山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

キダチコンギク(木立紺菊)

2011-10-31 21:53:21 | 双子葉離弁花

 近くの野外活動センターにある草藪で見付けた野菊の一種です。
ヨメナなどに比べ、舌状花の幅が細く繊細で美しい花です。
茎の基部が木質化していることや、頭花の形、花序などから判断して
断定はできませんが、北米原産の帰化植物でシオン属のキダチコンギク
(木立紺菊)が候補として挙げられます。

キダチコンギクは比較的新しい帰化植物で、朝鮮戦争当時、米軍を主力と
した国連軍が日本に持ち込んだ軍需物資に混じって上陸したといわれます。
最初に発見されたのは九州で、その後、関東以西で棲息が確認されていますが
数の上では頻繁に見られるほど多くはないようです。

ところで、分類学上「野菊」という科名や属名は存在しませんが、ヨメナやコンギク、ノジギクなど
菊に似た形の花を咲かせる野草を総称して一般に「野菊」と呼んでいるようですが、
日本国内に約300種類とも言われるこの野菊の大半はシオン属で、野菊=シオン属の総称
といっても概ね間違いではないと思います。

このことからも判るように、シオン属という狭い範囲に多くの近似種がひしめきあって
いることと、詳しい図鑑などが殆んど市販されていない現状では山野草愛好家にとって
野菊は同定泣かせの植物といえます。
キダチコンギク

 

 

 

 








キダチコンギク
















キダチコンギク
















キダチコンギク

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アキグミ(秋茱萸)

2011-10-26 19:42:03 | 植物(木本)

アキグミは晩秋に赤く熟する果実が美しいことから、現在では主に庭木として観賞用に
栽培されています。
この果実は食用として美味とは言えませんが、ほんのり甘く一応食べることができます。

昔は秋になると山で遊ぶ子供達がこの実を採ってよく食べていたものですが、食べた後に
舌に不快な渋みが残るので、もし今の子供達が1粒食べたなら途端にぺっと吐き出して
その後は手を出さないのでは?

それでも6月頃に熟するナワシログミに比べると渋さや味はまだましな方で、グミの仲間
としては比較的、生食に適している?部類です。

実用的な利用法としてはホワイトリカーに漬けこんで果実酒とすると風邪で喉を痛めた
時の症状の緩和に効果があるそうです。

また酒類の苦手な人は蜂蜜に漬けこむと良く、同じ効果があるそうで、この場合、利用
するのは成分の溶け込んだ蜂蜜の方です。

枝や葉を煎じたものは昔から民間薬として使われ、枝には強心作用があり、葉は喘息の
症状を抑える効果があると言われています。
アキグミ <グミ科 グミ属> 落葉低木アキグミ
















アキグミ

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クコ(枸杞)の花

2011-10-24 21:56:13 | 双子葉合弁花

クコは平安時代に中国から薬用として渡来した史前帰化植物と考えられていますが
具体的な渡来の経緯について書かれた史料は残されていないのでよく判っていません。

現在では果実を乾燥させたものを中華食材、または薬用として利用する目的で栽培され
ているものもありますが、大きな川の土手などに普通に生えています。

花期は8~11月で葉腋に画像のような紫色の直径1㌢ほどの花を2~4個束生します。
画像では一部、結実しているのが見えていますが、果実は長さ1.5~2.5㌢の液果で
橙紅色に熟し、食べるとほんのり甘い味がします。

果実を乾燥させたものは、そのままドライフルーツとして食べる他、氷砂糖を加えて
ホワイトリカーに漬けこみリキュールを楽しむこともできます。

一応、全草が薬用とされていますが、葉には少ないながらも有害なアルカロイドが含まれ
ているので、用法や適量については充分な知識を持った専門家による指導が必要です。

クコ <ナス科 クコ属>  落葉低木クコの花

 

 

 

 

 

 




クコの花

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釣瓶落とし

2011-10-19 22:34:02 | Weblog

秋の日は釣瓶落とし とはよく言ったものです。

日の沈むのが随分早くなりました。

気まぐれに夕日をバックに休耕田のコスモスを逆光で撮ってみました。

コスモスは熱帯アメリカ原産で明治時代に輸入された園芸植物ですが

米の減反政策が行われた十数年前から、休耕田に植えることが流行りだし、

今では農村の秋の風景としてすっかり定着してしまった感があります

青く澄み渡った秋空の下、華やかに咲き乱れる姿は中々良いものですが

夕暮れのひと時、迫る宵闇にゆっくりと溶け込んでいく姿もまた格別です。

 

 

 

 

 

 

 

 














 

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コブシ(辛夷)の実

2011-10-16 22:56:34 | 植物(木本)

モクレン科の樹木であるコブシは3月~4月に各地の里山で芳香のある純白の花
を沢山咲かせて人々の目を引きます。

しかし、花の時期以外は、ほとんど注目されることもない樹木なので、その時期に姿を
見せない葉や果実は一般に馴染が薄いのではないでしょうか。

画像は10月になって熟した状態の果実です。
この果実は一見、虫瘤のように見えていますが、袋果が集まった集合果で、瘤が多く
この姿が拳を握った形に似ていることから「コブシ」の名が生まれたとする説もあります。

但し、このような集合果はコブシに限ったものではなく、モクレンやタムシバなどの
他のモクレン科の果実にも共通する特徴です。
 コブシの実
















コブシの実













この袋果は裂けると赤色の種子が白い糸で吊り下がります。
コブシの実3

 

 

 

 

 






コブシの実

 

 

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トノサマバッタ(殿様飛蝗)

