山野の日当たりの良い草地に多い多年草です。
和名は穂状に長く伸びた花序を虎の尾に見立てたもので、近縁種で水湿地に生える
ヌマトラノオに対して、こちらはオカトラノオと呼んでいます。
外観上の目立った違いは、ヌマトラノオの花序が直立するのに対して
オカトラノオは一方にかたよって花を付け、先端は垂れ下がります。
オカトラノオ <サクラソウ科 オカトラノオ属>
群生ではありませんでしたが、ひっそりと咲いている姿も優雅でいいものです。
個々の花も整った清楚な美しさを見せています
花は5弁のものと6弁のものが混在しています
今がちょうど花期で画像のような白い花を咲かせています。
この木の名前はシャラノキで、別名をナツツバキ(夏椿)とも言います。
漢字では「沙羅の木」と書くので、平家物語冒頭の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。」に出てくる
”沙羅双樹”として扱われることもありますが、実際は正しくありません。
お釈迦様が亡くなられた時に、傍らに生えていたと言う沙羅双樹は熱帯植物で、植物園の
温室などでは見られますが、日本の気候では絶対に育ちません。
シャラノキ <ツバキ科 ナツツバキ属> 別名ナツツバキ
人里に近い山林や竹林の中などで見られるムラサキツユクサの仲間です。
原産地は南米の帰化植物で、元々は観賞用として、昭和初期に移入されたものですが、
現在では栽培されることはなく、ほとんどが野生化しています。
湿気の多い日陰に適し、条件さえ合えば大繁殖することから、大規模な湿地を持つ
オーストラリア、ニュージランド、アメリカ東南部などでは特に被害が大きいことから
侵略的外来種として法律の規制を受け、駆除対象とされています。
日本では今のところ特に大きな被害はなく、外来生物法の規制も受けていませんが、
里山の日陰部分や竹林などでの大繁殖は要注意で、早目に対策をとったほうがよさそうです。
別名をノハカタカラクサ(野博多唐草)ともいいますが、一般的には使われません。
トキワツユクサ <ツユクサ科 ムラサキツユクサ属> 帰化植物
午後から、近くの木津川河川敷の雑木林に「樹液酒場」の偵察に行ってみました。
ここでは、アキニレの木に、この時期から樹液がにじみ出して、それを目当てに
色んな昆虫が集まって来るのです。いよいよ「樹液酒場」のオープンです。
そして私も定点観測を開始します。
先ず、この樹液酒場に最初に現れたのは、常連客のカナブンでした。
仲間を押し除けながら、一心降不乱に樹液を飲んでいます。
別の場所ではキマワリも見られました。
カナブン <コガネムシ科 ハナムグリ亜科>
普通の甲虫類は飛ぶ時に固い前翅を開く必要がありますが、この仲間は前翅と後翅の間に
隙間があって、前翅を閉じたまま飛ぶ特技を持っています。
キマワリ <ゴミムシダマシ科 キマワリ亜科>
カナブンと大体、同じ環境で見られます。危険を感じても飛ぶことはほとんどなく、
長い足を生かして、速足で木の表面を走って逃げます。
我が国に渡来した外来昆虫で、触角を除く体長は約1.5㌢の小さなカミキリムシです。
黒と薄緑色に色分けされた背中の模様が、「黒いチョッキを着たガチャピンに似ている」
というので、以前にTV朝日系の番組「探偵ナイトスクープ」でもとりあげられました。
食草はラミーの他、カラムシ、ヤブマオ、ムクゲなどの葉です。
しかし、個体数はさほど多くないので、食草を枯らす程のこともないようです。
