江戸時代から続く華の町浅草を代表する蛇骨湯。その蛇骨湯が惜しまれつつ2019年の5月いっぱいで閉店することになった。
銭湯巡りを始めた時期に訪れた銭湯とあって、それからどうのように変わったのか確かめる意味もかねて改めて訪ねてみることにした。
【蛇骨湯】をザックリ言うと
◎黒湯、サウナ、水風呂あり
・浅草のド真ん中にある銭湯
・大きさはふつうの規模
・リニューアルして間もないのでまだ新しい感じ
・湯船もシャワーもすべて源泉使用
・外国人がけっこういる
・設備やホスピタリティに不満も
▲田原町駅
▲その周辺
▲地下からあがって北側にまっすぐ進む
▲さりげなく右をみると
▲スカイツリーがみえる
▲ひたすら真っ直ぐ
▲横断歩道を渡ったら、右にいったん渡る
▲左折したところ
▲なにやらヤバいモニュメントも…
▲この路地を右に
▲すると蛇骨湯の看板がみえてくる
▲その狭い路地を進む
▲到着
元々、ここは江戸時代に蛇骨長屋と呼ばれる長屋があった場所らしく、そうした経緯からか狭い路地のところにある。初めて来る人にはわかりにくい場所だ。
入り口の中に入ると、右側にスロープがあり、そこに下足箱。スロープ部分から土足禁止の文字がみえる。
左手には自販機。日本語だけでなく、英語や中国語など多言語の表記が貼られてあった。それだけ色んな国のお客さんが多いのだろう。観光地の銭湯ならではである。
チケットを購入して自動扉をあけると、目の前にあるのがフロント。座るのは30代半ばぐらいの女性で、ややうつむき加減で終始不機嫌そうな様子だった。貸しタオルもつっけんどんに差し出すなど、正直感じがよくない。
毎回感じるのだが、有名どころの銭湯は大抵愛想が悪く(あくまでも個人的な感想です)、このあたりはメディアに持ち上げられてることと関係があるのだろうか?
最初からつまづいた印象なのだが、左側に目を転じると男湯の入り口があり、そのさらに奥の一画にロビーがもうけられている。
テーブルを囲むように椅子が並び、外国人女性の姿も。近くには水槽もあって、金魚が泳いでいた。
のれんをくぐると、目の前にはきれいな脱衣場が広がる。真新しくはないものの近年リニューアルしたとあって、まだ新しい感じだ。
一方で以前来たときと比べてお客さんが少ないという印象も受けた。
脱衣場はそこそこ広いスペースで、ロッカーの数も多い。壁際に並ぶのと奥の方にもL字型にロッカーが設置してある。その内側にはテレビや健康機器が置いてあった。
蛇骨湯はホームページに「健康増進型銭湯」と銘打っているので、そのように健康機器をそろえたのだろう。
浴室に入ると、出迎えてくれるのがスケールの大きな富士山の絵。
出典:東京銭湯ホームページ引用
▲おごそかな感じ。こちらはペンキ絵ではなくタイル絵
そして右手前に立ちシャワーが2つ。
真ん中と左右の壁にもカランが並ぶが、左側の方は露天風呂があるので短くなっている。
シャワーの角度調節はヘッド部分を変えるタイプで、古い型のもの。
使い勝手は別段悪くないのだが、問題はそのヘッドに「当たり外れ」があることだ。
ちゃんと放射(シャワー)状に出るものもあれば、ボタボタと塊になって出てくるものもあり、そのあたりは設備管理がけっこういい加減だなと感じた。
左奥に目を転じると、隅っこに湯船。ここは珍しいことに、左側に湯船が集中する。L字型で、複雑な段差となっている。
湯船の中の左側は浅浴槽となっており、スペースとしては2人が入れる程度。
その右側は深浴槽で、けっこう深めなので立って入るしかない。
その奥にジェットバスとボディージェットが並び、一番右奥は、一段上がった浅浴槽で電気風呂となっている。
昨今の銭湯と比べると、いかにも昭和的な作りといった感じだろう。
出典:東京銭湯ホームページ引用
▲右が電気風呂。左が浅浴槽。そして真ん中が深浴槽だ
その浴槽の手前側に露天風呂と水風呂のスペースがある入り口。
出典:東京銭湯ホームページ引用
扉をあけて中に入ると(正確には、外にでるのだが)、すぐ目の前に積み上げられた庭石が見える。
