銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

地下鉄博物館ー東京の地下鉄は不撓不屈の精神により掘削された

2022-09-29 06:26:00 | 博物館


東西線の葛西駅に隣接する地下鉄博物館に行ってきました。今回の特別展は地下鉄の父と呼ばれる早川徳次に関するものです。



チケットを購入すると、入り口は改札口になってます。このあたりからコダワッテますね。



最初に出迎えてくれるのは昔の車両。当時の地上にある鉄道は地味な色ばかりだったそうですが、地下鉄は黄色や赤などビビッドな色が使われました。今見ても大胆で斬新な色使いです。





すみっこにあるのは早川徳次の胸像。こちらが東京の地下鉄を最初に提案し、実行し、経営した人物です。





開業ごとの記念チケット。



最初の銀座線は10銭均一だったので、チケットがありませんでした。なので記念チケットも当然ありません。



こちらは舞台裏コーナー。どうやって地下鉄が作られるのか、どのように整備しているかなどを解説してあります



副都心線の高低差が分かる模型があって



池袋から雑司が谷で一気に下るのは歩いていて実感しておりました。



渋谷ももちろん。谷とつく地名は文字通り谷になっております。



地下鉄を掘る際に、実際に使われたシールドマシンの刃です。






シールドマシンの後ろは延々と機械が連なっており、動く工場といった様相です。





パンタグラフなんかもあり





シミュレーションコーナーが特に充実しています。





お子さんたちが夢中になって遊んでいました。







今回の特別展は早川徳次さん。東京に地下鉄を作った人物です。





山梨県に生まれ、最初は政治家を志して後藤新平の秘書になるのですが、そのうちに鉄道に関わるようになって鉄道の重要性に開眼します。



ロンドンの地下鉄を視察して、東京にも地下鉄を作るべきだと決意します。それがのちに日本初(しいてはアジア初)の地下鉄になりました。





なにごとも先立つものは金ですが、その資金を巡って当初は苦労します。外資導入を検討しますが、同意直前に関東大震災が起きて見送られます。それからはじめに計画していた浅草ー新橋間の運行をとりやめ、浅草ー上野間に絞ります。
工事も決して順風満帆だったわけではなく、豪雨による浸水や陥没、事故によって進退伺いを求められる時もありましたが、「大事を成し遂げるには、 心の平静を保つことこそが最も必要」と信念を貫き、批判をしりぞけました。



運営に際しては当時の最先端技術を多く取り入れ、安全面でもATS(自動列車停止装置)が導入されるなど画期的なものばかりでした。



内装は豪華です。間接照明を使ったりと、デザイン性も秀逸でした。



今までにないオシャレな制服も採用され、煌びやかさが随所にみられました。



経営もやはり苦労の連続です。世間は不景気で、早く借金を返せの要望により一時期は倒産寸前まで追い込まれますが、どうにか持ちこたえます。



こうした金の苦労もあってか、経営の多角化に乗り出します。阪神急行電鉄(いまの阪急電鉄)の手法にならい、雷門ビルを建設。さらには日本初の地下商店街「上野地下鉄ストア」を開業します。
当時の人々は地下に商店街があるなんてびっくり仰天したと思います。現在はその跡地に東京メトロ本社ビルが建っています。



さらには百貨店と提携します。
三越が本店前を通過することを知ると、駅の工事費を出す代わりに駅名を「三越前」にしてくれる?と提案します。お金を出してくれるならばお安いご用!と承諾します。
さらには、松屋(いまの松屋銀座)が身を乗り出してきて、金を出すから上野と末広町の間に駅作ってくれよと言われ、お金を出してくれるならばガッテン承知の助!と今度は上野広小路駅を作ります。とりあえずお金を出してくれればなんでもありだったようです。
日本橋駅は白木や高島屋、銀座駅は松屋が関わっています。のちにデパート巡り乗車券まで販売されます。
東京メトロってなんでこんなにデパートとつながってるんだろう?と思っていたのですが、こういう百貨店との蜜月は開業当初から始まっていたんですね。



こうした経営の才気煥発ぶりはほかでもみられました。
たとえば延伸によって浅草ー新橋間が開業した際には、3日間に限り運賃無料を計画。融通のきかない省庁から許可が下りないと、最高15銭だった運賃を3日間一律5銭にして、さらには福袋にお菓子とおもちゃを詰めて配り、記念乗車券を販売。くわえて流行歌のレコードを作成して、優待券と一緒に近くの喫茶店や食堂に配ったといいます。地域全体を巻き込んだイベントに発展して大いに盛り上がったようです。



