私たちは、自分の思いどおりにならないことがあったら、腹を立て、そしてそのことをずっと覚えていたりします。
怒りというカルマが種子(「記憶」と言い換えることもできます)となって、アーラヤ識に溜まり、いつまでもなくならない、どころかしばしば芽を吹く、つまり思い出してはまた怒り・憎しみの感情が湧くのです。
人を恨み、世間を恨み、軽いとすねたり、ふてくされたり、ねじけたり、ぐれたり、憎しみを持ち続け、ひどいと怨念を抱き、呪い続けたりします。
怒り以上に、恨みは恨んでいる人自身、きわめて不愉快、嫌な気持ちで苦しいものです。まさに、自分にとって「煩悩」ですね。
恨みを言葉や表情や態度で示されるともちろん相手も不愉快ですし、恨まれた結果、復讐されることになれば、ますます嫌な目に遭わされることになります。相手にとっても「煩悩」です。
さて、怒りと同じく、恨みの奥には「自分は正しい」という思い込みがあります。
「盗人にも3分の理」ということわざがあるように、悪いことをしたと自分でわかっていても、その悪いことをした「自分なりの理・正しさ」があると思いたいのが人間です。
まして、「どう考えても絶対に自分が正しい」と信じていれば、恨みは決して解消できないでしょう。
それに対して唯識は、絶対=「対・関連性」を「絶した」、つまり完全に他と分離したような実体的な「自分」がいると思うこと自体、無明・錯覚であることを指摘します。
恨んでいる自分も恨まれている相手も、深いところ・ほんとうのところではつながって一つのコスモスなのです(なかなかそうは思えませんが)。
さらに、それが自他を共に煩わせ悩ませるもの・煩悩であることを指摘します。
恨みは、自他共に不幸にするのです。自分だけではなく相手をも、相手だけではなく自分をも。
詳しいことは「忍辱(にんにく)」のところでお話ししますが、その2つのことが心の奥底までわかる(智慧)と、恨みは解消され、何よりもまず自分の心が爽やかになります。
ここでも、凡夫である私たちにとってのポイントは、「恨んでいるのは不愉快で、ということは自分が損をしているのだ」ということへの気づきです。
私は、人を恨んでいる方には――話をよく聞いて共感した上で――「でも、恨んでいると損だから、許さなくてもいいですから、自分のために忘れましょう」とお勧めします。
一定程度時間をかけた丁寧なカウンセリングのプロセスを経ると、〔残念ながらすべてのではありませんが〕多くの方が恨みから解放されてくださるようです。
(あ、申し訳ありませんが、私は今時間の関係で、基本的に個人カウンセリングはお引き受けしていませんので、ご了承ください。)
人気blogランキングへ
↑ぜひ、クリックしてメッセージの伝達にご協力ください。
ここから根深い恨みの感情が生じること。
納得です。
恨む側も、恨まれる側も本当にはつながっている。この事実が完全に腑に落ちれば、他を恨むということがなくなる。
これは、たんに個人のレベルに留まらず、国家間の恨みのレベルにまで発展する話だと思いました。
恨みの感情からは、前向きな姿勢はなかなか生まれてこないですしね・・・
個人も国も、爽やかになりたいですね。
その中で「空の場」と「感性や理性の場」との違い、とか、「有と空は一つである。有があって空である」などという文面に感動しました。
(p147 など 「空の立場」の項)
先生著の『よくわかる般若心経」を読み終わり、今、『生きる自信の心理学』を読まさせて頂いています。
『日本大蔵経 第三十三巻』を図書館から借りました。目当ての「勧誘同法記」はありませんでしたが、『唯識論』とか『五蘊論』などが収録されていますので、読解は困難ですが少しずつ読んでいます。
有難うございした。
今後とも何卒よろしくお願いします。
人生の素晴らしいテクニックですね。
実践したく思います!
納得です。
頭ではよーく分かりました。
私も実践していきたいと思います。
そして、心と魂に深く刻んでいきたいです。
でも実践できるかな??・・・あっ間違えた。
実践しよう!!でした。
本当になぜかすぐに忘れてしまってるんです、思い出せないんです。
で、自分がこうだからみんなもこうだと勘違いして、え?何で?と思うことが時にあります。
すごく自分中心ですね。
自分も他人も不快になることをどうしてするのかしら・・・わかんない・・・
すみません。共感が難しい。カウンセラーは向いてないですね、やっぱり。
大蒜ではなく忍辱と書きますけどね。
>忘れっぽいアンナさん
いいですね。得な性格なんですね。
つまらないことは忘れたほうが明らかに得です。
でも、おっしゃるとおり、共感型カウンセラーには向いていないかもしれません。
そこは、職業的にはちょっと損かもしれませんねえ。
でもさらに、共感型ではなく説得型カウンセラーとかインストラクター型カウンセラーというのもありますから、そちらで行けばいいんじゃないでしょうか。
インストラクター型には向いてるかもしれません。何か方針が見えてきました。
実はクライアントによっては何かしっくり来ないと感じていたので・・・努力してたのですが、やはり、向き不向きがありますね。
自分らしい花を咲かせましょう!