[注釈]
* quelque chose en elle les lui disait, quelque chose qu’elle croyait e^tre autre que sa propre pense’e. : les = (des) choses qu’elle disait avoir vu (...) entendu ; lui = a` ma me`re
そして、その何かを、外的なものである autre que sa propre pense’e と、母は信じていたのです。
* ぼくも、最後の一行は少し考えました。Moze さんの訳に見られるように、s’humilier devant... 「…に屈する」という表現もありますが、思い切って「情けなかった」と訳してみました。
[試訳]
さらに当時、突然母に強い衝撃を与え、掻き乱し、気持ちを揺さぶる、現在時の、あるいは外的なさまざまな出来事もあった。けれども、母の関心を変わらず占め続けていた出来事は、彼女の記憶に、思考に、頭に由来するものであったことは、確認しておかなければならなかった。たとえ母がそうした出来事を、隣の部屋で見た、あるいは誰かが話していた、あるいはラジオやテレビで話題になっていた、とあいも変わらず語っていたにしても。もちろんわたしには分かっていた。そんなことはありえないと。そうした方面から母がそれらのことを知ることなどできないのであった。母の中の何かが彼女にそうしたことを告げているのに、母はその何かが、自分の思考とは別物であると信じているのだった。
わたしは情けなかった。
*************************************************
さて、次回はようやく『母を前にして』最終回です。p.39 最後まで読み通しましょう。
みなさん、どうかあまり無理をなさらずに、大事になさって下さい。
* quelque chose en elle les lui disait, quelque chose qu’elle croyait e^tre autre que sa propre pense’e. : les = (des) choses qu’elle disait avoir vu (...) entendu ; lui = a` ma me`re
そして、その何かを、外的なものである autre que sa propre pense’e と、母は信じていたのです。
* ぼくも、最後の一行は少し考えました。Moze さんの訳に見られるように、s’humilier devant... 「…に屈する」という表現もありますが、思い切って「情けなかった」と訳してみました。
[試訳]
さらに当時、突然母に強い衝撃を与え、掻き乱し、気持ちを揺さぶる、現在時の、あるいは外的なさまざまな出来事もあった。けれども、母の関心を変わらず占め続けていた出来事は、彼女の記憶に、思考に、頭に由来するものであったことは、確認しておかなければならなかった。たとえ母がそうした出来事を、隣の部屋で見た、あるいは誰かが話していた、あるいはラジオやテレビで話題になっていた、とあいも変わらず語っていたにしても。もちろんわたしには分かっていた。そんなことはありえないと。そうした方面から母がそれらのことを知ることなどできないのであった。母の中の何かが彼女にそうしたことを告げているのに、母はその何かが、自分の思考とは別物であると信じているのだった。
わたしは情けなかった。
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さて、次回はようやく『母を前にして』最終回です。p.39 最後まで読み通しましょう。
みなさん、どうかあまり無理をなさらずに、大事になさって下さい。