銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

安善湯(横浜・安善)【閉店】

2023-04-29 06:04:00 | 銭湯
#安善湯
2023年4月30日閉店




JR鶴見線
#安善駅

JR鶴見線の安善駅


▲貨物列車が並び、まわりを見渡す限り工場などが軒を連ねる

▲それもそのはずで、鶴見線はもともと工業地帯の通勤者用に作られた鉄道なので、ひたすら工場が立ち並ぶ

▲踏切の奥が出口と改札口。といっても無人なのでタッチパネルがあるだけ


▲東京に近いけど、地方に来た感覚だ

▲安善駅を振り返る


▲安善駅の改札口を出たら右に進む

▲しばらく歩くと



▲コンテナ倉庫の端っこで止まり

▲左折




▲すると安善湯がみえてくる。徒歩5分程度の距離だ


▲そびえ立つ煙突

▲裏側はご自宅の玄関か


▲右が女湯で


▲左が男湯。外から男女の入り口が分かれているのはきわめて珍しい。通常は中から分かれている


▲到着


この日はタイミングが悪いことに団体さんたちと遭遇してしまい、入った瞬間から過密状態だった。
中に入ってすぐ右側が番台なのだが誰もおらず、みんなが困惑していた。中にはお金だけ置いていく人も。
店主は女湯側にいるのかと思い少し覗くと、若い女性の姿が見えたのでマズいとすぐにすっこんでしばらく待つことに。
それから80代ぐらいの女性が間仕切り壁の扉からあらわれて対応してくれたのだが、その扉もかなり大胆に開けてるものだから女湯が丸見えじゃないかと心配になった(もちろん見えない角度に立った)。
「貸しタオルありますか?」と訊ねると「ありますよ」と番台の手すり部分に掛けてあったタオルを渡してくれて、「石鹸は?」と聞かれたので、「石鹸もお願いします」と言うと「貸」の文字が書かれた石鹸を渡してくれた。




脱衣場は休憩所も兼ねた場所であるため椅子やテーブルが真ん中にあるのだが、家庭で使われるようなテーブルなので他人の自宅に来たような感覚だ。
ロッカーは奥の片隅にあり、だいぶ年季を感じさせる。鍵にかかるヒモは輪ゴムだったりと適当感満載。自分が使ったロッカーの鍵もゴムの部分が伸びきっていて、太ももにかけてもズリ落ちてくる始末だった。
浴室のひだり端には庭というか一応小さな縁側があり、タバコの吸い殻入れがぶら下がっている。中身はすっかりタールで固まり、まるでタバコの化石のようだった。






浴室の扉をあけて中に入ると、脱衣場の状況から予測できるように当然ながら人いきれで充満していた。
カランは半分以上が埋まり、椅子もほとんどなくなっていた。
浴室の作りは非常にユニークで、六角形の形をしている。その真ん中に円形の湯船が鎮座し、湯船の真ん中には仕切壁で左右2つに分かれている。3~4人が入ればいっぱいになるので、比較的小さな湯船だろう。
温度はめちゃくちゃ熱くて、右が48℃ほど。左もほぼ似たような温度でもしかすると若干低かったかもしれないが、どちらにせよ似たような温度だった。
一方で、集団で来た人たちはまったく意に介さず長湯をしていたので驚いた。自分は足を入れただけで絶対無理!と判断して、結局両方とも入れなかった。




カランは壁沿いをぐるりと覆うように取り付けられ、数はそれなりにあるが混雑してたので隣の人たちと密接しながら使うことになった。
シャワーの高さは少し高めなのでやや使いづらいのと、人が混雑してるから隣の人に当たらないか気を使った。
勢いはそれなりにあって、老朽化した状況を考えるとしっかり管理していたように思える。シャワーにつながったパイプは後付けされた形だったので、創業当時は蛇口のみだったのだろう。


