今こうして閉じこもっている私たち一人ひとりの住まいから、何世紀にもわたって、暮らし、家族を養ってきた空間から、現在は仕事を済ませ家族の面倒を見に帰る場所から、私たちは各国政府とEU指導者に宛ててこの手紙を書いています。
これはお願いではなく、私たちの要請です。私たちみんなに襲いかかっているコロナウィルスの蔓延という惨状に対して、国ごとのエゴイズムを抑えて、ヨーロッパはひとつになり、連帯し、責任を負わなければなりません。私たち女たちは、常に大きな力で事にあたり、家族をまとめ、食事を用意し、心を配ってきました。先の大戦でもそうでしたし、今日でも変わりはありません。男たちとともに、病の蔓延に向き合っているのです。実際今この時も、多くの女たちが遂行可能な仕事に関わっているのです。
戦争直後とは違って、今女たちはここにいます。男たちと同じ数だけ、私たちも望んでいるのです。私たちの歴史に刻まれながらも、その経験においては長きにわたって顧みられなかった、願いと価値に沿って、再建が果たされることを。この疫病が思いがけず私たちの生活の中心に据えたのは、人々のからだであり、家族であり、人々のつながり、孤独、健康、世代間の、経済と人間の関係でした。ヨーロッパがこの悲劇に正面から向き合うことに成功するとすれば、それは、こうした価値が、これまでは主に「私的な」領域にとどめ置かれていた価値が、今、公的な価値へと変わった。そのことによるはずです。そうした諸価値が、病の拡散と戦い、勝利を収めつつある、と私たちは信じています。
欧州は、これらの価値に、女たちの力と能力に基づいて再建されなければなりません。こうした価値を最優先した大きな計画に参画しなければなりません。女たちはそれぞれの家で、この共通の思いのもとひとつになっています。(Le Monde, 2020.4.10.)
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