Vル-トを踏む、そんな計画が初めからあった訳ではなかった。
愚かにも初っ端から入山口を間違えてしまった。
山屋にあるまじき大チョンボをかましてしまい止む無くVル-トを踏む羽目になったという訳で
新年早々なんとも恥ずかしいことをしでかしてしまったという顛末でございます。
今年の初山詣では、道志を起点にブナ沢乗越に上がり、菰釣山で初富士を仰ぎ、城ヶ尾峠を経て畔が丸の避難小屋に泊まる
翌日は加入道山から大室山へピストンしてから再び道志に下り、道志温泉で汗を流してまったりするという計画を立てていた。
先ずは三ヶ瀬川沿につけられた林道を1時間ほど歩いて枝沢の大西沢を渡り、更に林道を歩いてブナ沢の右岸から入山する、、筈であった。

三ヶ瀬川支流の西沢、ここはヤマメの沢でフライフィッシングを覚え始めたころにはよく通ったものでした。

どちらも人の形に見えませんか、自然の創りだす造形美は見事ですね。

午前8時半、1本目の大西沢を渡ると、菰釣山への指導標が、、、、これ、どう見てもこの道を行けと指示していますよね?
おかしいと思ってこの先の林道を見るとゲ-トに通行禁止の札がぶら下がってる、ということは、これが新しい入山口か?
次の沢の右岸から入山する筈だけれど、僕の山地図は滅法古くて、もしかして旧道が崩壊して新道ができたのかも?
そんなことを考えながら、つい入ってしまったんですね迂闊にも、この道に、、、(正しい入山口はやはりこの次の沢からでした)

ほら、ちゃんとした道でしょ?

15分ほど登ると、苔むしたゴロタ石に変わります、でも踏み跡はしっかり付いているし倒木には青リボンも付いてる。
更に進むと両手を使ってよじるほどの急勾配になって、こりゃ登るのはいいけれど下りるのは絶対にムリだと
少々不審感も湧き始めたのだけれど相変わらず踏み跡もあるし進んでいく方向には倒木に青リボンも付いているし、、、。
岩だらけの急勾配と格闘すること20分、ようやく尾根らしき場所に出ると細い仕事道になり、更に辿ると極細の鹿道になってしまった。
いつしか青リボンも消えて入山口を間違えたという不安が、ここで確信に変わった、こんな時には絶対に元に戻るべきなのだが僕は進むことに決めた。
このまま尾根を登り続ければ稜線上の登山道に出合えることは山地図を見れば明らかで大事なことは尾根を外さないこと、よしVル-トを楽しもう。
背の低い笹が一面に広がる林の中を細い鹿道が縦横に走り、その中から尾根に近い鹿道を選んで辿る、藪漕ぎを思えば遥かに歩きやすい。
午前11時までに登山道に出なかったら戻ろうと決めて、帰りに迷わないようにと何度も後ろを振り返りいま辿ってきた風景を脳裏に焼き付けた。
3メ-トルもの背丈の笹の密生地では鹿道が消えてしまって、まさに藪漕ぎの連続となる、しかも延々と登りが続く。
真夏なら蒸し暑さと藪蚊とダニの攻撃で辟易していたであろうが真冬で本当に幸いであった。
1時間ほど登ってようやく登山道があると思われる稜線が見えてきたのだけれど、なかなかそこに辿り着けなくて少しだけ不安がよぎる。

午前10時すぎに突然、登山道に出くわして目の前が開けた。
登山道を登れば40分のところを1時間半以上かかったことになる。
Vル-トを楽しんでしまったために50分もタイムロスしたことになる、でも道なき山もおもしろかった。
地形図は持ち合わせていなかったけれどル-トは単純だし、ツェルトも酒も食料もあるからビバ-クも悪くないと思ったりもして。

僕の辿ったル-トは矢印の付いた青線、尾根のど真ん中を登り続けて想定どおりにブナノ丸寄りの稜線に出た。

それを確かめるために西に10分ほど進むとブナノ丸の標識が確認できた、ここで長めの1本をとってちょっとした達成感に浸る。

菰釣山に向けてしばしブナの稜線歩きを楽しむ。
藪漕ぎすることを考えれば登山道なんてまるでアスファルトの道路みたいに感じてしまうから不思議だ。

菰釣山(こもつるしやま)のてっぺん1379m
ブナの老木が爺さんみたいで実にいい味を醸している。

真正面には、大きなカンバスに描かれた雪化粧の富士がひときわ空の青さに映える。
富士に登りたいとは思わないけれど、この流麗な美しさを仰ぐとなぜか感動し気分がスカッとするのだ。

遠く西北西を望めば南アルプスだろうか、冠雪した連嶺が美しく輝いている。
山座同定は得意ではないが方向からみて八ヶ岳ではなく赤石、荒川三山あたりか、手前は御正体山であろうか?