壁全体のペンキはだいぶ剥離し、その歩んできた長い歴史を感じることができる。一方で、描かれているペンキ絵は意外と綺麗で、義理堅く定期的に塗り直してきたようだ。
天井を仰ぎ見ると、湯気抜きは円形にくり抜かれ、湯船の形と対応している。
とにかく浴室は当時の時代の精神を色濃く残したものなのでノスタルジックさが半端なく、閉店間近ということで哀愁感を漂わせていた。


当日は想像以上に多くの人が訪れていて、それだけみんなから愛されてきた銭湯だったのだろう。
振り返ってみると横浜の銭湯でここほど特異なところはないので、やはり無くなってしまうのは寂しいし、悔やまれる。
ただ、すべてのものにはかならず終わりが訪れるので、いずれにせよ別れを避けることはできない。貴重な銭湯の終わりを見届けることができたことだけは幸いだった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 安善
経路 住宅方面
周辺の環境 住宅

●空間演出
建物外観 めちゃくちゃ古い建物
壁画・眺望 富士山の絵
統一感 あり
置物 ヤマト宅急便のミニカー
照明 ふつう

★設備
休憩所 ロビーのような脱衣場
脱衣所 家庭的
シャワーの出 ふつう
浴槽の種類 白湯がふたつ
サウナ なし
温度 48℃
棚 なし
男女入れ替え なし

■サービス
接客 優しい
清潔さ ふつう
貸しタオル あり(0円)
備え付け 貸しせっけんあり

◆人
受付 80代の女性
客層 高齢者から若い人まで

【案内】
住所
〒230-0034 横浜市鶴見区寛政町8-1

電話
045-511-0240

営業時間
15:30〜22:00

定休日
定休日 第二・第五(日曜日)

※神奈川公衆浴場業生活衛生同業組合ホームページ転載



浅野湯(川崎・浜川崎)

2023-04-22 07:47:00 | 銭湯
#浅田湯




JR南武線
#浜川崎駅
▲浜川崎駅。南武線の尻手駅から乗り換えた終点駅である。すぐそばには鶴見線の浜川崎駅もあり、かなり特殊な場所だ

▲放置された鉄道機材にツタが生い茂るなど、なんともいえない終末感がある

▲もちろん無人駅

▲改札口を出たら右に進む。目の前に見えるのは、鶴見線の浜川崎駅

▲しばらく真っ直ぐ進む


▲ここでストップ

▲右の横断歩道を渡り

▲左折する

▲あとはしばらく直進




▲黄色看板の平和交通が見えてきたら、手前の道で立ち止まり


▲右折する

▲すこし歩くと

▲みぎに浅田湯の建物がみえる。薄緑色の建物がそれだ

▲ここで立ち止まり

▲右にむけば

▲入り口に到着


▲ここは設備が潤沢で、赤外線サウナにくわえて、温泉ミニプールまである。ただ、ミニプールは男が入れるのは、火、木、土曜日で、来たのは日曜日だったので入ることは叶わなかった




下足箱に靴をあずけて左の入り口に進むと、すぐ左側にフロントがある。
座るのは、50代ぐらいの女性。とても可愛らしい声をしていて感じが良い。
貸しタオルをお願いすると右の棚から出してくれて、「石鹸とかシャンプーは大丈夫ですか?」と聞いてくれた。
ここがユニークなのは、ロッカーの鍵が壁に掛けられており、そこから好きな番号を選べることだ。帰りのときは自分で返す仕組み。
初めて来たのでどの番号がどのロッカーに対応するのか分からないので適当に選んで、のれんをくぐる。
男湯は右側で、女湯が左側。


脱衣場に入ると、比較的大きめの空間で、シンプルな作りになっている。
すぐ手前には体重計があり、真ん中には椅子と小さなテーブル。右側はドレッサーやドライヤーが並び、奥にトイレがある。
目を引くのは浴室の右側を占めるサウナで、入り口は浴室からなのだが、側面に大きな窓が設置してあるので脱衣場からサウナの中をみることができる。もちろんサウナからも脱衣場が丸見えだ。
浴室入り口の頭上にはステンドグラスが飾られ、自然を背景にシカの親子が描かれている。
全体的に西洋の建物をモチーフにした作りなっているので、一貫したテーマを感じることができる。
それとここは上階がアパートなので、空き室があることを広告していた。
たしか2DK(間違ってたごめんなさい)で月47000円。管理費が2000円なので実質5万円ほどのようだ。最寄り駅が川崎駅になっていた。たしかに浜川崎駅も微妙な距離なので虚偽ではないと思うが、バスで15分となると陸の孤島という印象は否めない。昭和40年に作られたアパートらしく、随分と古い建物だ。


