般若経典のエッセンスを語る1

2020年09月27日 | 仏教・宗教

 今、久しぶりの次の著書として、タイトル(仮)のような原稿をまとめつつあります。

 出版不況、特に人文書・思想書の不況の中で、引き受けてくれる出版社があるかどうか、まだわからないのですが、まずネット上に公開して、読者の反応を見させていただき、それから出版を検討するという方法を採って成功している著者の方もおられるようなので、筆者も試みることにしました。

もしいいと感じたら、コメントなど何らかのかたちでお知らせいただけると幸いです。

(なお、出版が決まりましたら、記事を削除することになりますので、予めご了承ください。)

 では、以下、まず第一回目の原稿です。 

 

  仏教の歴史と「般若経典」

 

 般若経典は、大乗仏教の思想が最初に表現された経典である。したがって、大乗仏教を理解するには、他のどの経典よりもまず般若経典を理解する必要があるのではないだろうか。

 そして、飛鳥時代から江戸時代まで、日本に伝来した仏教はすべて大乗仏教であった。つまり、日本の仏教は大乗仏教なのである。最近は東南アジアに伝わったテーラーヴァーダ仏教やチベット仏教も伝わってきているが、伝統的な「日本仏教」が大乗仏教であることは変わらない。

 したがって、日本人が自らの精神的な伝統の中核にあった大乗仏教を理解するには、やはりまず般若経典を理解する必要がある、と筆者は思うのである。

 本書の目的は、日本人が自らの伝統である日本仏教を理解し、自らのアイデンティティを確立または再確立するための基礎として、般若経典―大乗仏教の思想のエッセンスを紹介することである。

 古代インドにおいて紀元一世紀前後以降、それまでの部派仏教(いわゆる「小乗仏教」)を含んで超えることを目指した大乗仏教が興り、最初の大乗経典である般若経典が創作された。

 といっても『○○般若経』と呼ばれるものは一種類ではなく、きわめて多数書かれていて、学問的にはまとめて「般若経典群」と呼ばれる。

 


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