銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

横浜歴史博物館(横浜・センター北)

2018-02-17 12:18:25 | 博物館
今回訪ねたのは、港北区にある横浜歴史博物館というところです。企画展が「銭湯と横浜」という催しだったので、地元民としては是非行かなければ!ということで、休日を利用して行ってきました。
日頃から当たり前ように触れている品々が展示されていることに不思議な感覚もありましたが、今まで知らなかったことを知る機会にもなり、充実した時間を過ごせました。


▲写真は横浜市営地下鉄のセンター南駅。本当はセンター北が一番近いのですが、今回はバスを使ったため、センター南から歩きます。


▲ほぼセンター北に向かってまっすぐ歩くだけ。


▲両脇は、市営地下鉄のブルーラインとグリーンラインの路線。本来は地下鉄なのですが、ここは地上部分に出ています。


▲ここら辺は、非常に起伏のある土地柄です。


▲川を渡り、


▲今度は上る。




▲左側のスロープを歩いて、


▲橋の下から右側を覗くと、


▲歴史博物館の建物が見えます。


▲「銭湯と横浜」の看板。


▲ぐるっと回った正面入り口。


センター北なら歩いて10分ほど。センター南なら15分程度の距離です。
歴史博物館の開館時間は9時からなのですが、思い違いで10時に到着。
ただ、開館から一時間ほど経過していましたが、ほとんどのお客さんはいませんでした。
入り口から入って左側のところに受付があり、受付の女性が笑顔で「こんにちは~」と挨拶してくれます。


受付で料金を支払おうとしたところ、どうやら企画展は無料(常設展は400円)らしく、常設展は過去に何回か見ているので、今回は企画展だけを見ることにしました。
企画展は、受付の横にある階段をのぼってすぐ左側のところにあります。
そこにも案内の女性がおり、観覧の注意などを説明してくれます。
おおまかに言うと、写真は原則OK。ただし、撮ってはいけない物もあるので注意してくださいということです(銭湯花嫁の写真など)。それと中には触っていいものもありました。


入り口の最初に出迎えてくれるのは、銭湯関連の品々ではなく、昔の生活風景を紹介したものです。

▲昭和にタイムスリップ…といっても昭和も初期と後期では全然別世界だと思うのですが、ここでは団塊世代が懐かしむようなアイテムですね。


▲ちゃぶ台は、昭和のシンボルにして、家族間の衝突を演出する舞台装置でもありました。


▲当時の洗濯機。気圧を利用した仕組みは今見ても斬新な気がします。


そうして、ようやく順路を進むと、銭湯の展示物が目に飛び込んできます。


▲横浜市内の銭湯軒数の推移。最盛期の昭和52年(1977年)は、なんと365軒! 思ったよりも古くない時期だなと思いました。


▲近年はここまで減ってしまいました。平成29年(2017年)は、69軒。40年の間に300軒もなくなったわけです。ここ10年近くも毎年4~5軒は消えています。

そして順路を進むと、右側には番台。近くで座っていたスタッフが声を掛けてきて、番台にあがってみてくださいと言われたり、バーチャル番台(番台からの風景をみることができる)のメガネもあるので半ば強制的に勧められました。ちなみに番台からの眺めは、記憶に間違いないがなければ、昨年度に閉店した戸塚区にあった矢部の湯です。


▲番台。座るところは畳敷き。


▲番台にあがると、こんな高さでした。

左側には、いつも見慣れた靴箱やケロリン桶。ここで展示されてるよりも古い施設もみてるので、まさに昨今言われてる「銭湯遺産」という言葉が実感できます。


▲お決まりのケロリン桶。実感としては8割ほどの銭湯が使っているでしょうか。


▲こちらは、かなり年季の入ったタオル。


▲昔の料金表。


▲消火器ではなく消火弾というのがあったようです。消火力は不明とか。


それと、真ん中あたりは、横浜にある銭湯の分布図。


▲解説によると、神奈川区の西側に家庭風呂をもった農家が多かったので、銭湯が一軒もなかったとか。農家に家庭風呂が普及してたというのは意外でした。当時の農家はほかの職業より裕福だったということでしょうか?
それと、今の関内にある江戸時代にできた吉田新田には労働者が多く集まり、銭湯が多かったそうです。たしかにあのあたりは多い印象がありますね。
それと鶴見区も工業地帯なので同じく銭湯を利用する労働者が多いようです。横浜の銭湯をまわった実感としては、鶴見、磯子が一番密集してるかなと思います。


▲「都筑区には昔も今も銭湯がありません。家庭風呂を備えた農家が多かったためです」と説明文。なぜ、農家に家庭風呂が多かったのか、掘り下げた説明がほしかったですね。



▲銭湯マップ。個人的には、Googleマップを使って銭湯を訪ねていました。






▲セピア色の昔の写真。女性はかなりお洒落な格好をしています。写真家が撮影しているようなので、普段とは違う身だしなみだったかもしれません。



▲銭湯を支えた人々として、横浜の銭湯は石川県、富山県、新潟県の出身者がほとんどなのだそうです。
部屋の奥にはテレビが設置してあり、「横浜ミストリー」というケーブルテレビ(Youテレビ)の番組が流されていました。その中で石川県出身者が紹介されています。
横浜の銭湯では、タイル絵が九谷焼なのは、石川県出身者が多いからだそうです。なぜ石川県や富山、新潟出身者が多いのかというと、冬は雪に覆われて仕事がないため出稼ぎに来るからだとの説明でした。
番組で紹介されてた銭湯は、いなり湯、井川湯、仲乃湯、太平湯です。
井川湯は、創業が大正時代からで、横浜で二番目に古い銭湯らしく、見るからに無機質で小さな建物ですが、当時の銭湯はこんな感じだったのかなという雰囲気を漂わせていますね。
太平湯の店主はやはり石川県出身者らしく、仲乃湯で修業して今は太平湯を営業してるのだとか。

ということで、帰りは久しぶりに仲乃湯を訪れました。



▲開店前のシャッターが閉まってる状態。てっきり15時からだと思ったら、15:30からでした。

熱めの湯船を堪能して、脱衣場に戻ると、ふと目に止まったのが石川県の北端、珠洲市にある見附島(通称、軍艦島)の観光案内ポスター。
ああ、やっぱりここも石川県出身者の銭湯なんだと知って、何となく石川県に親しみを感じる気分になりました。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 センター北
経路 まっすぐ歩くだけ
周辺の環境 ショッピングセンター群
●空間演出
建物外観 横浜市の威信を感じさせる立派な建物
壁画・眺望 常設、企画展に多数
統一感 あり
置物 色々
照明 明るい
★設備
休憩所 各所に設けられている
脱衣所 なし
シャワーの出 なし
浴槽の種類 なし
サウナ なし
温度 空調が20℃前後
棚 なし
男女入れ替え なし
■サービス
接客 素晴らしい
清潔さ きれい
貸しタオル なし
備え付け なし
◆人
受付 40代ぐらいの女性ばかり
客層 大人から子どもまで多数


【案内】

開催概要

会期
2018年1月24日 (水) ~2018年3月21日 (水)

会場
横浜市歴史博物館開館

時間9:00~17:00(券売は16:30まで)

休館日
月曜日(祝日の場合は開館)

観覧料
無料

※横浜歴史博物館ホームページ転載