コバノガマズミです。先日UPのミヤマガマズミと比べて、花にほとんど違いはなく、
見分けが難しいのですが、葉縁を見比べるとコバノガマズミの方は鋸歯が浅く
やや不明確なことが分かります。
また葉の表面は細毛に覆われて、撫でてみるとビロード状の感触があります。
コバノガマズミ<スイカズラ科 ガマズミ属>
コバノガマズミの葉、葉縁の鋸歯は浅く不明確、全体が細毛に覆われ、撫でるとビロード状の感触があります。
こちらは先日UPのミヤマガマズミの葉、葉縁の鋸歯はコバノガマズミと比べやや明確です。
葉脈に沿って、絹毛が生えていますが、全体に無毛で艶があり、撫でると滑らかな感触があります。
山野の日当たりのよい乾いた所に生える多年草です。
茎の高さは10~15㎝程で4~7月頃、上部に紫色の小さな蝶形の花を咲かせます。
和名は全体の雰囲気がハギに似ていて小さいことによりますが、マメ科ハギ属のハギとは
全く別の植物で、植物分類学上、ヒメハギ科ヒメハギ属として独立しています。
ヒメハギ<ヒメハギ科 ヒメハギ属>
山野の日あたりの良い所に生えるガマズミの仲間です。
ガマズミやミヤマガマズミ等と比べるとやや葉の付き方が疎らで、
散房花序を垂らして咲くのが特徴、ガマズミ属の中で、花序や実が
下垂するのはこのオトコヨウゾメだけです。
名前に「男」を冠している割には女性的な趣のある花ですが、ガマズミのように
赤い実が染色に使えない、不味くて食べられない、つまり要するに役に立たない
という意味だそうです。(植物の和名にオトコが付くとロクな意味はないようです)
葉は秋になると、特徴のあるくすんだ紅紫色に紅葉します。
実は9~10月に赤く熟しますが、この仲間では他に黄色に熟す
キミノオトコヨウゾメもあります。
今回、タイトルに漢字表記をしませんでした、私見ですがヨウゾメは「良う染め」ではないかと思います。
オトコヨウゾメ<スイカズラ科 ガマズミ属>
桜の季節もそろそろ終盤になりましたが、今日の花はウワミズザクラです。
あまり桜らしくありませんが、これも一応、桜の仲間になります。
花序は総状花序となっていますが、白色で5弁の花が多数集まったもので、
長い細毛のように見えているのは雄蕊と雌蕊です。
新潟県では花の蕾を塩漬けにしたものを杏仁香(あんにんこ)と呼び
食用にしています。
また緑色の幼果も塩漬けにして食べられます。
ウワミズザクラ<バラ科 サクラ属>
雄蕊は花弁に比べてはるかに長く目立ち、花弁はこの距離では少し分かりにくい存在です
雨模様のうえ早朝でやや露出不足になっていますが、近付いて見るとやはりサクラらしき姿も見えています
花は赤味を帯びた新しい枝の先端に付きますが、この枝は秋に大半が地上に落下します。
複葉の機能を持っているのかも知れません
モミジイチゴの学名上の母種で、主に西日本の近畿地方以西の山地に普通に生えます。
葉は長さ3~7センチの卵形か狭卵形で、北方系のモミジイチゴほど顕著には裂けません。
4月頃、キイチゴの仲間としては中々立派な風格に満ちた5弁の白い花を咲かせます。
果実は6~7月に黄色く熟し、食べられます。味は国内に数十種類あると言われるキイチゴの中で
最も美味しいと言われる代表格、花良し実良しの優等生といえます。
酸味と甘みが程良くマッチした上品な味わいで、野生的な個性を味わうには生食が一番ですが、
ジャムやリキュールにしても楽しめます。
本州の中部以北には近似種のモミジイチゴがありますが、葉は広楕円形で掌状に3~5裂し
紅葉に似ています。
ナガバモミジイチゴ<バラ科 キイチゴ属>
カキドオシは4~5月に林縁や土手の半日陰の場所で群生しているのが見られます。
シソ科のこの類の植物としては、ホトケノザやヒメオドリコソウなどと比べて、比較的大きな花を咲かせます。
色が少し地味なため、歩いていてあまり目に付く花ではありませんが、近くで見ると唇形の花は中々立派で、
どこか蘭の花に似た趣と、人形のような愛らしさを兼ね備えています。
和名の「垣通し」は、垣根を通り越してその向こうまで蔓が延びていくことからで、
実際、夏になると1㍍以上になるものもあります。