2011-10-08 18:05:47 | 昆虫

トノサマバッタは日本国内で見られるバッタ科の昆虫では最大の種類です。
 
私の少年時代は第2次世界大戦後の復興期であったとはいえ、都市の周辺でも
住宅開発は未だそれほど行われておらず、近所には「原っぱ」と呼ばれる空き地
が沢山ありました。

そこに棲んでいたのが、このトノサマバッタです。その空き地にはショウリョウバッタや
クビキリバッタなど他の種類のバッタも沢山棲んでいたのですが、虫取りをする子供達が
他のバッタには目もくれず追いかけていたのがこのトノサマバッタです。

なにしろ大きくて堂々としているし、その上、警戒心が強く動きも敏捷で捕えるのが容易で
ないことも子供達の好奇心をそそっていたようです。

最近は身近に見られる「原っぱ」と呼ばれるような空き地は、都市周辺ではほとんど姿を
消してしまったのでこの昆虫も見る機会が少なくなりました。

画像の個体は城陽市の西端を流れる木津川の河川敷で撮ったものですが、1級河川の
ような大きい川の河川敷ではイネ科の雑草も多く、トノサマバッタの棲息に必要な環境が
未だ保たれているようです。

トノサマバッタ <バッタ目 バッタ科>

色には変異が多く、1枚目が標準的なもので、2枚目が褐色型と呼ばれるものです。

トノサマバッタ1









 



褐色型の雌雄、他のバッタも同じですが、下になっている大きい方が♀です。
トノサマバッタ2

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イシミカワ(石見皮)

2011-10-06 22:46:40 | 双子葉離弁花

イシミカワは河川敷のやや湿った場所などに生えるタデ科の1年草です。
特徴ある三角形の葉や、下向きの刺をもった茎などは、同じタデ科の
ママコノシリヌグイとよく似ていますが、刺は此方のほうが長くて鋭く、群落の中へ
足を踏み込むと、ズボンの裾に刺が絡んで脱出するのに一苦労することがあります。

花穂は短く、花冠を持たない花は目立ちませんが、10月初旬には萼は肥厚して肉質となり、
美しい藍色に熟します。
「石見皮」という名前から一見、固そうな雰囲気ですが、押さえてみると意外に柔らかく、指先で
潰してみると果汁のようなものが出てきます。

この肥厚した萼に包まれた果実は果肉を持たない痩果(そうか)で、黒い種皮に覆われた
種子が1個入っています。

イシミカワ <タデ科 タデ属>  1年草
イシミカワ

 

 

 

 

 






イシミカワ

 

 

 

 

 

 

 



花穂の基部に茎を抱く丸い皿のような葉がありますが、これは托葉と呼ばれます。
イシミカワ

 

 

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アケボノソウ(曙草)

2011-10-05 17:52:13 | 双子葉合弁花

10月の声を聞くと、どうしても気になって仕方がないのがこの花です。

リンドウ科センブリ属の2年草で、和名は「曙草」。花冠の黄緑色と濃紫色の斑点を
夜明けの星空に見立てた命名だそうです。

そんなことは兎も角として、秋になるとこの花を一度は見ておかなければ気が治まらない
という人は結構多いのではないでしょうか。

私にとってもこの花は特別の存在で、何とか上手く撮ろうと苦心惨憺しているつもりなのですが
未だ、1枚として納得のいく写真は撮れていません。

まあ、所詮素人の自己満足の域を出ることはないので、この程度で楽しんでおくのが
妥当かもしれません。

しかし、それにしても一度くらいは鳥肌の立つほど美しい写真にしてみたいものです

アケボノソウ <リンドウ科 センブリ属>  2年草アケボノソウ

 

 

 

 

 






アケボノソウ







 

 




花冠は5裂し、各裂片の中ほどには黄緑色の蜜腺が2個あって、よく虻や蝿が吸蜜に訪れて
いるのが観察されます。
この様な位置に蜜腺を持つ植物は少ないのですが、雄蕊から近い位置なので昆虫の体に
花粉が付きやすくするための特殊な構造かも知れません。
アケボノソウ














アケボノソウ

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コウヤボウキ(高野箒)

2011-10-02 17:18:33 | 双子葉離弁花

キク科の植物は分類されているものだけで世界に約1,000属、2万種あるといいます。
私の頭などでは到底憶えきれるものではありません。

山野草愛好家の間で「キクは聞くな」とか「キクはきつい」とか言われる背景には、問題として
このような種類の膨大さがあります。


その大部分は草本ですが、中には草本のように見える木本もあり、このコウヤボウキも
そんな木本の菊の仲間です。

1個の花のように見える頭花は小さな筒状花が約12~13個程集まった集合花で、下部は
総苞弁が覆瓦状に積み重なり円柱形となります。

主に山地の日当たりの良い乾いた灌木帯でよく見られ、1度見付けると時期を逃さない限り
数年間はその場所で花を見付けることができます。

和名は「高野箒」で、和歌山県の高野山でこの植物の枝を束ねて柴箒を作ったことに
由来すると言われています。

コウヤボウキ <キク科 コウヤボウキ属>  落葉小低木コウヤボウキ

 

 

 

 

 

 




コウヤボウキ

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ツリガネニンジン(釣鐘人参)

2011-10-01 18:18:02 | 双子葉合弁花

山の花としてよく紹介されるツリガネニンジンです。
植物学上はサイヨウシャジンの変種とされていますが、日本全国 の山野、高原で最も
普通に見られるのはむしろ本種の方です。

環境は必ずしも山岳地帯というわけではなく、大きな河川の土手や里山の麓でも見る
ことができます。
画像のものは城陽市内の木津川河川敷で撮影したものです。

若芽は山菜として食用に、根は薬用に利用されます。

ツリガネニンジン <キキョウ科 ツリガネニンジン属>  多年草

ツリガネニンジン

 

 













ツリガネニンジン

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