浴室の扉をあけると、浴室もだいぶ広く、島カランが2つ並ぶ。
左右の壁にもカランが続き、左の手前には立ちシャワー。立ちシャワーは左側が取り外され、右側に一つだけあった。ハンドシャワーで、勢いは微妙。
通常のカランのシャワーは普通に出てくるので問題なかった。


出典:神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合銭湯ホームページ引用
▲こちらは女湯


右側をみると、先ほど紹介したとおりサウナの入り口がある。こちらは無料なのだが、最初はてっきり有料かと思いこんで入る機会を逸してしまった。その目の前に水風呂があるが、こちらも水温を確認するのを忘れてしまった。


出典:神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合銭湯ホームページ引用


浴槽は奥にあり、珍しいことに一つの湯船だけ。古い銭湯の特徴でもあるだろう。横長で詰めれば十数人が入れるぐらいの広さを誇る。
設備もやはり最低限しかなく、右側にジェットバスが2つと左側にバイブラ。バイブラのところは水まくらがあって、しっかり機能していた。
この水まくらは少々変わっていて、工業用の太いパイプである。しかも取り付けの高さが微妙なので、そのまま首を預けようとしたら頭に当たる。もう少し下側だったら快適だったろう。
温度は41℃ほどで誰でも入れる温度なのでとても心地よかった。


壁絵は壁一面に豆タイル絵で西洋の風景が描かれている。屹立した雪山が幾重にも連なり、壮大な景色となっている。
間仕切り壁側も豆タイルで、ここにも鹿が描かれているが、五重塔ぽいものがあったので奈良あたりだろうか?
天井はゆるやかな曲線をなぞり、壁のペンキは定期的に塗り替えているのか全体的にとてもきれい。
建物は古いのにほぼ老朽化を感じさせないのは素晴らしい。
おしゃれはテーマを持つことと言われているが、ここはそうした鉄則をきちんと踏襲してて流石と思われた。
一方で受付の奥にある休憩所は畳敷きで純和風。このギャップは面白い。



出典:神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合銭湯ホームページ引用


入浴客はかなり多くて終始に賑やかだった。客層は高齢者がやはり多いが若い人もかなりおり、地域柄なのか全身に刺青を入れた人もちらほら。
客同士の挨拶しあう姿が見られて、川崎はやはり地域の繋がりを感じられた。


浴槽の設備だけ見ると少々寂しい部分もあったが、全体的に見るとサウナがあり、プールがあり、大型銭湯と比肩する潤沢さ。受付の対応もとても良くて、終始快適な銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 浜川崎
経路 西に進む
周辺の環境 住宅

●空間演出
建物外観 アパート
壁画・眺望 豆タイル絵
統一感 あり
置物 空気人形
照明 ふつう

★設備
休憩所 純和風のロビー
脱衣所 広い
シャワーの出 ふつう
浴槽の種類 水風呂、ジェット、バイブラ、浴室の奥に温水プール
サウナ あり
温度 41℃
棚 なし
男女入れ替え なし

■サービス
接客 感じがよい
清潔さ きれい
貸しタオル あり(50円)
備え付け なし

◆人
受付 50代の女性
客層 高齢者や若者


【案内】

住所
〒210-0847 
川崎市川崎区浅田1-10-14

電話
044-344-0456

営業時間
15:00〜22:00 土日7:00〜11:00/15:00〜2200

定休日
毎週月曜日

※神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合銭湯ホームページ転載

天神湯(東京・京急蒲田)

