日本は心理的な雪崩寸前?

2006年06月28日 | 持続可能な社会

 YOKOさんの6月25日のコメントに以下のような、やや質問風の感想がありました。


 私は『スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」』を読みながら、彼(スウェーデン)と我(日本)のあまりの違いに暗澹たる気分に陥ります。問題は山積みなのに時間は短くて・・。どこから手をつけるべきかと考えると・・・。まず問題意識の共有とそれぞれのちからを結集ということですか?


 これは、多くの方が共通に感じる感想-質問という面があると感じましたので、ここでお答え風感想を述べたいと思います。

 私も、『スウェーデンに学ぶ……』を読んだ時、あまりの違いに絶望的な気分になりそうになりました。

 YOKOさんの「暗澹たる」という表現、とても共感できます。

 そうですね、問題は山積みです。

 どこから手をつけるべきか、考え込んでしまいそうですね。

 しかし、実は私は1970年代に『ローマクラブ・レポート 成長の限界』(ダイヤモンド社)を読んだ時に、すでにそういう気分になりました。

 そこで、いろいろ考えてきた結果やってきたのが、編集者時代の企画であり、自分の著作であり、サングラハの創設でした。

 そのプロセスで、願望実現瞑想法という、一見怪しく見える方法に出会いました。

 それは、簡単にいうと、宇宙の法則に沿っている切実な願望は、適切な瞑想をすると実現する、という話です。

 その第一歩は、「もし願望をもつのなら、それは必ず実現すると信じること」という原則です。

 疑っていては、実現する確率がいちじるしく下がります。

 強く信じると(そしてもちろんその信念のエネルギーを元にして適切な行動をすると)、実現する可能性が高まるのです。

 だから、願望が本当に切実なのなら、それは必ず実現すると信じるのです。

 ……というわけで、私はそれを学んで以来、絶望しかかるたびに、自分に「本当に切実に願っているのか」と問い、内面から「本当に切実だ」という声が返ってきたら、「ならば、信じよう」と言い聞かせてきました。

 なので、YOKOさんの「暗澹たる気分に陥る」のはとてもよくわかるにもかかわらず、私は暗澹たる気分にならないのです。

 それから、「時間は短くて」ということに関しては、「コスモスには進化のための時間はたっぷりあるので、大丈夫!」と思うことにしています。

 肝心の「どこから手をつけるべきか」ということについては、おっしゃるとおり、「まず問題意識の共有とそれぞれのちからを結集ということです」。

 しかも今回共有するのは1つ、「少なくともスウェーデンでは、一国単位で解決の目途がついている」らしいという驚くべき事実の認識です。

 確かに、日本との違いは大きいのですが、スウェーデンにできたのですから、日本も条件さえ調えられれば、実現できないはずはありません。

 条件を調えるには、もちろん「一人では何もできない」のです。

 しかし、一人でできないのなら、みんなでやればいいのではありませんか?

 問題は、どうすればみんなでやれるのかということですが。

 そのためには、ともかく今の段階で認識を共有できる人が「ちからを結集する」ことですね。

 その力の結集を、多くの政治家、学者・知識人、環境活動家、メディア関係者などのオピニオン・リーダーと、心ある市民で行なえばいいわけです。

 かつて梅原猛氏が、「日本人は雪崩を打つ国民である」という名セリフを言っておられます。

 大雪の積もった斜面に、小さな雪玉をぽんと投げてやると、たちまち雪ダルマになり、そしてそれに釣られて斜面全体が雪崩になるという現象があります。

 日本の歴史を見ると、日本人はなかなか変わらないように見えて、変わる時には雪崩を打って変わることのできる国民のようです。

 自然を愛してきた日本人が今環境の荒廃に感じている、まだ十分には意識化されてはいないけれど、じつはとても深い不安は、もしかすると雪崩寸前の心理状況かもしれません。

 だとしたら、必要なのは、最初の雪玉です。

 秋、私たちが行ないたいと思っているシンポジウムは、そういう雪玉を投げてみる試みです。

 雪の斜面の状態次第では、深い雪の中にぽんと埋もれておしまいかもしれませんが、雪崩を誘うことができるかもしれません。

 ともかく、やってみる価値はあると思うのです。

 ぜひ、一緒にやってみましょう。



↓というわけで、是非、クリックしてメッセージの伝達にご協力ください。

にほんブログ村 哲学ブログへ

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 休む時は徹底的に休むこと | トップ | 生命の創発の「すごさ」 »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
我ら星の子 されど先は長~い (YOKO)
2006-06-29 08:12:59
先生、誠実なお返事をありがとうございます。



私も絶望感を感じる一方で「しかし スェーデン人も日本人もおなじ人間じゃないか。だから私たちにもいつの日にかできる可能性はあるのではないか」という気もしていました。



今年2月にスウェーデンはすでに今後15年内に化石燃料に頼る方向を転換する(もう石油はつかわない方向)という方針を決めたそうです。しかも原子力発電は国民投票で廃止の方向が決まっているそうで。スェーデンは人口が少なく、森林の多い国だからできることなのかな、などと思っています。renewable resource って パルプや堆肥、エタノールなどからエネルギーを得ることでしょうか。

それに比べて日本は・・・という気はします。
返信する
感想 ()
2006-06-29 20:09:00
きょうのお話も元気がでますね。

できると思ってやるのが一番ですね。どうせ



やるのなら精一杯!



また変わるのは、陰極まれば陽に転ず、陽極まれば陰に転ずですから。



日本は大変楽しみです。



ウスイツカサ
返信する
大変お疲れ様でした (しゅとう)
2006-06-30 00:01:00
岡野先生、毎日欠かさずブログ

つけていらしてほんとに頭が下がります。

ぼくなんか、インターネット接続するのが

一ヶ月に二回ぐらいの時もありますから。

有用な情報のアウトプットありがとうございます!



w杯から考えた事、「日本人には愛国心が足りない!」ってことです。自分の国に対する誇りが他の国に比べてない。日本人のトップがあんな情けない試合して!!悔しい!

この国を良くするためには、「愛国心」は欠かせないと感じています。

どうやったら教育の場で、効果的に育てられるんだろう?



毎日の歯磨きの件、ほんとにそうです、

毎日瞑想を欠かさずやる事はほんとに大変ですが

僕は4年ぐらいやってきて「瞑想すると心が少しきれいになる」

っていうのは、確信しています!

七転び八起き!何度失敗しても起き上がろう!サンガよ!

返信する
倦まず弛まず (おかの)
2006-07-03 17:32:36
続けましょう。



>YOKOさん



 改めて、お気持ちはよくわかります。



 日本、がんばってほしいですね。いや、がんばりましょう。



>ウスイさん



 日本のこれから、心配と楽しみとでいっぱいです。どきどき、はらはらと関わっていきましょう。



>しゅとうくん



 日本人全体に、正当で妥当な愛国心を持ってほしいですね。



 そのための日本史の見直しの基礎作業をやっています。ぜひ、「宇宙塵のざわめき」を参照してください。



 心磨き、毎日少しずつでも続けましょう。私も、続けてますよ。

返信する
切実な願い (りょう)
2006-07-13 10:29:39
切実に願い信じれば可能性が大きくなるということ。

忘れかけていました。

願い信じて大悲心をもって坐禅する。

あとはそれに向かって実行あるのみですね。

頑張ります!





返信する

コメントを投稿

持続可能な社会」カテゴリの最新記事