デパート巡り乗車券は、いまはお得きっぷのハシりでした。




このように幾多の困難と試練に直面しましたが、創意工夫によって乗り越えて今に至ります。現在の様々なサービスも源流をたどれば、こうした早川徳次さんの始めたことが多いことに驚かされます。

「およそいかなる世にも仕事をするに大切なものはひとである。…殊に大切なのは人の和である」

「必要の事は何時か必ず実現する。必要は不可能のことすら可能に変へて行く」

こうした信念に基づき、反対や批判の声をはねのけて偉業を達成しました。
アイデアの創出とともに信念を貫く大切さはいつの時代も普遍なんだとあらためて思い知らされました。


五色湯(東京・椎名町)(リニューアル)

2022-09-24 07:40:00 | 銭湯
#五色湯








西武池袋線
#椎名駅
▲西武池袋線の椎名町駅。池袋に隣接する場所だ





▲階段かエレベーターであがり


▲グルッとまわれば


▲改札口


▲そばにはコンパクトなスナックコーナーがあるが


▲注目はこちら。漫画の梁山泊と呼ばれたトキワ荘があったことだろう


▲いまは最寄り駅が都営地下鉄の落合南長崎駅になってしまったが、当時はトキワ荘の最寄り駅が椎名町駅だった


▲当時の編集者が原稿を効率的に回収するために一つのアパートに漫画家たちを集めたそうだ。合理的な発想が、後世に伝説を生み出したと言える




▲南口を降りたところ(南口は出口が2つあるが、ここは上りエスカレーターがある方面の出口)


▲近くの地図をみると

▲右斜めに五色湯の文字がみえる


▲高速道路の下をくぐって


▲右の道にすすむ






▲ここでストップ


▲えがお歯科のところを目印に左折して


▲まがれば五色湯がみえてくる




▲マンション銭湯だ


▲コインランドリーを併設


▲2022年9月15日にリニューアルオープンしたので、訪れたのはリニューアルしてまもなくの日だった




▲到着


こちらはリニューアルする前のときも来ていたが、とにかく指折りのカオスな空間だった。どうカオスだったかというと、あふれる物が乱雑に置かれ、ロッカーの上には無数のプラモデルが飾られてあった。プライベートと公共空間の境界が曖昧な銭湯だった。それがいまやリニューアルして生まれ変わっている。


のれんをくぐると、なぜか左側のスペースに若い女性が座っており、「いらっしゃいませ」と挨拶してくれてから「サウナに入りますか?」と聞かれた。
「入らないです」とキッパリ言うと、「では、そちら(右側)に回ってください」と言われた。
最初は話が飲み込めなくて、
「サウナの人はそっち(左側)から回るのですか?」とアホな質問をすると、笑顔で返してくれて、そうではなくて人数制限をしている最中だったので整理券を配ってるとのことだった。


下足箱のスペースはどうしても狭かったけれども(人と入れ違くときはすれ違うのに苦労した)、バリアフリーになっていて内装はやはりとても綺麗だった。
下足箱の横には小さな券売機が置いてある。
入浴料は500円で、フェイスタオルはレンタルで50円だった。
自動扉をあけて中に入ると、左手前のところに受付があり、座るのは20代ぐらいの男性。その横にはおなじ20代もしくは10代後半ぐらいの若い女性が立っていた。
やり取りを伺うと、男性が女性に仕事を教えてる様子だった。
チケットを差し出すと男性従業員は女性に、「フェイスタオル」と言って、なぜか自分に直接わたさず女性に渡して(仕事の流れを教えていたのだろうけど)、女性からフェイスタオルを渡された。返す時は返却用のカゴがあるのかと思ったけど、帰りのときも女性が「こちらにどうぞ」と受け取ってくれた。
受付のそばには高齢の男性が座っていて、「いらっしゃいませ」と挨拶をしてくれた。おそらくここの店主だろう。
女湯は右側で、男湯は左側だった。


