呑みすぎたあとの山歩きは辛いものがある。
雪の山を予定していたのにどうもやる気が湧きません。
それでも山を歩きたい。
そんな時、単独行の身軽さが幸いするのです。
深雪の山もいいけれど、灰色に冬枯れた山の侘びもまたいいものです。
毎年4月には『春の女神』が舞う石砂山(いしざれやま)
靴が埋まってしまうほどふかふかに積もった落ち葉を踏みしめて歩くのもまた郷愁をそそります。

すわっ、これは夢か幻か?
ミツバツツジの狂い咲き、季節はずれのもの悲しさよ。


今日の目的は、、、、、春の女神を育むカンアオイ(寒葵)に逢いたい!
石砂山の天然記念物『岐阜蝶』の幼虫の貴重な餌になる植物なんですね。
杣道から外れて道なき林に入って行くと落ち葉に埋もれるようにカンアオイが其処此処で目に入ります。
このカンアオイが沢山あると言うこと、それは春の女神の棲息が約束されていると言うこと。
嬉しくて地面を這い蹲るように探しまわって写真に納めていると、
いつしか今居る自分の位置が分からなくなってしまいます。




落ち葉の下には色々なものがあるのです。
産み付けられた岐阜蝶の卵、木の実、カタツムリの抜け殻。
おもしろくて周りの風景など目に入らなくなってしまうのです。


入山してから4時間、落ち葉の下を探索しているとつい時間を忘れてしまいます。
ところが、腹時計というヤツは優れたもので時計を見ると丁度お昼の時間です。
ビ-ルで喉を潤して熱々のラ-メンで〆る、ほっとする時間ですね。
日だまりの落ち葉の上でのんびりとした時を過ごすことができました。


どっこいしょっと!
さて、それからが大変だったのでした。
少し歩き始めたとき、、、、待てよ?
そうなんです、自分の居る位置が全く分からなくなっちゃった。
この山は東西南北四方八方縦横無尽に杣道獣道が連なっているのです。
山の中腹に居ると周りの風景も全く見えないし、勝手知ったる山なので地図もコンパスも持って来ていない。
勝手知ったる山だからこそ舐めていたんですな、これには参りました。
先ずは斜面を下って杣道を探し、しばらく歩いてみたけれどどうも違う。
また登り返してトラバ-スしてまた下って登っての繰り返し。
2時間ほど山中を彷徨ってホトホト疲れてしまいました。
外から眺めるととても穏やかな山なのに迷路に迷い込むと抜け出せなくなるのです。


そこでマタギの言い伝え。
道に迷ったら腰を下ろして一服し水を飲んで冷静になること。
もし下山できなかったら?
ビバ-クするしかありません。
ザックの中にはツェルトもシュラフカバ-もダウンインナ-も雨具もあるから凍え死ぬことはありません。
水も焼酎も食糧も充分にある、楽しいプチ遭難の一夜は約束されているようなもので焦ることはありません。
とにかく稜線に登って周りの景色から方角がつかめれば何とかなるでしょ。


さて、稜線からの景色で方角は掴めました。
入山口への道は判然としないけれど沢の方角は分かりました。
沢まで下りれば林道が平行して走っています。




沢までは確信を持って下り3時半に林道へ辿り着きました。


この山に40年以上も入っていると言うのにこうして迷うこともあるのです。
とりわけ低山は登山道と杣道の見分けが難しく、しかも有名な山と違って指導標もほとんどありません。
しかも市販の山地図には登山道1本しか表示されておりません。
ひとたび杣道や獣道に迷い込むと抜け出せなくなってしまいます。
特に冬の山は日没が早く、焦りが生じて深刻な事態にもなりかねません。
夜の寒さも半端ではなく、日帰り装備では凍死のリスクも残ります。
低山のワンデイハイクだからと甘く見るのは禁物です。
くれぐれも予備の食糧と水、防寒具とヘッドライトくらいの準備は怠りなく。
ただ幸運なのは冬山の木々は葉が落ちて周囲の見通しが利くということ。
地図もコンパスも無いときは稜線に登って四方の景色を眺めれば何とか方角を掴むことは可能です。


