[注釈]
* si (...) on allait pluto^t Manet a` Titien ? : si + 半過去で、「勧誘」の表現となります。ex. Si on allait au restaurant ce soir ?
* Je le dis par allusion pre’cise a ` un tableau tre’s connu de Manet... : le は前文の内容,すなわちマネからティチアーノに遡っててみることを指しています。で、それは漠然とした時間旅行ではなく,もっと具体的に「オランピア」から「ヴィーナス」を考えてみたい、ということです。
* Comment passe-t-on... : ここの passer はsuivre le cours の言い換えです。
* en tant qu’historien on peut essayer d’approcher l’histoire de la peinture par le biais du regard... : approcher... de ~「…を~に近づける」, par le biais de... 「…を通じて」
この本のタイトルにもかかわることですが,著者には既存の「美術史」ではなく、一枚一枚のタブロに読み取れる画家のまなざしを通して「絵画の歴史」を辿り直したいという思いがあるようです。
[試訳]
ところで、美術史の流れ通りにティチアーノからマネに至るのではなく、マネからティチアーノにさかのぼってみてはどうでしょうか。そんなふうに時間軸に逆らってカードを切ってみることもできるでしょう。私がこんなことを言うのは,具体的にはマネの、あの名高く,スキャンダラスな「オランピア」のことを考えているのです。当時からさかのぼること300年の1538年に描かれ,フィレンチェのウフィツィの特別室に展示されていた,ティチアーノの「ウルビーノのヴィーナス」から直接着想を得た、あの作品のことです。私が長らく疑問だったのは,300年にも及ぶ西洋絵画において横たわった裸婦像は数多くある中で、なぜマネはオランピアの原型としてあの作品を選んだのか。しかもオランピアは近代絵画を立ち上げる重要な作品のひとつなのです。「ウルビーノのヴィーナス」は、当時展示されていた名の知れた作品で,しかもティチアーノの最高傑作というわけでもないのですから,なおさら不思議なのです。いかにしてマネからティチアーノに至ればよいでしょうか。マネのまなざしを取り戻そうというのではありません。そんなことはできないでしょう。そうではなく、画家自身が絵画に注いだまなざしを通して、美術史家として、美術史を絵画そのものに近づけてみたいのです。もう一度くり返しますが,美術史というカテゴリーの外で美術の歴史を生み出すのは、芸術家なのです。マネがオランピア制作より10年ほど前に「ウルビーノのヴィーナス」の小さな模写を残していて,それが後にオランピアとなる事実を、美術史家はどう考えればいいのでしょうか。このつながりは歴史家が考えついたものではなく,マネ自身が辿ったものなのです。
…………………………………………………………………………………………...
次回は、p.248のl.2 まで読んでもらって疑問に思った点を書き込んで下さい。長くなりますから,訳出には及びません。
ウィルさん、「トークマスタースリム」って、どんな機械(ソフト)ですか。なんだか、それを使えば英語でもフランス語でもすらすらしゃべれそうですね。
smarcel
* si (...) on allait pluto^t Manet a` Titien ? : si + 半過去で、「勧誘」の表現となります。ex. Si on allait au restaurant ce soir ?
* Je le dis par allusion pre’cise a ` un tableau tre’s connu de Manet... : le は前文の内容,すなわちマネからティチアーノに遡っててみることを指しています。で、それは漠然とした時間旅行ではなく,もっと具体的に「オランピア」から「ヴィーナス」を考えてみたい、ということです。
* Comment passe-t-on... : ここの passer はsuivre le cours の言い換えです。
* en tant qu’historien on peut essayer d’approcher l’histoire de la peinture par le biais du regard... : approcher... de ~「…を~に近づける」, par le biais de... 「…を通じて」
この本のタイトルにもかかわることですが,著者には既存の「美術史」ではなく、一枚一枚のタブロに読み取れる画家のまなざしを通して「絵画の歴史」を辿り直したいという思いがあるようです。
[試訳]
ところで、美術史の流れ通りにティチアーノからマネに至るのではなく、マネからティチアーノにさかのぼってみてはどうでしょうか。そんなふうに時間軸に逆らってカードを切ってみることもできるでしょう。私がこんなことを言うのは,具体的にはマネの、あの名高く,スキャンダラスな「オランピア」のことを考えているのです。当時からさかのぼること300年の1538年に描かれ,フィレンチェのウフィツィの特別室に展示されていた,ティチアーノの「ウルビーノのヴィーナス」から直接着想を得た、あの作品のことです。私が長らく疑問だったのは,300年にも及ぶ西洋絵画において横たわった裸婦像は数多くある中で、なぜマネはオランピアの原型としてあの作品を選んだのか。しかもオランピアは近代絵画を立ち上げる重要な作品のひとつなのです。「ウルビーノのヴィーナス」は、当時展示されていた名の知れた作品で,しかもティチアーノの最高傑作というわけでもないのですから,なおさら不思議なのです。いかにしてマネからティチアーノに至ればよいでしょうか。マネのまなざしを取り戻そうというのではありません。そんなことはできないでしょう。そうではなく、画家自身が絵画に注いだまなざしを通して、美術史家として、美術史を絵画そのものに近づけてみたいのです。もう一度くり返しますが,美術史というカテゴリーの外で美術の歴史を生み出すのは、芸術家なのです。マネがオランピア制作より10年ほど前に「ウルビーノのヴィーナス」の小さな模写を残していて,それが後にオランピアとなる事実を、美術史家はどう考えればいいのでしょうか。このつながりは歴史家が考えついたものではなく,マネ自身が辿ったものなのです。
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次回は、p.248のl.2 まで読んでもらって疑問に思った点を書き込んで下さい。長くなりますから,訳出には及びません。
ウィルさん、「トークマスタースリム」って、どんな機械(ソフト)ですか。なんだか、それを使えば英語でもフランス語でもすらすらしゃべれそうですね。
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