のれんをくぐると、まず驚かされたのは足元が畳だったことだ。新装開店したばかりなので、新品の畳の匂いが充満していた。まわりを取り囲むロッカーもそれぞれ大きさが違っていて、最適のサイズを選ぶことができる。標準の大きさでも十分に大きいので、よっぽどの荷物を抱えた人でない限り問題ないだろう。
それよりも個人的に感心したのはロッカーの鍵だった。
通常だとこの手のデサイナーズ銭湯はコインリターン式(100円を投入して、鍵を戻せば100円が返ってくるやつ)で面倒を強いられるが、ここはそうではなかった。
そのかわりに白いキーホルダーみたいなのがぶら下がっており、なにこれ?とよくよく見ると、ICチップみたいなものだった。これなら客が間違って持ち帰っても入り口でピーピー鳴って客を捕まえることができる。万引き防止の仕組みを応用したものだろう。この仕組みなら近年できたスーパー銭湯より進んでる。
脱衣場のアメニティはティッシュのみで、ドライヤーはもちろん有料。デザイナーズ銭湯の中でこの吝嗇ぶりは潔い。
間仕切りのところは、むかしの広告が飾られてあった。体重計もデジタルではなく針ではかるタイプ。随所に昭和の記憶がアイコンとして活用されている。


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴室の扉をあけると、やはり元の銭湯と比べてずいぶんと生まれ変わっている。
真ん中には島カランがあり、右の間仕切り側にもカランが連なる。
左は浴槽が並び奥まで続いている。
カランのシャワーはスーパー銭湯にあるようなプッシュ式ではなく、ハンドルでまわす固定シャワー。自分の都合で出し続けることができるので快適だ。一方で、シャワーの温度は自分で調整できないのでちょっと熱いのが不満だった。
もう一つ目を引いたのが、桶が木桶だったことだ。こちらも新しくてとても清潔感がある。
ところで今までの銭湯だと木桶のところは「カッコーン」と鳴るのに、ここは「カッ」で終わった。コーンという余韻がないのはなぜ?! 床との相性なのだろうか?


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴槽をくわしく見ていくと前側が主浴槽で、主浴槽の手前は深い段差になっておりジェットバスが3つ横に並んでいた。
残りは浅浴槽で温度は42℃ぐらいとまずまずの温度。中温湯とかかれてあった。
その奥が白濁の湯で深浴槽であり高温湯だ。この高温湯がデサイナーズ銭湯ではかなり珍しく、48℃ぐらいはあったんじゃないかと思う。こうした熱湯を用意したのは、やはり銭湯はこうあるべきという店主のこだわり、あるいは昭和の頃からつづく伝統を堅守したい思いがあったのかもしれない。
ならばその熱い思いを受けとめてやるぜ!とばかりに勇ましく入ったのだが、膝まで入ったところですごすごと撤退した。やはりヘタレの自分には厳しかった。自信がある方はぜひチャレンジしてみてください。


出典:東京銭湯ホームページ引用


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲高温の白濁湯


島カランの奥には大きな大黒柱があり、その裏手に立ちシャワーが設置してあった。
立ちシャワーのヘッドは大きな蓮の葉のように広がった円形で、勢いはまあまあだったが使いやすかった。
その立ちシャワーの右側にサウナがある。サウナは整理券を発行するほど大人気だが、整理券があれば入れるかというと扉の前で行列ができていた。ちょっと覗いただけだが、やはり小さくて狭い。近場の住民でない限りここのサウナの利用は少し考え物だろう。
立ちシャワーの裏手には水風呂が用意されていた。
水風呂は段差があって、意外と深く、人数は詰めれば4~5人は入れそうだ。水温は冷たくて18℃ぐらいだった。


出典:東京銭湯ホームページ引用


左に目を転じると浴槽の裏手側に休憩スペースが用意されていて、3人ほどが座れる長いすがある。
その長いすの前には外の空間に外気浴のスペースがある。扉をあけて外にでてみると、小さなスペースであるが無駄なく活用されていた。
奥のほうに椅子が4つ並び、入り口すぐ真横には寝っ転がれるリクライニングチェアがある。
椅子に座れば、頭上にそびえるのは大きな煙突で、建物からダクトが煙突につながっていた。いまでも現役なんだと妙に感心した。
ここの人たちはちゃんとマナーがしっかりしていて、外気浴の椅子を立つときは、すみっこにある蛇口で桶に水をくんで椅子に水を流していた。もちろん自分もそれにならって、椅子を立つ時は水で流した。


出典:東京銭湯ホームページ引用


全体的に昭和の銭湯をテーマにした作りになっているので、統一感はしっかりしている。設計は近年の銭湯を開拓してきた第一人者である今井健太郎事務所。
もしも自分に資金があって銭湯を営業する勇気があるなら、今井健太郎事務所に設計を頼むだろうなと妄想する。