その手前側に木の手すりがついており、足下は簡易な椅子が並ぶ。商店街のど真ん中ながら、素晴らしい景観で目を楽しませてくれる。
出典:東京銭湯ホームページ引用
▲露天風呂から撮影された写真
くわえて右に目を転じれば、鯉の泳ぐ小さな池がある。
ただ、時折お湯を掛け流されていているので温泉の成分が鯉に影響しないのだろうか?と思うのだが、こうして元気に生きてるから問題ないのだろう。
ちなみにお湯の成分は、「メタけい酸」及び「重炭酸ソーダ」である。つまり、東京の銭湯によく見られる黒湯だ。
しかしほかの黒湯は本当の真っ黒なのに、ここはかなり薄め。黒というより緑といったほうが近いかもしれない。その理由はよく分からない。
そして手前左側には、露天風呂。もちろんこれも天然温泉である。温度はたしか41℃ほどで、ほかの銭湯だと露天風呂は室内より高めの傾向にあるが、ここは低い。
浴槽は絶妙な深さで、座るとちょうど首に浸かる感じだ。
さらに左はす向かいには水風呂。4人ほど入れるぐらいで、窓越しにはテレビをみることもできるし、頭上にはスピーカーも設置してあった。
ただし、趣のある雰囲気を演出しながらスピーカーから流れる競馬中継はせっかくの雰囲気を台無しにしてる気がする。
スーパー銭湯でも、いい雰囲気を作りながらテレビを設置して爆音を流してるところもあるのだが、銭湯の良さは「デジタルデトックス」ができることじゃないかと思う。
ちょっと気取ったカタカナ用語を使ってしまったが、要するにスマホとかから離れられることだ。
ずっと情報の荒波を受けてる日常から離れて心を洗濯をするうえで、情報機器(テレビ)なんか銭湯にいらない!というのが自分の考えである。
客層は、ほとんど日本人だったが、ちらほら外国人の姿も。
それと、ねじりタオルを頭に巻いた老齢の男性が放置されている桶などをテキパキと回収して片づけていたのだが、店員さんだったのだろうか?
なんとなく常連客が自主的に環境整備につとめてるという感じだった。
年齢層は、老齢のお客さんも多いが、若者も同じぐらい多くいた。
常連客と観光客と自分みたいな風任せでフラッとやってくる一見さん(今回は二回目だったが)が見事入り交じる感じで、ほかにない雰囲気ではある。それとガッツリ温泉三昧境を味わいたい人には良いところだろう。
とはいえ、設備管理が甘く、一度目のような感動は正直なかった。
ほかにいい銭湯を沢山見てきたせいなのか粗さが目立ち、とくにホスピタリティに不満があったので5月いっぱいで無くなるというのに玄関を出たときに名残惜しさはなかった。
「名物に旨いものなし」(世の中の有名なものはたいてい評判倒れだ)という言葉があるが、どんなに評判がいい所も実際に来てみないと分からないというのがすべてに言えることなのかもしれない。
【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 田原町
経路 北にまっすぐ
周辺の環境 商店や古い家
●空間演出
建物外観 昭和の建物
壁画・眺望 タイル絵の富士山
統一感 あり
置物 ふつう
照明 ふつう
★設備
休憩所 脱衣場とフロント近くの小さなスペース
脱衣所 そこそこ広くて綺麗
シャワーの出 当たり外れがある
浴槽の種類 全部温泉で、電気風呂、ボディジェット、ジェットバス、露天風呂、水風呂
サウナ あり
温度 41℃、42℃
棚 あり
男女入れ替え なし
■サービス
接客 良くなかった
清潔さ きれい
貸しタオル あり(30円)
備え付け あり
◆人
受付 30代後半ぐらいの女性、20代後半ぐらいの男性
客層 高齢者、若年層、外国人
【案内】
住所
〒111-0032
台東区浅草1−11−11
電話番号
03-3841-8645
アクセス
東京メトロ銀座線「田原町」駅下車、徒歩5分
休日
火曜 祝日は営業
営業時間
13:00−24:00
(23:40浴室退室)
※東京銭湯ホームページ転載