今回の菰釣山は風もなく暖かくて冬にしては穏やかな日和であった。
避難小屋で風を避ける必要もなく、ここで富士を眺めながらの山飯とする。
何となく今日の山行に満足している自分に気づき、明日の山行は中止してここで呑むことに決める。

先ずは霊峰富士に新年のご挨拶でございます。
今年も安全に山歩きと山釣りが楽しめますように!

誰もいない山頂で2時間まったりと山飯と昼寝を楽しんだ。

さあ下山しよう。

途中で、凍った道を走るように下る若者に追い越された。
この日、出合ったのはこの人だけ、静かな山歩きがしたければ表丹沢よりも断然裏の方がいい。



菰釣山の避難小屋、広い前庭は整地されていてテ-ブルがふたつ

丹沢の避難小屋は黍殻山以外はどこもみな同じような広さとレイアウトになっている。
宿泊者名簿を見ると、この年末年始は毎日1人~2人が泊まっているようだ。
室内は清潔に管理されており宿泊者のマナ-の良さと管理者の心配りが伺えて清々しい気持ちになる。



ブナ沢の分岐を下る、本来ならこの急登を登って来る筈であったのだ(急登でも道があるのは有難いことです)


今回の反省点!
山梨県側の指導標は、至れり尽くせりの神奈川県側に比べると極めて貧弱で不親切だと思います。
でも、山ではそれが当たり前のことだと達観することも必要なのかもしれません。
指導標を信頼しすぎるのも少々危険であり、あくまでも山地図と事前の情報収集の大切さを悟った一日でありました(完)
愚かにも初っ端から入山口を間違えてしまった。
山屋にあるまじき大チョンボをかましてしまい止む無くVル-トを踏む羽目になったという訳で
新年早々なんとも恥ずかしいことをしでかしてしまったという顛末でございます。
今年の初山詣では、道志を起点にブナ沢乗越に上がり、菰釣山で初富士を仰ぎ、城ヶ尾峠を経て畔が丸の避難小屋に泊まる
翌日は加入道山から大室山へピストンしてから再び道志に下り、道志温泉で汗を流してまったりするという計画を立てていた。
先ずは三ヶ瀬川沿につけられた林道を1時間ほど歩いて枝沢の大西沢を渡り、更に林道を歩いてブナ沢の右岸から入山する、、筈であった。

三ヶ瀬川支流の西沢、ここはヤマメの沢でフライフィッシングを覚え始めたころにはよく通ったものでした。

どちらも人の形に見えませんか、自然の創りだす造形美は見事ですね。


午前8時半、1本目の大西沢を渡ると、菰釣山への指導標が、、、、これ、どう見てもこの道を行けと指示していますよね?
おかしいと思ってこの先の林道を見るとゲ-トに通行禁止の札がぶら下がってる、ということは、これが新しい入山口か?
次の沢の右岸から入山する筈だけれど、僕の山地図は滅法古くて、もしかして旧道が崩壊して新道ができたのかも?
そんなことを考えながら、つい入ってしまったんですね迂闊にも、この道に、、、(正しい入山口はやはりこの次の沢からでした)

ほら、ちゃんとした道でしょ?

