静かな南山城の山里、当尾(とうの)を訪ねてみました。
JR関西本線の加茂駅からバスに乗ると岩船寺へは16分位ですが、ここはカントリーウォークを
楽しみながら歩いて行くことにしました。
大半は車道を歩くのですが、通る車はさほど多くはありません。途中、左に「くぬぎ坂」という
苔むした石畳の旧道があり10分ほどは、しばし味気ない車道歩きから解放されます。
竹藪の中の車道を約一時間ほど歩き当尾の集落を過ぎると岩船寺に着きます。
岩船寺は素朴な佇まいの山寺で、門前には農家の人達が農作物などの地産品を売っている店や、
「吊り店」という無人のスタンドが道沿いに点在していて、干し柿、野菜、自家製の漬物などが一袋100円から
という産地ならではの値段で並んでいるので、つい3袋、4袋と買って荷物を増やしてしまいます。
しかしこれもカントリーウォークの楽しみの一つです。
紅葉が終わり、本来の静寂を取り戻した岩船寺 紅葉の時期は三重の塔がひときわ美しい
一願不動へ向かう道で見かけた風景、カントリーウォークのコースは同時に地元の人達の生活の場、
民家の近くを通る時には静かな生活環境を乱さない配慮が必要です。地域の人に出逢ったら軽く会釈
ぐらいはしたいし、「お邪魔します。歩かせていただいてます。」という気持ちを忘れたくないものです。
岩船寺前から右へ少し行くと、「石仏めぐり 浄瑠璃寺へ1.5Km」の道標があります。道標に従って
右にコースをとり、途中の急な石段を降りると、まず巨大な自然石に彫られた不動明王立像が迎えてくれます。
「一願不動」と呼ばれ、一つのことを一心に願えば、その願いが叶うといいます。
石段をさらに降りると、前方が明るくなり分岐点になっています。浄瑠璃寺へは、そのまま石段を降りて行きますが、
左に少し行くと「わらい仏」として親しまれている阿弥陀三尊があります。穏やかな笑みを浮かべた表情からは何か
ほのぼのとした親近感を感じます。
道を引き返し、浄瑠璃寺への道標に沿って坂を降りて行きます。やがて「カラスの壺」と呼ばれる辻まで来ると、
阿弥陀・地蔵磨崖仏に出合いますが、これは一つの岩の正面に阿弥陀如来座像、左側面に地蔵菩薩立像が刻まれています。
やがて田畑の中に民家が見える里景色になり、あたご灯篭と東小バス停前に出ます。
ここからは車道を歩き、浄瑠璃寺へ向かいます。途中、道路脇の竹藪の前に「藪の中の三尊」があります。
左の岩に阿弥陀如来座像、右の岩には地蔵菩薩と観世音菩薩立像が彫られています。
ここから右に入ると大門石像群と門仏谷磨崖仏が見られます。
往複50分ほどのアルバイトですが、ぜひ見て行きたい石仏群です。
首切地蔵 大門石像群
大門石像群 門仏谷磨崖仏
浄瑠璃寺参道のアセビ 浄瑠璃寺山門 以外に小さい
紅葉シーズンの終わった今、参拝に訪れる人は少ない。静寂の中に佇む浄瑠璃寺三重塔(国宝)