秋になると熟した果実が縦に裂けて大きく開くアケビの仲間が花期を迎えています。
和名の漢字表記は「木通」ですが、実が開くという意味の「開け実」が転訛したという説も
あるようです。
種類としては、今回アップしたアケビとミツバアケビの2種が比較的よく見られますが、混生する場所
ではこの2種の特徴を備えた交雑種のゴヨウアケビも存在します。
アケビ <アケビ科 アケビ属> 落葉蔓性
葉は掌状複葉。小葉は5個あり長さ6cmほどの狭長楕円形で全縁です。
花には雄花と雌花があり、いずれも花弁のように見える3個の白い大きな愕片をもっています。
雄花は総状花序の先端に数個あり、雄蕊は6個、雌花は雄花より大きく、花序の基部から長い柄を
伸ばして1~3個が付き、雌蕊は6~9個
ミツバアケビ <アケビ科 アケビ属> 落葉蔓性
山地でよく見られるアケビです。 葉は3出複葉で長い柄があり、小葉は4~6cmの卵形で縁に
荒い鋸歯があります。
花の形状はアケビとほぼ同じですが、愕片、蕊の何れも黒紫色をしていてアケビに比べ全体にやや
小型です。交雑種のゴヨウアケビの花も本種のような黒紫色の花を付けますが、葉はアケビのような
掌状複葉で小葉は5個あります。
ヒメハギは春に山地の明るい場所で見られる多年草で、和名は秋に咲くハギの花に似て、全体が
小さいことに由来します。
分類上ではマメ科ハギ属ではなく、ヒメハギ科ヒメハギ属になり、他にカキノハグサ、ヒナノキンチャク
などがこの仲間に入ります。
大きさや色がこの時期に咲くスミレに似ているので見逃してしまいそうですが、近くで見るこの花の
かなり風変わりな形が私たちの興味をそそります。
ヒメハギ <ヒメハギ科 ヒメハギ属> 多年草
蝶の翅のように左右に広がっているのは側愕片、その内側に小さい愕が3枚あります。
花弁は3枚あり、基部は合着して筒状になっていますが、そのうちの1枚には竜骨弁と呼ばれる
髭状の付属体があります。
カテンソウは比較的明るい低山の林縁や竹林など、少し湿った土壌に群生するイラクサ科の多年草。
草丈は10~30㎝で、葉は1.5~4cmとイラクサ科の植物としてはかなり小さく、葉の形がシソ科の
カキドオシに似ていることから、別名でヒシバカキドオシ(菱葉籬通)ともよばれています。
イラクサ科の花期は概ね7~9月ですが、本種は4~5月に上部の葉脇から3~5本の花柄を出し、2.5㎜
ほどの極めて小さな雄花をかためて付けます。
花粉の媒介を昆虫に頼らなくてもよい風媒花で、昆虫を誘うような花弁や蜜はありません。
雌花は上部の葉の付け根にかたまって付きますが、さらに小さな花で、およそ1.5㎜ほどです。
和名の漢字表記は「花点草」、由来は花が点のように小さいからだそうですが、詳しくは不明です。
カテンソウ <イラクサ科 カテンソウ属> 多年草 雌雄同株
赤く見えているのは雄花の蕾、白く見えているのは蕾が開いた状態です
開いた状態の雄花、花被片と雄蕊は5個で花弁はありません
上部の葉の付け根につく雌花には花柄はなく、花被片は4個だそうですが確認が困難です。