別名のカントリソウは昔、子供の癇の虫にに効く民間薬として使われたことによるものです。
生薬名では「連銭草(れんせんそう)」と呼ばれ、血糖値の降下や体脂肪を減らすのに効果があるとして
カキドオシ茶などの健康食品も市場に出回っています。
葉や茎はシソ科特有の芳香があり、身近でとれるハーブとして、少量を野菜サラダなどに混ぜて
香りを楽しむこともできます。
カキドオシ<シソ科 カキドオシ属> 別名カントリソウ
ヨーロッパ原産の帰化植物ですが、渡来してからあまり年数が経っていないのか、
近年発売された帰化植物の図鑑にも掲載されていないようです。
花はムラサキケマンのように、距が後ろに張り出し、花弁は白く先端のみ濃い赤紫をしています。
良く似た植物にセイヨウエンゴサクがありますが、花弁はピンク色で、萼片は本種が側面に付くのに対して
セイヨウエンゴサクは下面にこれより一回り小さな萼が付きます。
今回見つけたのは京都府宇治市の宇治川の土手沿いですが、以前見た場所も京都市伏見区の
宇治川沿いでした。どうもこの川の流域を中心に少しづつ分布を広げているようで、一般的にはまだ
それほど大規模な広がりは見せてはいないようです。
ニセカラクサケマン<ケシ科 カラクサケマン属>
白く大きな萼片は花の両側面に付き、中心に緑のラインが一本入ります。
萼片の縁には鋸歯があります。
ニセカラクサケマンの葉、基部近くまで3裂し裂片の先はさらに裂けます。
ナヨクサフジはヨーロッパ原産の帰化植物で、飼料用や緑肥用として導入されたものが
あまり利用されなくなり、現在ではやや湿り気のある草地や放置耕作地などで野生化しています。
一般に「クサフジ」と呼ばれているものには、在来種のクサフジと、帰化植物のナヨクサフジ、ビロードクサフジの
3種がありますが、現在、荒れ地や放置耕作地などで繁殖しているほとんどが、このナヨクサフジで、在来種の
クサフジはほとんど見かけなくなっています。
和名のナヨクサフジは「弱草藤」で、ナヨナヨよとした弱いクサフジの意味ですが、そんな名前にもかかわらず
草勢は強く、放置耕作地を埋め尽くすほど繁茂しているのをよく見かけます。
在来種クサフジと異なる特徴としては色が濃く、上唇が跳ね上がっていることです。
ナヨクサフジ<マメ科 ソラマメ属>
関西の桜は今週がピークだったようですが、桜の人気に隠れて話題にも上りませんが、
花梨の木にも今、こんな可愛い花が咲いています。
もし、お近くで花梨の木があれば、是非ご覧になって下さい。
私もこれまで気付きませんでしたが、とても可愛い花です。
カリン<バラ科 ボケ属> 中国原産
果実はやや歪んだ卵形で10月頃に黄色く熟し、強い芳香がありますが、固くて酸味が強く
生食はできません。
角砂糖と一緒にホワイトリカーに漬け込んだものは、美味で、風邪を引いた時の咳や咽喉の
痛みを和らげる効果があります。
カンアオイは関東以西の山地の谷間で、暗く湿った林下などに生える常緑の多年草です。
花は葉柄の基部に1個、地面に埋もれるように咲きますが、暗紫色で花弁がなく、
3個の肉質の萼が集まって壺のような形をしています。
深いハート形で表面に白い斑紋のついた趣のある葉は人目を引き、愛好者も多いのですが
葉柄の基部に咲くこの地味な花は、この植物についての予備知識がないと、ほとんどの人は
気付かないと思います。
種が遠くに運ばれることのないカンアオイは、各地で独自な進化をとげた結果、変種が多く、同じ種類
の分布範囲はあまり広くはないようです。
花期は10月頃から咲くものや、4月頃から咲き始めるもの等、種類によってまちまちです。
カンアオイ<ウマノスズグサ科 カンアオイ属>
よく庭木として植えられるアオキです。
このシーズンは既に果実は終わって花が咲いていますが、この木は雌雄異株で、
雌株には雌蕊だけで雄蕊のない雌花が付き、雄株には雄蕊だけの雄花が付きます。
当然ながら果実を結ぶのは雌株の方ですが、植えたアオキが秋になっても果実を結ばないという場合は、
今の時期に花を見ると雌株なのか、雄株なのかがよく分かります。
アオキ<ミズキ科 アオキ属>