過去の五色湯を知っているだけに、リニューアルしたらどうなるんだろう?と期待と不安が入り交じっていたが、まさかここまでちゃんと今風の銭湯に生まれ変わってるとは思ってもみなかった。
椎名町駅の線路を跨いだ反対側には池袋を代表する妙法湯という巨人がおり、この地域で生き残るための方向転換をはかったのだろう。
たしかに微に入り細をうがって完成度は高く、これから多くの若い人たちを引きつけるだろうと思った。
ただ、かつてのような乱雑さは姿を消して経営者の個性が漂白されてしまった姿には一抹の寂しさを感じたのも率直な気持ちだった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 椎名町
経路 住宅街の方へ
周辺の環境 住宅街

●空間演出
建物外観 マンション
壁画・眺望 
統一感 あり
置物 ゆっポくん
照明 薄暗い

★設備
休憩所 ロビー
脱衣所 畳敷き
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 ジェット、白濁湯、水風呂
サウナ あり
温度 42~48℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 ふつう
清潔さ きれい
貸しタオル あり(50円)
備え付け あり

◆人
受付 20代の男女
客層 若者や高齢者


【案内】
住所
〒171-0031
豊島区目白5−21−4

アクセス
西武池袋線「椎名町」駅下車、徒歩3分

休日
水曜

営業時間
16:00−24:00、土・日曜15:00−24:00
入浴受付最終23時30分、サウナ最終受付23時

※東京銭湯ホームページ転載

サン光湯(戸田・戸田公園)

2022-09-17 06:17:00 | 銭湯
#サン光湯






JR埼京線
#戸田公園駅
▲JR埼京線の戸田公園駅。ここは東京に隣接する埼玉県戸田市だ


▲なかなか広い駅



▲エレベーターを降りて




▲改札口


▲改札口を抜けたところ


▲地図を見ると右の現在地から左の中山道沿いへとむかう


▲戸田中央総合病院を横切り


▲目的地は消防署の近くにある


▲東口へとむかい


▲左に歩き


▲階段のところから右に見るとマツモトキヨシがみえると思うので


▲そのマツキヨのところへと歩く




▲すると戸田中央総合病院がみえてくる


▲病院を前にして右折


▲曲がったところ


▲まっすぐ歩けば中山道にぶつかる


▲奥に中山道がみえる


▲中山道まで来たらローソンを左折して


▲直進する


▲右手に消防署がみえるので


▲左の道に進む

▲左折したところ


▲するとサン光湯がみえてくる。名前からサン光線(ビーム?)と空見しそうだ


▲立派な煙突である


▲コインランドリーも併設




▲夜間はLEDが灯されるようだ


▲到着


入り口に入って下足箱にサンダルを預けると、右手が半自動扉になっていた。
ガラッと開ければ昭和らしい雰囲気を漂わせるロビーが奥まで続き、その左側に受付のフロントがあった。
座るのは、60代ぐらいの女性。下町の女将さんという感じで稟(りん)としたところがあった。
「貸しタオルありますか?」とたずねると「ありますよ」とのことで、下から取り出してくれた。千円札をだすとお釣りは550円だった。
東京の銭湯が500円の時代に450円の入浴料はうれしい。埼玉といっても目と鼻の先は東京なので、ここもほぼ東京。かなりのお得感がある。


出典:サン光湯ホームページ引用


出典:サン光湯ホームページ引用


女湯は左側で、男湯は右側だった。
のれんをくぐると、やや広い感じの脱衣場になっていて右側にロッカーが並び、真ん中にかけては椅子が置いてある。
のれんのそばには格言というか箴言(しんげん)の文句が書かれた紙がいくつも並んでいた。偉人の名言的なものではなく、親父の小言とかそんな感じの知恵袋ようなものだ。
やはり個人経営は店主の趣味や嗜好がストレートに反映されて面白い。


浴室の扉をあけて中に入ると、やはり浴室も少し広いスペースが確保されている。ただ人で混雑していたので若干窮屈感はあった。
真ん中には島カランがあり、左右の壁にもカランが並ぶ。
シャワーの出は軒並み勢いがあったものの線が細いのでやや物足りなかった。


出典:サン光湯ホームページ引用


湯船は奥にあってL字型をしていた。右側が手前に伸びている。
左側から見えていくと、最初は薬湯でこの日はもや(乳白)だった。
2人ほどが入れるスペースで、42度ぐらいとまあまあの温度。その右側が白湯の主浴槽で、こちらは結構熱かった。
薬湯の境目に座湯のジェットバスが2つ連なる。右奥にかけてマイクロバイブラが設置されていた。温度は45℃ぐらいだったから、最初に入ったときは背中の刺激がキツくて顔がゆがんでしまった。


