キツネノカミソリはヒガンバナ科の植物で、ヒガンバナと同様に早春に水仙に似た葉が出ますが
夏草の生い茂る頃には葉が枯れ、一旦は地上から姿を消します。8月初め頃、花茎を伸ばし
オレンジ色の美しい花を咲かせます。
和名は「狐の剃刀」で、花被片を剃刀に見立てたものですが、藪の中に花茎が立ちあがって咲く
明るいオレンジ色の花は、狐のスマートな体形と体色をイメージさせます。
ヒガンバナが9月中旬頃から人里で咲き始めるのに対して、キツネノカミソリは山地の明るい林縁で
8月下旬~9月中旬と、少し早目に咲き始めます。
キツネノカミソリ <ヒガンバナ科 ヒガンバナ属> 多年草 有毒植物
ゲンノショウコは古くから下痢止めの薬草として使われてきました。
この草を食べるとたちどころに薬効が現れて下痢が止まることから「現の証拠」と
名付けられたといいます。
花の色は、赤と白の2種類ありますが、西日本では赤が多く、東日本では白が多いようで、
事実、私の住んでいる京都府の南部で見られるもののほとんどは赤花です。
葉を乾燥させたものは「ゲンノショウコ茶」として飲用できますが、葉の形はキンポウゲ科の
有毒植物、ウマノアシガタと極めてよく似ているので、花の咲いているものを採取するのが
無難です。
ゲンノショウコ <フウロソウ科 フウロソウ属>
8~9月に花を咲かせます。
花冠は3裂し、先は反りかえりますが、開花後は比較的短い日数で落花するためか整った形の
花があまり見られません。
雄蕊は6個で白く扁平、花柱は長く約7㍉で先端は上に曲がります。
この植物の花や葉は有毒で、食べると嘔吐、下痢、神経麻痺などの症状が出るので要注意!
同科同属には他に、高山の森林限界近くに生えるミヤマホツツジがありますが、花柱は本種
より短く、花冠の裂片の幅はもう少し広いようで、花の形は本種より整っています。
ホツツジ <ツツジ科 ホツツジ属> 落葉低木
こちらは高山に生えるミヤマホツツジです。
私が出歩くのも当然ながら陽が少し傾く4時位からです。
5月で既に仕事をリタイアしている私ですから本当は涼しい午前中がいいのでしょうが、
最近になって少し状況が変わりました。
8月の初めになって勤めていた会社からの要請があり、1日の前半は仕事に復帰することになりました。
最近、どこの企業でも同じ問題が起きていますが、これまで人員構成の上で大きな比重を占めていた
団塊世代が一斉に退職時期を迎えた結果、知識や経験の豊富なベテランが不足して、業務に支障を
きたしているところが多いようです。
特に建設業界の一角を占める電設資材卸売業界は、長引く建設不況で人員採用を控えた結果、
30~40代の中間年齢層が育っていないのが実情です。
私としては、本当は働きたい時だけパートとして働ければいいのですが、外部から見れば
ベテラン社員の復帰、仕事に戻るとなればそれなりの覚悟が必要になります。
しかし考えてみれば、高齢者ならずとも、若い人でさえ就職が困難なこのご時世に、
先方から仕事を要請されて断る手はありません。
少し私の近況報告が長くなりましたが、画像は一昨日の夕刻に訪れた近くの森山遺跡です。
凡そ4000年前、縄文時代の住居跡です。私の家からは2㎞ほどの所にある遺跡ですが、
古代史にあまり関心がなかったこともあり、私がここを訪れるのは初めてです。
一口に4000年前といってもピンと来ませんが、お釈迦様が生まれになったのが凡そ2600年前、
エジプトでツタンカーメン王朝が栄えたのが凡そ3300年前ですから、それよりずっと古い時代の
人々の生活の痕跡が見られるというのは古代史通でもない私にとっても興味深いものがあります。
遺跡が発見されたのは、1976年(昭和51年)と比較的新しく、この辺り一帯の宅地造成中に
偶然発見されたものだそうです。
川の土手など日当たりの良い草地に生えるユリ科の多年草です。
夏草が生い茂る7月初旬ころまでは休眠期に入りますが、8月下旬には花茎が立って
その先端に総状花序を付け、淡紫色の花を多数咲かせます。
鱗茎は昔、飢饉の時に粉にして餅を作るなど食糧として利用されていたそうですが、
有毒との説もあるので山菜としてはあまりお勧めできません。
和名は漢字で「蔓穂」か「鶴穂」だと思われますが、どうもよく分かりません。
ツルボ <ユリ科 ツルボ属>
一昨日は”処暑”でした。昔から暦の上ではこの日から暑さが和らぐ日とされています。
しかし実際は「処暑なのに猛暑?」暑さが和らぐどころか一層熱くなった感があります。
「暑さ寒さも彼岸まで」とか申しますから、9月23日位まではこの暑さが続くんでしょうかね?