これは雌株に咲く雌花、雌蕊が1個あって、雄蕊はありません。秋に赤い果実を付けるのは
この花が付いている株です。

↓の画像は雄株に付く雄花、雌蕊はなく雄蕊が4個あります。当然ですが、この花を付けている
株には、果実はできません。
花の色には多少個体差があって、普通は赤紫色をしたものが多いのですが、
この花の場合は緑色に薄く紫色の混じった色をしています。

近年、平地ではやたら目につくケシ科の一年草があります。名前をナガミヒナゲシと言いますが、
この植物は、皆さんの家の近くでもきっと見られると思います。
下の画像にありますように、花の色は少しくすんだオレンジ色で、道路の端や荒れ地、それに歩道の街路樹の
植えてある土の部分などにもよく生えています。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、1960年に東京で発見されたのが最初で、その後は急速に分布を広げ、
現在では、ほとんど全国どこででも見られるほど繁殖しています。
花の雰囲気からは、同じケシ科の園芸種アイスランドポピーなどとよくにていますが、園芸植物として移入された
という記録はなく、何か別の植物の種に混入しての上陸と思われます。
乾燥やコンクリートによってアルカリ化した土壌や都会的環境にも強く、小さな種子を大量に作ることから、
今後もかなりの速度で増え続けることが予想されます。
今のところ、生態系への影響などはないようですが、注意深く見守る必要がありそうです。
ナガミヒナゲシ<ケシ科 ケシ属> 帰化植物 一年草
繁殖力が強く、その上、下向きの短い棘のある茎や「ひっつき虫」になる果実があって、
児童公園の掃除当番で草むしりをする時など、軍手に絡みついたりする厄介者です。
そのヤエムグラが今、花期を迎えています。
とは言っても、直径1㍉程度の超ミニサイズなので、この花に気付く人などほとんどいません。
今日は普通じっくり見ることのない、この植物の葉や花を観察してみました。
葉は6~8枚が輪生しているように見えますが、この内2枚が実際の葉で、他は托葉が大きくなったものです。
このように、実際は葉が対生であるのに輪生のように見えるのを偽輪生(ぎりんせい)と言います。
ヤエムグラの名は、この偽輪生の葉が何段も積み重なった様を現しています。
ヤエムグラ<アカネ科 ヤエムグラ属>

花は直径1㍉程で葉の腋に付き、黄緑色であまり目立ちません。花弁は4枚で、雄蕊が4個、
中心に雌蕊が2個見えています。
この2個の雌蕊から、2個1組の分果となった果実ができます。

この花はちょうど今、各地で咲いていますが、よく似た花にモクレンがあるので、何処がどう違うのかと
よく聞かれます。そこで、それを簡単に見分けるポイントですが、
先ず、1枚目の画像を見ていただくと、これはコブシの花で、花の下に葉が1個あるのが分かります。
これがコブシの特徴で、モクレンの場合は、この段階ではまだ葉をつけません。
コブシ<モクレン科 モクレン属>

次に、もう1つの特徴は、6枚ある花弁を外側から見ると、基部が全て紅色を帯びることです。
モクレンの場合は花弁全体が真っ白です。
前述の葉があることと、花弁の基部に紅色の部分があることの2点が確認できれば、
コブシ思っていただいて間違いありません。花弁の下に見える白い小さな舌状のものは萼片です。

ハクモクレン<モクレン科 モクレン属>
こちらはよく似た花のハクモクレンですが、コブシに見られるような若葉や、花弁基部の紅色部分はありません。
それに萼片は花弁と見分けがつかない位に大きいのが特徴です。
