野菊の仲間は、どうも似たものが多すぎて名前を探すのに苦労します。
今回は、ホソバコンギクです。一枚目と2枚目が京田辺市にある甘南備山の沢で撮ったもの、3枚目は
先月貴船山の滝谷で撮ったものです。
両方ともホソバコンギクだと思いますが、花弁の先端の形に違いがありました。
キク科は種類が多い上に、自然交雑も多いので多少の特徴の違いにこだわらず大まかな特徴で
品種を判断してもいいのではないかと思います。
ところで、このホソバコンギク、名前は紺菊なのですが紺色をしているのは蕾のうちだけ、ごらんのように
開花してしまうと、ほとんど真白な花になります。この特徴と葉が細く、鋸歯状になっていないこと、
生えている場所が沢の近くであることなどが判断の基準になります。あとは全体の印象ぐらいですかねぇ・・・
取り敢えず限られた資料しかない私たちにはここらが限界でしょう。
ホソバコンギク <キク科 シオン属>
近くの里山に植えられたサンシュユの木に実が成っています。まるで漆を塗ったような
光沢のある赤色の実は本当に美しいものです。
この木、春には葉が出るより先に、マンサクのような黄色い花をいっぱい咲かせて
ハルコガネバナという別名で呼ばれます。
そして秋には赤く美しい実を付けることから、アキサンゴとも呼ばれています。
季節が変わる毎に、全く違った美しさを見せるこの木、まるで手品師の様ですね。
来年の春になれば、また黄金色の花を見せてくれることでしょう。
この木は江戸時代中期に、薬用として渡来しました。実を乾燥したものが漢方薬として
用いられ、強精・解熱・止血・めまい・冷え性などに効果があるそうです。
サンシュユ <ミズキ科 サンシュユ属>
おかげ参りの後の慰労会の様な場で行われた踊りに源を発している様です。
しかし、私の住む城陽市を含む南山城地方で、この踊りが行われてきた経緯は少し違っています。
この地域の農民は、平安時代から徳川幕府末期まで長い間、寺社領の荘園や武家支配に甘んじますが
古来、農民に共通の「忍従と反骨」が繰り返され、時として苛斂誅求に抗して敢然と農民一揆を発し、その
うっぷん晴らしとして、こうした踊りが行われていた様です。
伝統文化の中に、庶民の癒されぬ怒りというものを垣間見ることができます。
現在、おかげ踊りは寺田青谷地区の保存会の人達によって研究継承されています。
おかげ踊り絵図 水度神社所蔵 (公開されていませんが特別に見せて頂きました)
中央に囃子方が陣取り、その周りで農民達が踊っている様子が見られます(文政13年奉納)