ラミーカミキり <カミキリムシ科 フトカミキリ亜科>
そこへ餌を咥えた親鳥が帰ってきました。
子燕はまだ自分で餌になる虫を捕えることができない様子です。
親鳥が子燕に餌を与える様子を少し観察してみました。
子燕の前で急ブレーキをかける親鳥、尾羽を横いっぱいに広げています。
子燕は少し広げた翼を震わせて餌を求めるサインを送っています。
給餌は一瞬、親鳥は電線に止まらず、空中から餌を与えます。
休む間もなく飛び去る親鳥、やはり子育てというのは大変なんです。
分かってますか君・・・そこの君だよ君ィ!と言ってもこのブログ見ているワケないか
正に”阿吽の呼吸”子燕が口を開けると同時に餌は口の中へ・・・
もう一羽の子燕もやって来て餌をおねだりしています。
食べることで、カボチャ、キュウリ、スイカ等の果菜類の農作物に被害を与える害虫の代表的な
ものとされています。
画像のものは、その中でもごく普通に見かける2種ですが、大繁殖はあまりないようで、
無農薬栽培では捕獲による駆除も有効な方法と言えます。
捕獲の方法は色々ありますが、危険を感じるとポロッと地面に落下する習性を利用して、
ペットボトルに小さな漏斗をセットし、下から近づけて中に落とし込むというのが
簡単で効率的な方法だと思います。
ウリハムシ <ハムシ科 ヒゲナガハムシ亜科 ウリハムシ属>
クロウリハムシ <ハムシ科 ヒゲナガハムシ亜科 ウリハムシ属>
ニワゼキショウは北アメリカ原産の多年草帰化植物で、牧草や芝草の種子に交じって
我が国に渡来したと考えられる植物で、公園や河川の堤防等の芝地でよく見かけます。
最近、この身近に見られるニワゼキショウに混じって、黄色い花を咲かせるものが徐々に
目につくようになってきました。
市販の図鑑や検索サイトにはまだ載っていないので、かなり新しい帰化植物だと思いますが、
記事のタイトルに書いた”キバナニワゼキショウ”にしても正式な和名ではなく、今回は他の人の
ブログ等で使われているものを使いました。
普通、ニワゼキショウの仲間が咲かせる花は1日花ですが、このキバナニワゼキショウの花は
さらに短命で、午後1時頃に花を閉じ、2時過ぎには、まるで幻のように跡形もなく芝生から
姿を消します。言わば半日花なのです。
草丈は普通のニワゼキショウに比べるとかなり低く、およそ5㌢ほどなので、花が咲いていないと
まず気が付く人はいません。
キバナニワゼキショウ <アヤメ科 ニワゼキショウ属> 帰化植物
こちらは一般的にどこでも見られる、普通種のニワゼキショウ
普通種ニワゼキショウの花(赤紫タイプ)
普通種ニワゼキショウの花(白色タイプ)
長い口吻は見当たりません。何らかの理由で進化(または退化)したのかもしれません。
そのため、普通のゾウムシの仲間のように、長い口吻で食草に穴を開けて、その中に産卵する
ことができず、卵を地面に落下させて産卵します。
和名は、前翅の後部にごつごつしたコブ状の突起が見られ、全体が白っぽいことによりますが、
これはハリエンジュなどの樹皮に似せた擬態と考えられます。
食草としてはハリエンジュ、クズ、フジなどのマメ科植物の葉を好むようです。
動きは極めて緩慢で、たとえ危険がせまっても決して飛んだり、急いで逃げることもなく、
言わば”死んでも急がない虫”とも言えるほどのんびりと歩き出します。
刺激を与えると死んだ振りをして地面に落下するのが唯一の危険回避手段ですが、
そのわざとらしい下手な芝居がまた可愛くて親近感を覚えるのは私だけでしょうか?