2023-04-15 06:47:00 | 銭湯 温泉
#天神湯





京急本線
#京急蒲田駅

▲京急蒲田駅。同じ蒲田駅でもJR蒲田駅とはだいぶ離れている


▲階段を降りて


▲改札口

▲地図をみると羽田空港線に沿って歩く


▲東口

▲空港線に向かって歩き


▲歩道橋をのぼり


▲階段を降りて


▲降りたら、空港線の下をくぐって左の道に進む

▲空港線沿いに道があるのだが、こちらには進まず

▲さらに左にある商店街の狭い道に進む

▲ここを真っ直ぐ進むだけ



▲おそば屋さんが左に見えてきたら

▲その隣に天神湯がある


▲到着


出典:東京銭湯ホームページ引用


▲日曜日だと9時から朝風呂をやってるようだ

▲男女入れ替えがあり、この日は男湯が一階だった。


出典:東京銭湯ホームページ引用


▲二階に下足箱がある


靴を預けて入り口に進むと、右側にフロントがある。座るのは、70代後半ぐらいの女性。
話し声がとても上品で感じが良い。ただ気になったのが、テーブルにお茶の入ったマグカップを置いてあること。結露などで下が濡れることもあるだろうし、その近くでタオルの受け取りをするのは若干抵抗を感じた。
フロントの後ろに券売機があるので、そちらで入浴券などを購入する。貸しタオルは50円だった。
先ほどの入り口から見て左側に広い食堂があり、軽食サービスもおこなっているようだ。


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲受付とロビー

出典:東京銭湯ホームページ引用
▲食堂


この日は男湯が一階だったので階段を降りると、大型銭湯らしく脱衣場は広いスペースになっている。
ただロッカーは壁沿いをL字に並んでいるので、数人が同時に使用しているとぶつかりそうになる。これだとせっかくの広いスペースが有効活用できていないように思えた。
すみっこにはドレッサーがあり、ドライヤーは有料。


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲かなり広々とした脱衣場


浴室に入ると、浴室も当然ながら広い。
目の前には島カランがあり、右側の壁沿いにもカランが並ぶ。
左手前には立ちシャワー。
みんな勢いがあって使いやすいのだが、最初に使う時はかなり熱かった。


浴槽は浴室の左側を占めていて、入り口から見て奥側に主浴槽がある。
とても大きくて十数人は入れる規模だろう。ベーシックな設備が揃い、電気風呂を皮切りに座湯、ボディジェット、ハイパージェットと続く。
温度は43℃ぐらいと銭湯としては平均的な温度なので快適。


出典:東京銭湯ホームページ引用


入り口の手前側にあるのは水風呂で、ここは何回か来てるのだが、なぜかくる度にみんな潜水している。もはやこの銭湯の文化なのかもしれない。
その水風呂の隣にサウナがある。サウナもスーパー銭湯並みの広さで、大きさに驚く。そして一番すみっこにあるのは、ブラックシリカの湯船。この湯船は3~4人程度でいっぱいになるが、ここの銭湯の一番の目玉である。
解説を読むとブラックシリカとは北海道の南方でしか産出されないもので、幻の天然鉱石と呼ばれている。
成分は珪草類が堆積した天然鉱石で、アイヌ民族のあいだではかつてナウマンゾウがブラックシリカのある水辺で水を飲んでいたところ傷が早く癒えたという言い伝えがある。しかしナウマンゾウが絶滅したは2万年前なので、はたしてその頃の話を正確に言い伝えているのだろうかと若干疑問が…。
赤外線を放出してるので地中まわりは融雪が早く、地元の人たちはブラックシリカを砕いて融雪剤代わりに使ってるそうだ。だとすると幻の天然鉱石と呼ぶにしてはずいぶんと扱いが雑すぎる。


入り口から見て浴槽の真っ直ぐ進んだ先には露天風呂がある。
特別な創意はないけれども、広くて10人ぐらいは入れそうな大きな浴槽だった。
外気浴用の椅子もあるので、そこに座ってまったりしてると、ゆったりした時間が流れる。
頭上はほとんど屋根で覆っているが、隅っこのところだけ空いているので、雨が若干吹き込んでいた。


