フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Daniel Arasse << Histoires de peintures >>を読む

2008年05月07日 | Weblog
 次週よりフランス語読解教室 II では、Daniel Arasse << Histoires de peintures >> を読んでゆきます。先日まで東京で公開されていた 「ウルビーノのヴィーナス」から、マネの「オランピア」を見つめ直す論考です。 
 あらためて教室に参加なされたい方は,テキストを添付ファイルにてお送りしますので、
 smarcel@mail.goo.ne.jp
までご連絡下さい。
 smarcel

フランスとフランス人に対する30の質問(5)

2008年05月07日 | Weblog
Lecon 145 かな ? 注釈と試訳

 [注釈]
 * << discrimination positive >> : アメリカで言われているところの,affirmative action のことです。最近のフランスでの例をとれば,Grandes Ecoles に、いわゆる教育優先地域(ZEP)に指定されている高校の受験生を別枠で入学させたりしています。ZEPとは、Quartier sensible など、おもに家庭・教育環境に恵まれないこどもたちが多く通う教育施設がある地域のことです。
 * corriger le tir : 文字通りは、照準を正すこと、転じて状況判断の誤りなどを修正することを意味します。
 * les mesures (...) ne se re’ve`lent au final pires que le mal : neは「虚辞 の ne」と言われているものです。よかれと考えてとった施策が裏目に出ること、ですね。
[試訳]
 差別問題と取り組むフランスの政策においては近年前進が見られる。とりわけ2004年には差別問題高等事務局 (Halde)が創設され、この問題が政治の場で懸念されていることを見て取ることができる。それは以下の事実が公に認められたことを示している。移民の統合に問題があるとしても,それはおそらく移民やその子供たちの振る舞いに因る問題ではなく,むしろ「本国フランス人」の態度の問題であるという事実だ。ただ、国民アイデンティティー省なるものが新たに作られたことによって、反移民の動きが激化するという後退に加えて,つぎのような心配もある。今日ともすると状況を改善するものと考えられている「アファーマティブ・アクション」の施策が裏目に出て、フランス社会がどんどん細切れの共同体に分割されてしまわないだろうか。それならば結局、平等という共和国の理想を活かす方があきらかにましであるだろう。けれども、言うは易し...。
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 日本とフランス。同じ先進国でありながら、その社会のあり方には随分と違うところもあります。両国ともに根深い問題をそれぞれに抱えていますが,互いを相見ることによって、それぞれが有効な参照軸となることはあるのではないでしょうか。フランス社会の動きを注視しながら、日本社会のことを考えてゆきたいものです。
 みさよさん、雅代さん、その後お風邪の方いかがでしょうか。大阪はすっかり初夏の陽気ですが,週末からまた少し季節が後戻りするようです。どうかお大事になさって下さい。