まだ1ケ月近くもありますからちょっとウンザリです。
暑気払いという訳ではありませんが、今日の画像は名も姿も涼しげなマツカゼソウです。
この植物は山を登る時、登山口近くの湿った木陰でよく見かけますが、和名は「松風草」で
微風にゆれるやさしい草の姿に趣があることから名付けられたものです。
このマツカゼソウは草本としては珍しいとも言えるミカン科に属する植物です。
葉は3回3出羽状複葉で、裏は白っぽく「油点」と呼ばれるものがあって、葉を揉んでみると
同じミカン科のサンショウに似た臭気があります。
この臭気には昆虫や草食動物などの食害を防ぐ忌避効果があるそうです。
マツカゼソウ <ミカン科 マツカゼソウ属>
山野の林の縁や谷間など、少し暗い場所に生えるタデ科の多年草です。
和名は、細い花穂を上から見ると赤く、下から見ると白いことから紅白の水引きに
喩えたものです。
花弁はなく、萼片は4個あり、卵形で赤く下部は白い色をしています。
花柱は突出して先端は鉤型に曲がっています。
ミズヒキ <タデ科 タデ属>
モクレン科の蔓性植物で、8月に固い質感のある1.5㌢位の淡黄色の花を咲かせます。
雌雄異株または同株で、稀に両性花が付くこともありますが、どういうわけか、
この株を含めて、近くで雄花や両性花は未だ見たことがありません。
雄花は比較的、早期に落花するのかも知れませんが、そのことについては
今のところ確認していません。
花弁と萼は共に淡黄色で区別が付け難く、合計数で9~15個ほどになります。
画像に見られるように、雌花は受粉の後、花床が膨らみ秋に向かって、
赤色の美しい実へと変身していきます。
サネカズラ <モクレン科 サネカズラ属> 別名ビナンカズラ 常緑蔓性
アゲハに見られるような、上翅の付け根近くの筋模様が無く、同じ部分が黒塗りになっていること
で見分けられます。
それと、キアゲハのもう一つの特徴として、アゲハに比べて後翅の瑠璃色が非常にはっきりしていて
美しいことも挙げられます。
生息環境にも若干の違いが見られ、アゲハが主に林縁や森の中を中心に飛びまわるのに対して、
このキアゲハは草原を小さな集団で、花から花へと一日中飛びまわっているようです。
幼虫の食草は、アゲハが主にミカンなどの柑橘類が中心なのに対して、キアゲハはセリ、ニンジン、
セロリ等が中心です。
キアゲハ <アゲハチョウ科>
交尾するキアゲハ、上が雌で下が雄です。
こちらが良く似た蝶で、ナミアゲハとも呼ばれるアゲハ
地色は薄く、黄色というよりむしろクリーム色といったほうがいいかもしれません。
キアゲハに比べ色彩は地味ですが、幾何学な模様はメリハリが利いていて洗練された
風格のようなものを感じさせられます。
名前が示すように、枝を折ったり葉を揉むと独特の強い臭気がありますが、
春の新芽は山菜として食され、水に晒してアク抜きをすると中々美味しいそうです。
しかし、許せる範囲を超えているとも言える耐えがたい悪臭を発するこの植物を、
最初に食べてみようなどと考えた人のチャレンジ精神には、ただただ驚かされる
ばかりです。
一方、8月の熱い季節に次から次へと咲く花は、悪臭のする葉や茎とはかなり離れたイメージで、
中々清楚でおしゃれで可愛い花です。
クサギ <クマツヅラ科 クサギ属>
花は合弁花で、萼は5裂しますが当初は袋形で、その中から花冠が伸びてきます。花冠は5裂し
やや後方に反った形で、長い雄蕊が4個と、それと同じ位の長さの雌蕊が1個あります。
萼の色は個体差があって、画像のような白っぽいものの他、ピンクや赤紫色のものがあります。
吸密のために飛来したナガサキアゲハ、元々は九州や南西諸島だけに
生息していたようですが温暖化の性か、最近では近畿~関東でも生息が確認されています。
クロアゲハに似ていますが、後翅に尾が無く、赤色の混じった白紋が艶やかです。この個体は♂ですが
♀の個体は白紋が大きく、特に美しいそうです。
同上、翅表
公園や路傍でよく見かける多肉質の1年草です。
耐乾燥性に優れているうえ繁殖力が強いので、畑の雑草としては少し駆除が厄介な植物ですが、
その一方では湯がいて芥子醤油で食べたり、油炒めしてサラダに添えるなど、身近に採れる