天保時代に奉納された同神社の参拝図、参拝者が正座して参拝している様子が分かります

センダングサの仲間で白い舌状花を付ける主なものに、シロノセンダングサとコシロノセンダングサの2種があります。
花が4㎝位ならシロノセンダングサ、2㎝位ならコシロノセンダングサというのが一般的な見分け方の様です。
と、ここまで話は簡単なのですが、普通は筒状花のみのコセンダングサの中にも稀に舌状花を付けるものもあります。
また、センダングサ属は近似種との交雑がかなりあるようで、同じコシロノセンダングサにも、葉が丸葉に近いものや細葉のもの、その中間の形をしたものなど様々で、どれが本家や分家やらさっぱり判りません。
実際には和名の付けられていない品種なども含めて、もっと多くの品種があるかも知れませんが、趣味で植物を楽しむ我々がそこまで分類することは不可能。 ここでは冒頭に掲げた様な簡単な判別法でもいいのではないかと思います。
尚、よく似た園芸植物でウィンターコスモスというのがありますが、舌状花を持ったセンダングサの仲間を改良したものです。
コシロノセンダングサ <キク科 センダングサ属>
何やらいわくが有りそうな名前ですね。染物に使うガマズミに似ているのに役にたたないから「オトコ」?あれっ
男って役にたちませんかねぇ
どうも植物の名前の上にイヌ・オトコなどが付くと「役に立たない」「ありふれた」「劣る」などの意味がある様です。
たとえば、イヌヨモギ・イヌタデ(食べられない)オトコヨモギ(花が小さ過ぎ)等がそうです。
でもこの木、5~6月頃には美しい淡紅色を帯びた白い花を咲かし、今の時期には、こんな美しい実をつけ、
さらにこの後は美しく紅葉します。
役立たずと呼ばれようが、何と言われようが自身は卑屈にならず、この様に美しい姿を見せ続ける。
何て健気な木なんでしょうねぇ
オトコヨウゾメ <スイカズラ科 ガマズミ属> 別名コソネ
実が熟して種子が落ちる頃には美しく紅葉します
森の中には絵の上手な妖精が棲んでいるのでしょうか? きっと背中には蝶々みたいに翅があって
左手にパレット、右手に絵筆を持って誰もいない朝はやくに花の周りを舞い、花びらの白いキャンバス
にいたずら書きをしているに違いない・・・そんな空想の世界に遊ぶのもまた楽しいものです。
どうでしょうかこの花は、誰かが絵付をしたように見えませんか?
この花に出逢ったのは、井出町大正池グリーンパークの少し湿った場所です。人知れず、ひっそりと咲いていました。
和名は曙草で、花冠の斑点を夜明けの星空に見立てたものです。
アケボノソウ <リンドウ科 センブリ属>
花冠は基本的には5裂していますが、この様に4裂タイプもありました。
ちょうど絵付けされた陶磁器の様な雰囲気です
井出町の大正池グリーンパークの入り口付近で、ドウダンツツジに絡まって咲いている釣鐘形の花を
見付けました。この奇妙な形をした花の名前はツルニンジン(蔓人参)と言います。
根が太くて朝鮮人参に似ているのが名前の由来。
同じ仲間でよく似た植物にバアソブと言うのがあります。ソブは木曾の方言でソバカスのこと、つまり
お婆さんのソバカスという意味です。こちらはもう少し花が小さく、花弁のめくれ上がった内側部分が
濃い赤紫色をしていることで見分けることができます。
因みにこのツルニンジンの方は大きいのでジイソブと言う別名があります。
ツルニンジン <キキョウ科 ツルニンジン属> 白っぽい薄緑色の花は見過ごしてしまいそうです。
こういう形の花はつい下からも覗いて見たくなります。(コラッ!)
真下から見上げるとこんな恰好をしています。
さらに調子に乗ってもう一枚と思っていたらハチさんが潜り込みました。こりゃヤベぇ
鞍馬山の隣にある山です。今回のコースは、叡山電鉄二ノ瀬駅→夜泣き峠→二の瀬ユリ→貴船山山頂→
滝谷峠→奥貴船橋→貴船神社→叡山電鉄貴船口駅というコース。メンバーは私&女房の2名です。
二ノ瀬登山口「京都一周トレイル 京都北山」の標識 ↓ 何やら恐ろしげな看板


夜泣き峠への登りは薄暗い北山杉の中を登って行きます。 やがて現れる広葉樹林。


びっしりとキノコが生えているクヌギの古木です。 クヌギ・ブナ・ミズナラなどの混じった雑木林


再び北山杉の植林帯になる夜泣き峠手前の山道 夜泣き峠につきました。


夜泣き峠から貴船山山頂までの道は、二ノ瀬ユリと呼ばれています。ここで言うユリはどうも意味が判りません。




北山杉に囲まれた薄暗い山道、これが北山らしさなんです。 上を見上げるとこんな感じになります。


貴船山山頂 やや貧相な標識、行先を示す道標は設置されていないので、地図とコンパスでの確認が必要です。


貴船山山頂から滝谷峠への道、ほんのりと紅葉していました。


クヌギ・ブナ・ミズナラなどの入り混じった少し明るい雑木林、少しの間重苦しさから解放されます。


滝谷峠、ここから滝谷の沢沿いに下ります。 沢沿いの道は間伐された倒木でいっぱい


ホソバコンギク?(あまり自信ありません) テンナンショウの仲間


アキチョウジ ベニバナボロギク これもひどい名前を付けられていますね。


貴船神社奥宮に到着 御神木、相生の杉