久しぶりにヒヤリとさせられた一日でした。
GPSが欲しいと、ちょっとだけ考えた一日でした。
石砂山を歩く皆さん、くれぐれも登山道からそれないように気をつけて下さい。
そして、のんびりと穏やかな山旅を楽しんで欲しいと思います。
雪の山を予定していたのにどうもやる気が湧きません。
それでも山を歩きたい。
そんな時、単独行の身軽さが幸いするのです。
深雪の山もいいけれど、灰色に冬枯れた山の侘びもまたいいものです。
毎年4月には『春の女神』が舞う石砂山(いしざれやま)
靴が埋まってしまうほどふかふかに積もった落ち葉を踏みしめて歩くのもまた郷愁をそそります。


すわっ、これは夢か幻か?
ミツバツツジの狂い咲き、季節はずれのもの悲しさよ。


今日の目的は、、、、、春の女神を育むカンアオイ(寒葵)に逢いたい!
石砂山の天然記念物『岐阜蝶』の幼虫の貴重な餌になる植物なんですね。
杣道から外れて道なき林に入って行くと落ち葉に埋もれるようにカンアオイが其処此処で目に入ります。
このカンアオイが沢山あると言うこと、それは春の女神の棲息が約束されていると言うこと。
嬉しくて地面を這い蹲るように探しまわって写真に納めていると、
いつしか今居る自分の位置が分からなくなってしまいます。




落ち葉の下には色々なものがあるのです。
産み付けられた岐阜蝶の卵、木の実、カタツムリの抜け殻。
おもしろくて周りの風景など目に入らなくなってしまうのです。


入山してから4時間、落ち葉の下を探索しているとつい時間を忘れてしまいます。
ところが、腹時計というヤツは優れたもので時計を見ると丁度お昼の時間です。
ビ-ルで喉を潤して熱々のラ-メンで〆る、ほっとする時間ですね。
日だまりの落ち葉の上でのんびりとした時を過ごすことができました。


どっこいしょっと!
さて、それからが大変だったのでした。
少し歩き始めたとき、、、、待てよ?
そうなんです、自分の居る位置が全く分からなくなっちゃった。
この山は東西南北四方八方縦横無尽に杣道獣道が連なっているのです。
山の中腹に居ると周りの風景も全く見えないし、勝手知ったる山なので地図もコンパスも持って来ていない。
勝手知ったる山だからこそ舐めていたんですな、これには参りました。
先ずは斜面を下って杣道を探し、しばらく歩いてみたけれどどうも違う。
また登り返してトラバ-スしてまた下って登っての繰り返し。
2時間ほど山中を彷徨ってホトホト疲れてしまいました。
外から眺めるととても穏やかな山なのに迷路に迷い込むと抜け出せなくなるのです。


そこでマタギの言い伝え。
道に迷ったら腰を下ろして一服し水を飲んで冷静になること。
もし下山できなかったら?
ビバ-クするしかありません。
ザックの中にはツェルトもシュラフカバ-もダウンインナ-も雨具もあるから凍え死ぬことはありません。
水も焼酎も食糧も充分にある、楽しいプチ遭難の一夜は約束されているようなもので焦ることはありません。
とにかく稜線に登って周りの景色から方角がつかめれば何とかなるでしょ。


さて、稜線からの景色で方角は掴めました。
入山口への道は判然としないけれど沢の方角は分かりました。
沢まで下りれば林道が平行して走っています。




沢までは確信を持って下り3時半に林道へ辿り着きました。


この山に40年以上も入っていると言うのにこうして迷うこともあるのです。
とりわけ低山は登山道と杣道の見分けが難しく、しかも有名な山と違って指導標もほとんどありません。
しかも市販の山地図には登山道1本しか表示されておりません。
ひとたび杣道や獣道に迷い込むと抜け出せなくなってしまいます。
特に冬の山は日没が早く、焦りが生じて深刻な事態にもなりかねません。
夜の寒さも半端ではなく、日帰り装備では凍死のリスクも残ります。
低山のワンデイハイクだからと甘く見るのは禁物です。
くれぐれも予備の食糧と水、防寒具とヘッドライトくらいの準備は怠りなく。
ただ幸運なのは冬山の木々は葉が落ちて周囲の見通しが利くということ。
地図もコンパスも無いときは稜線に登って四方の景色を眺めれば何とか方角を掴むことは可能です。


久しぶりにヒヤリとさせられた一日でした。
GPSが欲しいと、ちょっとだけ考えた一日でした。
石砂山を歩く皆さん、くれぐれも登山道からそれないように気をつけて下さい。
そして、のんびりと穏やかな山旅を楽しんで欲しいと思います。