山菜として利用されることがあります。
和名は湯がいて食べると独特のヌメリがあることに由来するらしく、かなり昔から食用に
供されていたようです。
地方によっては独特の呼び名があり、代表的なものではヨッパライグサ(千葉県)、ひょう(山形県)
などがあります。
園芸にくわしい方はお気づきだと思いますが、葉は園芸植物のポーチュラカの葉に極めて近い
形をしています。
これは、ポーチュラカがスベリヒユを原種として改良された園芸品種だからです。
スベリヒユ <スベリヒユ科 スベリヒユ属>
8~9月に白い花を咲かせますが、約3.5㍉位の大きさで、私の視力では肉眼で
形を確認することもできないほどです。
その花とは対照的に目立っているのが、行儀よく並んだ丸くて可愛い果実です。
和名は漢字で「水玉草」で、並んだ丸い果実を水玉に見立てたものですが、
この植物の涼しげで可愛い雰囲気を上手く表現したネーミングと言えます。
同科同属にウシタキソウという形の良く似た植物がありますが、本種のように
茎の節部分が赤味を帯びていないことと、葉が広くハート形をしている点が異なります。
ミズタマソウ <アカバナ科 ミズタマソウ属>
茎の節部分が赤味を帯びるのがミズタマソウの特徴、近似種のウシタキソウは赤味を帯びません
花は珍しい2数性で、萼が2枚、2裂した花弁が2枚、雄蕊が2個、雌蕊が1個となります
主役は花よりむしろ果実、表面の密生する白い毛は鉤型をしています。
立秋を過ぎた頃、涼しげな紫色の花が藪に咲き、葉がラン(蘭)に似ているところから「ヤブラン」と
呼ばれていますが、ラン科ではなくユリ科の植物です。
花は他のユリ科に見られるように、花被片は萼に相当する外花被が3枚と、花弁に相当する内花被が
3枚の合計6枚によって構成されています。
常緑樹の暗い林下にも生えることはありますが、明るい林縁か谷筋でないと画像のような花は
咲かないようです。8月末~9月中旬が花の見頃です。
果実は種子が露出し、径は6~7㍉で秋には黒く熟します。
ヤブラン <ユリ科 ヤブラン属>
今日はお盆の頃に咲くキンポウゲ科の良く似た花を2種類をとりあげました。
センニンソウとボタンズルですが、何れも蔓性植物で、花弁はなく
花弁に見える十字型に配した4枚の白い萼片と長い花糸が特徴のよく似た花です。
これらはあまり似ていませんが、クレマチスやカザグルマなどの近縁種でもあります。
では、この2種類の何処がどう違うのか?以下6枚の写真で夫々の特徴を拾ってみました。
センニンソウ <キンポウゲ科 センニンソウ属>
蔓性ですが、さほど長い蔓をのばさず、樹木に絡まって昇るようなことはありません
萼片はボタンヅルと比べると長く花糸の2倍位の長さで色はほぼ純白です
葉の形は重要な決め手です。センニンソウの小葉は「全縁」といって切れ込みがありません。
ボタンヅル <キンポウゲ科 センニンソウ属>
こちらは蔓を中低木に絡んでかなり上の方まで昇ります。
花はセンニンソウに比べて萼片は短く花糸の長さとほぼ同じです。
そのため花糸の長さがより強調されて見えます。萼片の色は少しクリーム色をしています。
蕾の先端が丸くなっているのも決め手の一つです。
ボタンヅルの小葉には牡丹の葉のような深い切れ込みがあり、決め手はこの葉の形
であると言ってもよいでしょう
木津川の土手でワレモコウの花を見つけました。
これを最初に見るのは毎年、盂蘭盆会の頃なので、私の中では「お盆の花」というイメージがあります。
実際には8月の初旬~10月中旬と、かなり花期は長いそうですが・・・
この花は一つの実のような形をしていますが、花弁のない萼が4枚の小さな花が多数集まって穂状花序を
形成しています。
和名の漢字表記「吾亦紅」の由来はよく分かりませんが、一説によると「われもこうありたい」という
はかない願いをこめて名付けられたとか?
確かに立秋を過ぎた頃、草むらにひっそりと咲いているこの花の姿には、どこか哀愁のようなものが漂います。
10月以降でも咲いているように見えますが、所謂ドライフラワーで、花自体は終わっています。
ワレモコウ <バラ科 ワレモコウ属>