出典:サン光湯ホームページ引用


出典:サン光湯ホームページ引用



入り口に視点を戻すと、右手前には立ちシャワーが2つ。手前の立ちシャワーは水のハンドルが壊れていた。
その立ちシャワーの横にはスチームサウナの通路があって、進むと手前がスチームサウナで、通路の奥には水風呂がある。この水風呂は脱衣場からガラス窓越しに視認することができた。


出典:サン光湯ホームページ引用


水風呂は手を突っ込んでみたところ、そこそこ冷たくて18℃ぐらいか。おそらく冷却してると思われる。ここで唯一の絵である富士山の絵が飾られてあった。
スチームサウナはというと、中に入ると3人ほどが座れる椅子があり、まわりを見渡すと熱源となる機械がまったく見あたらない。強いていえばノズルのようなものがみえたが、それだけで室内を熱くできるとは思えなかった。
先客がひとりだけ居て、タオルで頬かむりをしながらあぐらを組んでいた。しばらくするとなんだかふくらはぎが熱いなと思って下を覗き込んだらスチームサウナの機械がその下に設置してあった。どうりで足がアチチなわけである。全体的にかなり熱めで軟弱な自分には耐えきれずすぐに出て行ってしまった。


出典:サン光湯ホームページ引用


さらにここは男湯限定であるが、露天風呂がある。スチームサウナの横にある無機質な事務的扉をあけると、こじんまりとしたところではあったが、綺麗に整えられた石作りの露天風呂が真ん中に据えられて、その周りを石庭が取り囲む。竹垣で周囲の視線を隠し、頭上では煙突が空高くまでのびていた。
半分ほどは屋根が覆っているので、雨の日でも堪能することができるだろう。
外気浴するための椅子は用意されてなかったが、入浴客たちはそんなのお構いなしで露天風呂のまわりを体育座りなどで涼んでいた。まだ夏の終わりがようやく見え始めていた頃だったので相変わらず蒸し暑かったけれども、吹き込む風が心地よかった。
肝心の露天風呂はというと、通常だとぬるめの傾向にあるが、こちらは熱くて45℃に近い感覚だった。ただ、自分が熱いのに弱くなっていたので、もしかすると43℃ぐらいだったかも。ちょっと温度に関しては自信がない。少なくともぬるい温度ではなかった。


出典:サン光湯ホームページ引用


ペンキ絵のような壁紙はなかったが、脱衣場に大きなペンキ絵が飾られてあったのと、先ほども紹介したように水風呂にも絵が飾られてある。


客層は非常に多彩で、高齢者がメインながら若者がかなり目立った。おじいちゃんと孫らしき組み合わせも見かけたし、年代が一方に偏ってないのは名湯である証だ。非常に混雑してて客同士の楽しそうな会話も飛び交い、つねに活気あふれる銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 戸田公園
経路 戸田中央総合病院を横切る
周辺の環境 住宅街、消防署

●空間演出
建物外観 瓦屋根の古い建物
壁画・眺望 富士山の絵
統一感 あり
置物 箴言
照明 ふつう

★設備
休憩所 ロビー
脱衣所 やや広め
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 薬湯、座湯、ミクロンバイブラ、水風呂、露天風呂
サウナ スチームサウナ
温度 42~45℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 品がある
清潔さ きれい
貸しタオル あり(0円)
備え付け なし

◆人
受付 60代の女性
客層 年齢層が多彩


【案内】

TEL:048-441-0003
住所:埼玉県戸田市本町1-2-6
定休日:毎週木曜日
営業時間:15:30~0:00
駐車場:7台
駐輪場:有り
コインランドリー併設

※サン光湯銭湯ホームページ転載

らかん湯(東京・西大島)

2022-09-10 05:54:00 | 銭湯
#らかん湯

・姉御肌の店主
・広い浴室
・火の玉ストレートの注意書




都営地下鉄
#西大島駅

▲最寄り駅は、都営地下鉄の西大島駅


▲路線図だとこんな感じだ


▲東京の東端にあたる


▲エレベーターであがり


▲改札口


▲駅から北にまっすぐ歩いた先にある(地図で見ると下側になる)


▲A2を目指して歩こう




▲エスカレーターでのぼり


▲階段ものぼって


▲地上にでたところ。左に向くと


▲ローソンがある。そのローソンに沿って左にぐるっと回り、


▲そのまま真っ直ぐ歩く


▲卓球専門店を横切り(こういう専門店があるのがいかにも東京らしい)