ペットにしてみたい昆虫の一つです。
シロコブゾウムシ <ゾウムシ科 クチブトゾウムシ亜科>
タツナミソウは適度な湿り気のある林下でよく見かけるシソ科の多年草です。
茎は短く、地を這った地下茎から立ち上がり10~20㌢になります。
和名の”立浪草”は花の形を打ち寄せる波頭に、下唇弁の斑紋を泡に見立てたもので、
上唇弁は基部で曲がって立ち、ちょうど招き猫が挙げた手のような形に愛嬌があります。
一見、無秩序に群生しているように見えますが、光の入る方向が一定の場所では
花は全てその方向を向くという特徴があります。
タツナミソウ <シソ科 タツナミソウ属>
導入され、植物園や国有の保安林などに植樹されたものが現在も残っています。
かなりの高木で原産地では高さ50㍍、直径3㍍に達するものがあるそうです。
少しメタセコイアに似た雰囲気ですが、変わった点は、木の周囲に膝根と呼ばれる呼吸根を
林立させていることです。
この呼吸根は公園などの普通に植樹されている所では、ほとんど見られませんが、沼や湿潤地
などで土中の根からの酸素の摂取が困難な場所では多く見られるようです。
ラクウショウ <スギ科 ヌマスギ属> 落葉高木 別名/ヌマスギ
膝根と呼ばれる呼吸根、公園などの適湿地や乾燥地では、ほとんど発生しないので、
植えられていても、メタセコイアとの区別は難しいようです。
ハゼランは以前から農道近くでよく見かける植物でしたが、中々同定には至りませんでした。
おそらく帰化植物にちがいないだろうと思っていましたが、昨年スベリヒユについて調べていたところ
偶然に同じ科の項目に掲載されているのを見つけました。
スベリヒユ科と言うと、少し馴染みが薄いと思いますが、園芸植物のマツバボタンなどもこの仲間です。
話を戻しますが、このハゼラン、やはり帰化植物で、原産地は熱帯アメリカ、いつの頃か分かりませんが、
栽培用に導入されたものが野生化したそうです。
この葉は少し多肉質で、食用としてはサラダなどに使えますが、導入時の目的が食用なのか、観賞用
なのかは、はっきりしません。
花は強い日差しを避け、午後3時前後に開くことからサンジバナ(三時花)の別名があり、
生えている場所も木の陰などで、ある程度直射日光が制限されたような場所が多いようです。
ハゼラン <スベリヒユ科 ハゼラン属>
神前に捧げるなど、主に神事用に用いられてきました。
主に関東地方から西の山地に自生するツバキ科の常緑高木ですが、比較的温暖な地域に生育するため
関東以北では同じツバキ科のヒサカキが玉串として使われています。
花期はヒサカキが2~3月であるに対して、このサカキは6~7月に花が咲き、
花は、ヒサカキの花が直径が5~6㍉であるのに対し、このサカキの花の直径は約15㍉ほどあります。
葉は鋸歯がなく全縁で分厚く光沢があります。
サカキ <ツバキ科 サカキ属> 別名/マサカキ
遠くから見ると、同じ生態を持つアジサイ属のツルアジサイと極めてよく似ていますが
ツルアジサイの場合、装飾花の萼片が3~4個で花弁状であるのに対して、イワガラミの
装飾花は1個で葉状になっています。
しかし高い木の上の方に花が咲いている場合などでは、双眼鏡での確認が必要になります。
イワガラミ <ユキノシタ科 イワガラミ属>
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山地のやや乾いた林下に生える多年草です。一見マメ科植物を思わす花ですが、ヒメハギ科に属し
花の構造もマメ科の植物とはぜんぜん違います。
先ず、花弁は3個で長さが約2㌢、筒状に合着し、その内、船形をした下の1個は竜骨弁と呼び
先端にヒメハギ科特有の髭状付属体が付いています。
萼片は5個の内、側萼片と呼ばれる2個は花弁と同じ長さで上に跳ね上がり、残りの短い3個は
花弁を外から包んでいます。
このような構造はヒメハギ科に共通するものですが、ヒメハギがほぼ全国的に分布するのに対し
カキノハグサは近畿~東海地方の比較的限られた地域でしか見られず、やや希少な植物です。
近似種にナガバカキノハグサがありますが、これも分布は近畿~東海地方に限定されているようです。
カキノハグサ <ヒメハギ科 ヒメハギ属>