素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

映画「父と暮せば」上映会に香里園へ

2013年05月17日 | 日記
 寝屋川市立男女共同参画推進センター・ふらっとねやがわで13時半から上映会があるとのえ案内が新聞にあったので申し込んだ。先着50名無料であった。ふらっとねやがわは京阪香里園駅より徒歩2分となっていたので行けばわかるだろうと思っていた。行ってびっくり香里園駅の山手側がすっかり変わっていた。思えば長いこと香里園駅に降りたことがなかった。狭くてごちゃごちゃとした感じであったが、バスの発着場が関西医大のほうに移動していて広い道ができていた。

 もともと香里園付近で暮らし始めたので懐かしい思い出がいっぱいある場所である。浦島気分になった。ふらっとねやがわはJA北河内のビルの4F、確か中華料理店の頤和園があったところであった。入居しているものは違うが、ビルは昔のままのものなぜか嬉しくなった。

  『父と暮せば』(ちちとくらせば)は、井上ひさしによる舞台作品で原爆投下後の広島を舞台にした二人芝居である。

 こまつ座第三十四回公演として1994年9月に初演(鵜山仁演出)されている。それを2004年に黒木和雄監督が映画化したのである 。舞台は見たことないが、映画といってもほとんど舞台を見ているのと同じ感覚であった。舞台では出せない映像部分も最小限に抑えてあったし、父の原田芳雄と娘の宮沢りえの二人芝居で進むが、娘の未来の鍵を持つ木村という青年をほとんどセリフなしで登場させているぐらいであった。

 広島への原爆投下というテーマを井上さんはこういうふうに料理していたんだと静かな感動を覚えた。黒木和雄監督が戦争レクイエム三部作の最後の1つとして映画化したのもうなづける。黒木さんの乾いた表現が井上さんの持ち味を殺すことなく丸ごと抱え込めたような気がした。

 他の2作品「TOMORROW明日」と「美しい夏キリシマ」は見る機会にめぐまれたので今日でやっと私にとっても三部作完結の日であった。特に、長崎での原爆投下を題材にした前者は衝撃を受けた作品であった。

 偶然ではあるが、明日、井上ひさしさんが最期に書こうとした幻の作品「木の上の軍隊」をシアター・ドラマシティで観劇することになっている。巡り合わせの不思議さを感じる。

 生死の分かれ目は神様のいたずらとしか思えない理不尽さに満ちている。明日という未来を突然奪われた者の無念さ同様に生き残った者の心の傷の深さも計り知れないものがある。東日本大震災を知らずに他界された井上さんだが、宮沢りえと原田芳雄の繰り出すセリフは舞台を広島から東北に移しても通じるものがあると思った。その言葉の持つ普遍性に井上さんのすごさを再認識した。

 幻の作品の舞台も楽しみである。
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