15分ほど登ると、苔むしたゴロタ石に変わります、でも踏み跡はしっかり付いているし倒木には青リボンも付いてる。
更に進むと両手を使ってよじるほどの急勾配になって、こりゃ登るのはいいけれど下りるのは絶対にムリだと
少々不審感も湧き始めたのだけれど相変わらず踏み跡もあるし進んでいく方向には倒木に青リボンも付いているし、、、。
岩だらけの急勾配と格闘すること20分、ようやく尾根らしき場所に出ると細い仕事道になり、更に辿ると極細の鹿道になってしまった。
いつしか青リボンも消えて入山口を間違えたという不安が、ここで確信に変わった、こんな時には絶対に元に戻るべきなのだが僕は進むことに決めた。
このまま尾根を登り続ければ稜線上の登山道に出合えることは山地図を見れば明らかで大事なことは尾根を外さないこと、よしVル-トを楽しもう。
背の低い笹が一面に広がる林の中を細い鹿道が縦横に走り、その中から尾根に近い鹿道を選んで辿る、藪漕ぎを思えば遥かに歩きやすい。
午前11時までに登山道に出なかったら戻ろうと決めて、帰りに迷わないようにと何度も後ろを振り返りいま辿ってきた風景を脳裏に焼き付けた。
3メ-トルもの背丈の笹の密生地では鹿道が消えてしまって、まさに藪漕ぎの連続となる、しかも延々と登りが続く。
真夏なら蒸し暑さと藪蚊とダニの攻撃で辟易していたであろうが真冬で本当に幸いであった。
1時間ほど登ってようやく登山道があると思われる稜線が見えてきたのだけれど、なかなかそこに辿り着けなくて少しだけ不安がよぎる。

午前10時すぎに突然、登山道に出くわして目の前が開けた。
登山道を登れば40分のところを1時間半以上かかったことになる。
Vル-トを楽しんでしまったために50分もタイムロスしたことになる、でも道なき山もおもしろかった。
地形図は持ち合わせていなかったけれどル-トは単純だし、ツェルトも酒も食料もあるからビバ-クも悪くないと思ったりもして。

僕の辿ったル-トは矢印の付いた青線、尾根のど真ん中を登り続けて想定どおりにブナノ丸寄りの稜線に出た。

それを確かめるために西に10分ほど進むとブナノ丸の標識が確認できた、ここで長めの1本をとってちょっとした達成感に浸る。

菰釣山に向けてしばしブナの稜線歩きを楽しむ。
藪漕ぎすることを考えれば登山道なんてまるでアスファルトの道路みたいに感じてしまうから不思議だ。

菰釣山(こもつるしやま)のてっぺん1379m
ブナの老木が爺さんみたいで実にいい味を醸している。

真正面には、大きなカンバスに描かれた雪化粧の富士がひときわ空の青さに映える。
富士に登りたいとは思わないけれど、この流麗な美しさを仰ぐとなぜか感動し気分がスカッとするのだ。

遠く西北西を望めば南アルプスだろうか、冠雪した連嶺が美しく輝いている。
山座同定は得意ではないが方向からみて八ヶ岳ではなく赤石、荒川三山あたりか、手前は御正体山であろうか?

今回の菰釣山は風もなく暖かくて冬にしては穏やかな日和であった。
避難小屋で風を避ける必要もなく、ここで富士を眺めながらの山飯とする。
何となく今日の山行に満足している自分に気づき、明日の山行は中止してここで呑むことに決める。

先ずは霊峰富士に新年のご挨拶でございます。
今年も安全に山歩きと山釣りが楽しめますように!

誰もいない山頂で2時間まったりと山飯と昼寝を楽しんだ。


さあ下山しよう。

途中で、凍った道を走るように下る若者に追い越された。
この日、出合ったのはこの人だけ、静かな山歩きがしたければ表丹沢よりも断然裏の方がいい。



菰釣山の避難小屋、広い前庭は整地されていてテ-ブルがふたつ

丹沢の避難小屋は黍殻山以外はどこもみな同じような広さとレイアウトになっている。
宿泊者名簿を見ると、この年末年始は毎日1人~2人が泊まっているようだ。
室内は清潔に管理されており宿泊者のマナ-の良さと管理者の心配りが伺えて清々しい気持ちになる。






ブナ沢の分岐を下る、本来ならこの急登を登って来る筈であったのだ(急登でも道があるのは有難いことです)


今回の反省点!
山梨県側の指導標は、至れり尽くせりの神奈川県側に比べると極めて貧弱で不親切だと思います。
でも、山ではそれが当たり前のことだと達観することも必要なのかもしれません。
指導標を信頼しすぎるのも少々危険であり、あくまでも山地図と事前の情報収集の大切さを悟った一日でありました(完)