花の大きさは約1㌢ほどですが、よく見るとモクレン科らしい雰囲気があります。
雌雄異株で、花弁と萼の区別のないやや厚みのある花被片が9~10個あり、
雄花は、中に数個の雄蕊、雌花は10数個の雌蕊があります。
雌花は花後に花床が膨らみ、球形の赤い果実を付けます。
枝には粘液物質が多く、これが男性の整髪料として使われたことから
別名、ビナンカズラとも呼ばれます。
サネカズラ<モクレン科 サネカズラ属> 雌花
先日、「クズ」の記事で「夏の木津川河川敷を覆い尽くす勢いで・・・」とクズが繁茂している状況を書きました。
しかし、ここ数年前から、クズに混じって、このアレウリが見られるようになり、だんだんとその勢力を
広げているようです。
このアレチウリは、第2次世界大戦後の昭和20年代前半に、アメリカやカナダから輸入された大豆などに混じって
日本に上陸した外来種のウリ科植物で、言ってみれば農産物輸入の申し子です。
繁殖力が凄まじく、在来種を駆逐する恐れがあるため、2006年に駆除すべき「特定外来生物」に指定され、
栽培や移動が法律によって禁止されています。
一級河川の木津川流域では、今のところ農作物など、
一般に被害が出ていないので、特に駆除対策はとられていないようです。
星形というより、ヒトデ形といった方がピッタリの奇妙な形の花です。
毛むくじゃらで、お世辞にも綺麗とは言えませんが、珍花として人目を引きます。
近づいて、花の匂いを嗅ぐと独特の香りがあり、中には蜜腺があるのか、蟻がたくさん
潜り込んでいることが多いようです。
ガガイモ<ガガイモ科 ガガイモ属>
10月頃から小さな赤い実を付けるフユイチゴが今花を咲かせています。
とは言うものの、白い7㍉程の花、通りがかるほとんどの人は気付かないでしょうね。
私もじっくり見たのは、今回が初めてです。
よく見ると中々清楚で可愛い花、近くのお山に行かれた時はぜひ見てやってください。
フユイチゴ<バラ科 キイチゴ属>
キンミズヒキ<バラ科 キンミズヒキ属>
名前の後に「ミズヒキ」と付きますが、タデ科のミズヒキとは全く別の仲間で
キジムシロやヘビイチゴなどと同じバラ科に属します。
タデ科のミズヒキの白花のものをギンミズヒキともいうので、少し紛らわしい名前ですが、
鮮やかな黄色の小花が並ぶ姿を、金色の水引に見立てたものです。
「感謝」という花言葉が与えられていますが、もう一つには「しがみつく」というのがあります。
これはこの後できる果実に鈎型の刺があり、人や動物につく、ひっつき虫であることからでしょう。
梅雨明け宣言が出てから3週間目の日曜日です。
今朝はコオロギの鳴く声を耳にしました。
例年に比べかなり短かった今年の夏、少し物足りなかったような気がします。
近くの山を歩いていて、道脇にツルリンドウの可愛い花が咲いているのを見つけました。
夏の終わりを教えてくれる花なのでしょうか?
季節は秋に向かって少しづつ歩き始めている様です。
ツルリンドウ<リンドウ科 ツルリンドウ属>
蔓性の多年草ですが、蔓はそれほど長く伸びず、低い草の茎に絡むか、地面を這って伸びます。
今頃から咲く、薄紫色の小さな花はあまり目立ちませんが、秋には花弁の中で大きく育った実は
鮮やかな紅紫色で、残存する花冠の上に突き出し、花よりむしろこちらの方が目立ちます。
クズ<マメ科 クズ属> 万葉集にも詠まれた秋の七草の一つ
日本の代表的な大型の蔓草で、山野のいたるところで見られます。
8月~9月にかけて咲く花は、大きな葉に隠れてあまり目立ちませんが
中々美しい色と趣のある形で、秋の七草のひとつにも数えられます。
繁殖力が強く、盛夏には1日に1㍍も蔓を伸ばすともいわれるほどです。
私の住んでいる城陽市の西を流れる木津川の河川敷も、夏場はまるで河原を埋め尽くす勢いで
クズが繁茂しています。今ではほとんど利用されず邪魔者扱いされるこのクズですが
根は大量のデンプンを含み、精製すると良質の葛粉がとれ、葛餅などの食料になる他、
葛根湯などの薬用にも使われます。
また、花は民間薬として乾燥させたものに湯を注ぐと二日酔いに利くそうです。
簡単な利用法でのおすすめは、花の蕾を集めて、ホワイトリカーに氷砂糖を加えて漬け込むと
香りのよい花酒が楽しめます。この場合は花は1週間位で引き上げ、後はゆっくり熟成させます。
大きな葉に隠れて目立ちませんが、アメジスト色の中々美しい花です。
ヤブラン<ユリ科 ヤブラン属>
