近くの野外活動センターにある草藪で見付けた野菊の一種です。
ヨメナなどに比べ、舌状花の幅が細く繊細で美しい花です。
茎の基部が木質化していることや、頭花の形、花序などから判断して
断定はできませんが、北米原産の帰化植物でシオン属のキダチコンギク
(木立紺菊)が候補として挙げられます。
キダチコンギクは比較的新しい帰化植物で、朝鮮戦争当時、米軍を主力と
した国連軍が日本に持ち込んだ軍需物資に混じって上陸したといわれます。
最初に発見されたのは九州で、その後、関東以西で棲息が確認されていますが
数の上では頻繁に見られるほど多くはないようです。
ところで、分類学上「野菊」という科名や属名は存在しませんが、ヨメナやコンギク、ノジギクなど
菊に似た形の花を咲かせる野草を総称して一般に「野菊」と呼んでいるようですが、
日本国内に約300種類とも言われるこの野菊の大半はシオン属で、野菊=シオン属の総称
といっても概ね間違いではないと思います。
このことからも判るように、シオン属という狭い範囲に多くの近似種がひしめきあって
いることと、詳しい図鑑などが殆んど市販されていない現状では山野草愛好家にとって
野菊は同定泣かせの植物といえます。