素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「大人の学力」とはこれいかに?

2013年10月09日 | 日記
 今日の朝刊一面で『大人の学力 日本トップ(読解力・数的思考力)~OECD初調査~』という見出しを見た瞬間目が点になった。「おいおいもうやめてくれ」というのが率直な思い。普通に考えれば測定できるはずがない「大人の学力」なるものを限られた範囲で限られた方法で調査したものにすぎないものをメディアが大々的に取り上げるべきでない。

 一昔前、知能指数(IQ)なるものが能力を語る時によく使われた。これも検査内容、方法でごく一部の能力しか測定されないということでいつしか主役の座から降りている。また、心の知能指数と言われたEQがもてはやされた時もあった。

 緊密な社会生活を営む人間が自分なり他者なりを知るために何らかの方法で数値化するという試みをすることは人間にとっては宿命的なものだと思っているが、「万能のものさしはない」ということをしっかり踏まえていないとあたかも権威のあるものとして数字が独り歩きをして害をふりまくことがよくある。

 学校における「学力テスト」が今一番害が出てきている。それと同じようなレベルで「大人の学力」を論じること自体笑止千万この上ない。

 問題を抱えながらも、日本の義務教育のシステムはよく機能していることは事実であるし、歴史をさかのぼっても平安時代の女流文学の質の高さ、江戸時代の知識欲の旺盛さなど国全体としての知的レベルの高さはOECDの調査などなくても自明のことで誇りに思ってよい。

 不毛の学力論争に子どものみならず、大人まで巻き込まれることだけは御免である。

 
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