出典:東京銭湯ホームページ引用


壁絵は、パネル写真で滝の写真が飾られているが左右対称なので、半分を切ってそれを反転させて一枚の形に作ったものだろう。


客層は、おどろくべきことに親子がほとんど。もともと大型銭湯はこうした親子連れが多い傾向にあるが、ここまで親子ばかりの銭湯ははじめてだった。
幼稚園児ぐらいの男の子と女の子がわんさかいるので、まるで幼稚園にまぎれこんでしまったかと思うほどだ。
さらに小学生だけのグループもいたり、どうしてこんなに子どもが多いのか不思議なほどだった。


建物は古いので所々老朽化した部分はあるが、全体的に綺麗で快適。
ほぼ標準的な設備が大半を占めているので目新しさはないのだが、一つひとつの精度が高く雰囲気もまってりしていて、こうした安心感が親子連れや小学生グループを呼び込む理由かもしれない。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 京急蒲田
経路 東へ真っ直ぐ
周辺の環境 住宅

●空間演出
建物外観 ビル
壁画・眺望 なし
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう

★設備
休憩所 ロビー
脱衣所 広い
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 電気風呂、座湯、ボディジェット、ハイパージェット、水風呂、ブラックシリカ
サウナ あり
温度 42℃
棚 あり
男女入れ替え あり

■サービス
接客 上品
清潔さ きれい
貸しタオル あり(50円)
備え付け なし

◆人
受付 70代の女性
客層 多彩な年齢層


【案内】
住所
〒144-0035
大田区南蒲田1−7−23

電話番号
03-3731-7069

営業時間
14:00−24:00
土曜、祝日は12時から、日曜は9時から営業

※東京銭湯ホームページ転載

みやこ湯(東京・要町)

2023-04-08 06:42:00 | 銭湯
#みやこ湯




東京メトロ副都心線
#要町駅

▲要町駅。本来の最寄り駅は、東武東上線の大山駅なのだが、渋谷方面から行くと時間もお金も掛かるため、準最寄り駅の要町駅から行くことに

▲階段をのぼって


▲今はやりのストリートピアノがあった


▲帰りのときになると、けっこうギャラリーがいた。弾く曲目と腕前によっては多くの人が立ち止まるようだ

▲改札口


▲地図を見ると3番出口がいちばん近い


▲外から見た3番出口


▲出口をでたら


▲左に曲がる

▲あとはしばらく真っ直ぐ行く








▲ここの横断歩道を渡ったら

▲左折


▲サイクルベースあさひを横切り




▲セブンイレブンがみえてきたら


▲ゲオの手前で右折する


▲すると、みやこ湯がみえる。要町駅から歩いて20分ぐらい掛かった。やや健脚向けのコースだろう



▲到着。看板の文字が店名よりもサウナを赤字で強調している


▲下足箱のところ


入り口ですでに男女に分かれている。ということで、受付は番台と分かる。
建物の中に入った瞬間から独特の匂いが立ちこめていて、この匂いはなんだろうか?と考えたが、結局分からなかった。
ちなみに、ここはサウナブームの立役者となった「サ道」のドラマ版で、記念すべき第一話に登場した銭湯だそうだ。つまりサウナ好きにとって知られた聖地。
後になって知ったのだが、たしかに振り返ってみると、玄人好みの銭湯であった。さらに蛇足ではあるが、この日は一日中曇り空だったのに、みやこ湯に向かう時だけみごと晴れていた。


靴をあずけて扉をあけると、古い形の番台ではなく、実質フロント形式の番台だった。というのも、脱衣場の入り口にはのれんが掛かっているので、番台からは脱衣場の中を見ることができない。
こちらは1960年代に創業したらしいので、途中で一度は中普請したのかもしれない。もしも当時のままだとしたら、かなり進歩した銭湯だったろう。
受付に座るのは、60代ぐらいの女性。お世辞にも愛想があるとはいえないが、しっかりした対応をしてくれた。
「貸しタオルありますか?」と訊ねると、「ありますよ」と白いタオルを出してくれた。帰りのときは目の前にある赤いカゴに入れてほしいと言われた。


