二郎さんで始まり宇津井健さんが引き継ぎ三番目の男に川崎敬三さん
ただし川崎敬三さんこの一本しか出演していない
個人的には田宮二郎さんのシリーズだと思っていたが宇津井健さんが数本主演してるしてお二人のは共演作品っていうのもある
社会派サスペンスの主人公に川崎敬三さんは似合わない
ってことで“黒シリーズ”自体当時の日本の社会悪に焦点を当てているものの
この作品だけは
一般市民が社会状況の激変の中で犯罪者として堕ちていく姿を描いている
ってことなのにこのシリーズでも数本田宮さんの作品でも日本の暗部を描いてるわけでなく
単なる犯罪映画作品が多かった
そしてこの作品は犯人側からの視点で描いた犯罪映画でしかないんだよね
偽札のお話ですが時代的に62、3年というと大卒の初任給が15000円だった時代です
一応一万円札はこの時代には発行はされているものの
庶民が手にする一番使いやすい札は百円か五百円札
千円がある意味庶民の高額紙幣だったようで、1束10万円になるのかな
企業合併で学閥によって出世して課長になってた川崎敬三演じる桧山は会社にいてもこれ以上出世が見込まれない
さらにクビになる可能性もあって自ら退職してしまう
恋人三條江梨子は都心の美容室の美容師をしてるが
自ら髪結の亭主にはならないと公言しており
そんな彼のもとに印刷会社の見明凡太郎が現れ自ら刷った精巧な千円札を見せて
これを捌いて欲しい10000000円分あるが1000000円で売り渡すと
これで縁切りで後は知らんぷりなら捕まっても後腐れもないと
彼女が美容室の先生から1000000円借りてくれたものの
捌くには人手がと学生時代の反社会主義の高松英郎を仲間に引き入れるものの
そのカミさんと浮気相手の化粧品のセールスマンが加わって
ナンバーだけ一枚一枚印刷して捌いていく姿を克明に描いていくので
町でのロケシーンが
ってことでありし日の下北のオデオン座だ映っていましたねぇ
最終的に捌き切れぬと競輪場での荒稼ぎを思いつきそこで捌いていく
現実の競輪場でのロケがドキュメンタリー風で
まぁ犯罪は何処かから漏れるもので最終的に印刷屋が捕まりゲロして全員逮捕
コチラの作品では悪事は割の合わないものということなんですね
犯罪を犯す側に川崎敬三って言う善人役ばっかの人
で掴まえる刑事側には北城寿太郎、千波丈太郎って言う常に悪党を演じてる役者っていう絵面も意図したキャスティングだったんだろう
って言う異色作っていうかこの作品だけは社会悪を描いた作品でもなかったなぁ
川崎敬三の恋人役の三條江梨子さんて新東宝時代には三条魔子さんと言うヴァンプ女優さんでしたが
大映でも三条魔子名を使っていたような気がするし変わらぬヴァンプ役もやっていたような・・・
これで大映の”黒シリーズ“全作11本すべて2ヶ月かけてようやくアップしました。
1963年製作、日本映画、大映作品
村山三男監督作品
出演:川崎敬三、三條江梨子、高松英郎、宮川和子、藤原礼子、見明凡太郎、大辻伺郎、中條静夫、春本冨士夫、千波丈太郎、藤山浩二、北城寿太郎