庭園などに植えられたりしているので、特に珍しい花ではありません。
園芸種では美しい斑入りの葉を持つものなどもよく見かけますが
山地の藪で、人知れずひっそりと咲くこの野生のヤブランの
落ち着いた雰囲気にも中々捨てがたいものがあります。
名前は、葉が蘭に似て、藪に生えるところから
花は暑い盛夏を避け、8月下旬から10月迄、涼しくなっていくのに合わせるようにすこしづつ咲いていきます。
晩夏には黒い実をたくさん付け、鳥が食べることによって種が媒介されます。
コウホネ<スイレン科 コウホネ属>
16日はお盆休みの最終日、お墓参りはそれまでに済ませていたので、近くの
井出町野外活動センターに出かけました。
ここには大正池という治水用のダム湖があって、水面をなでる風が涼しく、歩いていても
あまり暑さを感じさせません。言わばとっておきのクールスポット・・・
池の一番奥まったところにコウホネの花が咲いていました。
スイレンの仲間ですが、太い茎には似合わない愛嬌のある小さな花を咲かせています。
漢字では「河骨」ですが、これは白い根茎が肥大して白骨のように見えることによります。
5枚の花弁の様に見えるのは萼片、その内側に多数あるリボン状の部分が花弁です。
中心には雌蕊があり、雄蕊はその周りに多数、寄り添っています。
黄色だけでなく、美しいオレンジ色をしたものも・・・
キントン餡をたっぷり詰めた和菓子を連想してしまいます。
ゲンノショウコ<フウロソウ科 フウロソウ属>
薬草としてよく知られている植物です。昔から陀羅尼助丸などの下痢止めの生薬に使われ、
薬効が速やかに現れることからこの名前があります。(生薬名は老鶴草)
花の色には赤花のものと、白花のものがありますが、分布の傾向は比較的はっきりしていて、
関西より西では赤花が多く、中部関東より北では白花が多いようです。
私の住む京都の南部方面では、白花は見たことがありません。
ボタンヅル<キンポウゲ科 センニンソウ属>
花の形だけを見ると、昨日の記事で取り上げたセンニンソウによく似ています。
違っている点は、センニンソウの花の径が3㎝位であるのに対して、ボタンヅルは1.5~2㎝と
一回り小さいこと、小葉に深い切れ込みがあること、長い蔓で他の木に絡みつくことなどで
見分けることができます。花が少し地味なので、一般的にはセンニンソウの方が美しいと言われています
名前の由来は、葉が1回3出複葉で牡丹の葉に似ていることから
花はセンニンソウに似ていますが、径1.5~2㎝と一回り小さく、その分だけ長い雄蕊が目立っています。
深い切れ込みのあるボタンヅルの葉、センニンソウには、この切れ込みがありません
センニンソウ<キンポウゲ科 センニンソウ属>
漢字で書くと「仙人草」、私の愛用している山渓カラー名鑑「日本の野草」で調べましたが、
名前の由来については「意味不明」とだけ記されています。
4枚の花弁の様に見えているのは萼で花弁はありません。キンポウゲ科の多くの植物が有毒であるように、
このセンニンソウにも毒があり、牛や馬はけっして食べないそうです。
果実は7~10㍉で、花柱は宿存して長い羽毛状になり種子に付きます。この羽毛を仙人のあご髭に
見立てたとすればそれなりに納得できますが、はたしてどうなんでしょうか?
種子ができてからじっくり眺めて考えることとしましょう。
画像の仙人草は木津川河川敷の雑木林に自生しているものです
ツルボ<ユリ科 ツルボ属>
この花の良さは、いかにも野草らしい素朴さでしょう。優しい薄紫色の花は、さほど人の目を引く
ものではありませんが、どことなく上品な雰囲気を持った花です。
「つるぼ」という愛嬌のある響きを持った呼び名は漢字で書くと「蔓穂」となりますが、
これは単なる当て字、名前の由来はよく分かりません。
一説によると、鱗茎の皮を剥くとツルッとしているところから「ツルボウズ」、これを縮めて「ツルボ」に
なったとも言われています。
鱗茎にはデンプンが多く、古くは飢饉時の農民の非常食とされていたようで、水に晒したものを煮て食べたり、
粉にしたもので餅を作ったりしたそうです。
さりげなく咲く野の花にも、
このような封建時代の貧しい農民たちの生活史が秘められているというのは妙味深いところです。
穂状の花序には萼や花弁はなく、両方を兼ね備えた花被片が6個と雄蕊が6個、それに雌蕊があります。
このような特徴はユリ科に共通するもので、形状は同じユリ科のノギランなどとよく似ています。