のれんをくぐって中に入ると、そんなに広いわけではないが、いろんなアイテムが整然と並べられていて、古いのにすごく綺麗なのに驚く。
天井には今は絶対にないようなデザインの丸い照明が5つ並び、昭和の意匠を堪能することができる。こういうタイムスリップした感覚はワクワクさせてくれる。
ロッカーは奥と左側にあり、100円を投入するコインリターン式。そういえば受付で千円を出して返ってきたのが100円玉5枚だったのはそういうことかと納得。じつは電子マネーでも決算できたのだが、使わなくて正解だった。
脱衣場の真ん中にはテーブルと椅子が並び、帰りのときはくつろぐ人たちが沢山いた。

出典:東京銭湯ホームページ引用
▲脱衣場側から見た入り口。のれんの奥に番台がある


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲新聞や本を読む人たちがいた。脱衣場にはテレビもあるので、テレビを見てる人たちもいた


浴室の扉をあけると、こちらも古い建物ながら清潔感に溢れている。
真ん中に島カランがあり、左右の壁にもカランが並ぶ。
ただし、左隅側の手前がサウナで、こちらのサウナは一般の銭湯にしてはやや奥行きがある。
サウナを出てすぐ目の前には水風呂。一段上がった作りになっていて、特別感を演出している。水はすべて井戸水だそうだ。
水温は16℃前後ぐらいだろうか。個人的にはけっこう冷たいと感じた。
その水風呂の奥に立ちシャワーがある。ハンドシャワーでお湯しかでないものだ。足下には赤い踏み台があった。つまり、立ちシャワーから水風呂に入れるようになっているのだが、水風呂がサウナの目の前にあるので、わざわざサウナから反対側の立ちシャワーに迂回して汗を流して水風呂に入る人がいるだろうか?と疑問に感じた。不思議な動線である。
ちなみに、通常のカランのシャワーはとても勢いがあってすごく使いやすい。しかも備え付けのシャンプー類があるので、すべて手ぶらで楽しめる。


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲こちらは女湯。若干、男湯と作りが違う感じだ


浴槽は奥にあって、左側の白湯と右側の薬湯に分かれている。
白湯を左から見ていくと、最初はバイブで、詰めれば2人ぐらいが入れるが、実質1人用のスペース。
左壁の頭上にはテレビが埋め込まれていて、脱衣場のテレビとおなじくプロ野球を流していた。
主浴槽の右側をみると、真ん中には岩盤泉。効果があるとされる複数の鉱石を砕いて焼き固めたプレートが座るところに配置されている。
さらにはその隣にジェットバスの座湯が2つ。なかなか勢いがある。
ところで岩盤泉から座湯に移る時に足下に湧出口があるのか熱湯が当たってかなり熱かった。
白湯は全体的に44℃か45℃ぐらい。少なくとも43℃以上だったと思う。


出典:東京銭湯ホームページ引用


最後の右端には薬湯がある。
この時の薬湯は、白濁の「ユッカ濁り湯」と呼ばれるもので独特の匂いがした(入り口の匂いとは別物)。
深浴槽で、白湯よりほんの少し熱いぐらい。なので45か46℃ぐらい。


出典:東京銭湯ホームページ引用
 

壁絵は富士山の絵で男女と地続きではなく、個別に枠が作られている。
そのためお互いに男女別個の富士山が描かれていた。
その下にはタイル絵で、桜越しに山口県にある錦帯橋が描かれている。なぜ錦帯橋なのか分からないけど、経営者の出自と関係があるのだろうか。


出典:東京銭湯ホームページ引用


客層は、ほぼ高齢者だが、若い人もちらほら。これはドラマの影響か。あるいは設備が整っているからか。基本的に綺麗で設備がちゃんとしたところは有名無名を問わず若い人がいる。客同士で特に会話はなかったが、水風呂に入るときに、「うおーい」「うあ“ー」といちいち叫んでる人がいた。


