「頓知の一休さん」で知られる一休禅師のお寺です
一休寺
名にしおはば 逢坂山のさねかづら 人に知られて来るよしもがな(三条右大臣)
百人一首に登場するサネカズラです。
この一首を見る限り、古くは現在のように「実葛(さねかずら)」ではなく
「実鬘(さねかづら)」が使われていたようです。
カズラ(葛)は広く蔓植物一般を指しますが、カヅラ(鬘)は髪飾りのようなもの・・・でしょうか?
しかし、それはあくまで現代的な解釈であって、歴史的に見て、仮名文字の使い方に大きな変遷が
あったことを考えれば、一概に「葛」と「鬘」の間に意味の違いがあったかどうかはよく判りません。
サネカズラ<モクレン科 サネカズラ属> 常緑蔓性
基本的には雌雄異株の植物ですが、雌雄同株であったり稀には両性花も存在します。
蔓性とはいうものの、他の植物に絡みつくというタイプではなく、どちらかというと寄り添って
生きているいる印象が強い植物。
葉や枝には粘液が多く、古くはこの粘液を水に溶かして整髪料として使われていたらしく
別名でビナンカズラ(美男葛)と呼ばれるのはこのため。
少し植物に興味のある人なら、この画像を見て「ああ、これアオツヅラフジですよね」という答えが
返ってくると思います。
和名は全くその通りで、ツヅラフジ科/アオツヅラフジ属/アオツヅラフジで間違いありません。
ところが本来、このアオツヅラフジの名前は現在のツヅラフジ(またはオオツヅラフジ)の別名だったらしく
江戸時代の本草学者がそれまでカミエビと呼ばれていたこの植物を誤ってアオツヅラフジと記述したため
それが一般化したようです。
カミエビには「薬効がある神のエビヅル」の意味があるようですが、エビヅルはブドウ科の植物で
オオツヅラフジやアオツヅラフジとは全く別系統の植物です。
その意味ではこの誤った記述は意図せず、この植物の正しい分類に貢献したようです。
アオツヅラフジ<ツヅラフジ科 アオツヅラフジ属> 落葉つる性
ナツハゼは主に低山に生えるツツジ科スノキ属の落葉低木で、秋に黒褐色に熟す液果は
適当な酸味があり、生食の他、ジャムなどに加工して食べることができます。
第2次世界大戦終戦より間もない時期に少年期を迎えた私達が、山遊びの中で学んだ
懐かしい「食べられる木の実」の一つでもあります。
当然ながら、当時の私達の周りには植物図鑑というような便利なものもなく、植物名を知る
手だてなどあろうはずもありません。
実際にこの植物の名を知り得たのは、数年前から始めた写真撮影とパソコンのお陰でしょうか?
尚、スノキ属ではスノキ、ウスノキ、クロマメノキなどの液果も食べることができ、食用として
売られているブルーベリーもこの仲間に入ります。
ナツハゼ<ツツジ科 スノキ属> 落葉低木
明るい雑木林の中、ふと足元に目を落とすと、可愛いセンブリの花が咲いていました。
この辺りでは晩秋の到来を告げるリンドウ科の2年草です。
そう言えば、今年もあと60日・・・
近頃、時の流れや社会の変化というものが矢鱈早く感じてしまうのは歳の性でしょうか?
ただ、そういったものに感覚は付いていかずとも肉体的老化現象だけは容赦なく
我が身に押し寄せてるのは確かな事実で、食事や運動など、健康面に気を配りながら
日々若さだけは見失うことなく過ごしたいものです。
ところで、このセンブリは全草を乾燥させたものが胃腸の働きを活発にする漢方薬として
使われますが、和名は「千振」で、千回振り出してもまだ苦いというのがその名の由来とか・・・
実際に噛んで試したことはありませんが、かなり苦いに違いありません。
センブリ<リンドウ科 センブリ属> 2年草