しっかりと熱湯を堪能して、そろそろ出るかと入り口の棚に置いておいたタオルを取ろうとしたら、あったはずの貸しタオルがなくなっていた。
本来なら目の届くところに置いておくべきだったのだが、後の祭り。仕方なく自然乾燥させることに。
ちょうど春先だからクーラーや扇風機も稼働していなくて、乾くのにずいぶんと時間が掛かってしまった。
とりあえずお店の人にお詫びしなければと思い、「すみません、貸しタオルをおかりしたのですが、入り口の棚に置いておいたところ無くなってまして…」「え、なくなったの?…使います?」と新しいタオルに手を伸ばしてくれたが、すでに乾燥済みなので(髪は若干濡れてたけど)「大丈夫です」とお断りして、「弁償したほうがよろしいでしょうか?」とお伺いをたてたら、「しなくていいです」と言ってもらえた。
いちおう自分も被害者とも言えなくはないが、管理が甘かったのは否定できないので、猛省。これからは目の届くところに置いておこうと決心したのだった。


そして、みやこ湯を振り返ると、最初から最後まですごく良い銭湯だと感じた。清潔であること、設備がしっかりしてること、サウナ料金が安くてコストパフォーマンスが高いこと、なによりも美しい形で昭和の世界が今も残ってること。アクセスはやや不便であるが、一度は訪れることをオススメしたい銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 要町
経路 高速道路沿いに歩く
周辺の環境 セブンイレブン、ゲオ

●空間演出
建物外観 ビル銭湯
壁画・眺望 富士山の絵、錦帯橋
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう

★設備
休憩所 脱衣場
脱衣所 綺麗
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 水風呂、バイブラ、岩盤泉、座湯、薬湯
サウナ あり
温度 45℃前後
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 丁寧
清潔さ 綺麗
貸しタオル あり(0円)
備え付け あり

◆人
受付 60代の女性
客層 高齢者や若者


【案内】

住所
〒173-0025
板橋区熊野町34−14

電話番号
03-3956-0631

アクセス
東武東上線「大山」駅下車、徒歩10分

休日
金曜

営業時間
15:30−24:00

※東京銭湯ホームページ転載

のれんと日本人の曖昧さ

2023-04-06 06:42:00 | 銭湯考

銭湯巡りをしていると必ず遭遇するものが、暖簾(のれん)。日本独自に進化した布製の看板である。
銭湯にしても、スーパー銭湯にしても、必ずあるものだ。銭湯以外だと飲食店の入り口にも多くみることができる。
もともと、のれんはお店の名前をあしらった看板の意味もあったし、開店している目印でもある。
現代に至っては、伝統的な風情の演出に使われることがほとんどだ。

今はなくなりつつあるが、昭和の頃は家の中に珠暖簾(たまのれん)というものも取り付けられていた。ひと昔前まではのれんは家庭の中でも日常生活にとけ込んだ身近なものだった。ただ、今は廃れて見かけることがほぼない。

なぜ珠暖簾が無くなってしまったのかは定かでないが、家の作りが和風から洋風に変わったことが主な原因だろうと指摘されている。本質的には、プライバシーを明確に区別する時代になったからではないかと推察する。

のれんは目隠しであると同時に、境界を示すものであった。
ただしその特徴は物理的に遮断するものではなく、記号として見せることで相手を完全に排除するわけではないメッセージを含ませている。そして相手にそれを守ってくれるモラルがあることを前提としていた。
日本の家屋は障子に象徴されるように、完全なプライバシーを守ることはなかった。その曖昧さを良しとすることが、日本人らしい感性ではないかと感じる。

一方で、最近は曖昧さをよく思わない考え方が少しずつではあるが浸透し、世の中全体が線引きを明確にしてるように思える。
線引きがルールならば、曖昧さはマナーである。
マナーは絶対に守らなければならないわけではないが、一般的に不文律で守るべきものとされる。そこには相手が持つモラルへの期待があり、期待に応えようとする社会の成立が前提にある。
人はモラルに不信感を覚えると、マナーではなくルールを適用しようとする。
のれんの衰退は、他人への信頼やモラルに対する認識の変化とも無縁ではないのかもしれない。