▲西大島クリニックの手前でストップ


▲左にむけば大島銀座通りというところがみえてくるので


▲その中に入っていく


▲するとすぐ右手にらかん湯がある




▲最近になってサウナを再開したようだ


▲外壁に政治ポスターが張ってあるのはよく見かけるけど、ここは公明党だけだった




▲到着


下足箱にサンダルをあずけて自動扉をあけると、目の前がロビーになっていて、すぐ右側にクラシックなCoca-Colaの自販機があった。今や絶滅危惧種といえる昭和の遺構である。
左側にはなにやらペットボトルの箱が積み重なっていた。


出典:ことみせホームページ引用
▲昔なつかしのコーラ瓶自販機


真ん中付近の左側に受付のフロントがある。座るのは50後半から60代前半あたりの女性。受付の前に立つと、マスクを外したまま接客をしていた。
“たまたま”だと思うのだが(帰りのときはマスクをしていたので)、入り口には「入浴以外はマスクを着用してください」と書いてあったのに、肝心の店主が着用してないからビックリした。
女性店主は愛想を振りまくタイプではなく、どちらかというと姉御肌タイプ。タオルをお願いしたときも、バシッと置く感じで色々と豪快だった。
バスタオルは100円のようだが、フェイスタオルは無料だった。入浴料は2022年7月15日から値上がりして、ついに大台の500円に到達(訪れたのは7月下旬)。いよいよ銭湯にもインフレの波が訪れたのかと感慨深かった。
男湯は左側で、女湯は右側だった。


のれんをくぐって中に入ると、開店直後に訪れた常連さんたちがいっせいに上がるタイミングだったようで、休憩所の真ん中にある椅子にはイナバ物置のCMのように背中あわせで何人も座っていた。
みんなおしゃべりに夢中だ。
ロッカーは壁沿いに並び、トイレの横には一つだけ洗濯機が置いてあった。スペースはやや広めかもしれないが、人が多いので窮屈な印象を受けた。


出典:ことみせホームページ引用


浴室の扉をあけると、ビル銭湯にしてはかなり広めである。
目の前にある円形の浴槽が水風呂で、基本的に1人用ぐらいのスペース。詰めれば2人ぐらいは入れるかもしれない。
水温は18℃ぐらいと標準だった。
その左にあるのがサウナだった。


出典:ことみせホームページ引用
▲追加料金250円で入れる。東京価格としては安いほうだろう


右手前に一つだけ立ちシャワーがある。
カランは、島カランが一つだけだが、右壁のカランと間があいているので周囲は余裕のある作りだ。
左側のカランは横列に並んでいた。
シャワーは右壁が微妙だったが、左壁は結構勢いが良かった。

出典:ことみせホームページ引用
▲こちらは男湯

 
出典:ことみせホームページ引用
▲こっちは女湯


浴槽は奥にならび、三つに分かれている。
右にあるのが漢方薬湯で、赤い色をたたえていた。深浴槽で温度は低くて41℃ぐらいだろうか。自分が覗いた時はなぜか潜水している人がいた。


出典:ことみせホームページ引用


真ん中が座湯で、水風呂まくらもある。
お湯の温度は43℃ぐらいか。
そして最後の左が、主浴槽になっており、バイブラと電気風呂が端っこに連なる。
こちらは熱くて、44℃ぐらい。常連ぽい人でも足を突っ込んでからしばらく腰を落とせない様子だった。慣れない人はちょっとキツいかもしれない。


出典:ことみせホームページ引用


ところでここで目を引いたのは、注意書きの文言である。
解説には手書きで、「お風呂に入る前に肛門を洗ってください」とあった。
ここまでオブラートに包まずにストレートな注意書きは珍しい。
そもそも今まで銭湯を巡っていて肛門を洗ってる人など見たことないのだが…。

 
壁絵はチップタイル絵で、現代風のモチーフで描かれている。時代性を感じるものの、それがかえって新鮮に映った。
客層は高齢者がほとんど。地元客ならではの感じで、脱衣場ではたえず話し声が響いていた。浴室はそんなに話し込む姿は見られず、挨拶を交わす程度だった。


部分的にひび割れたタイルがあったり古い銭湯なのは明らかだったが、比較的キレイに保たれており、なによりも広くて快適なのがいい。
カランの数も多く、設備に関しては創業当時はかなり先端をいく銭湯だったのではないかと感じた。そんなアドバンテージは現代でも通用する機能性をほこり、色々と印象に残る入浴体験だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 西大島
経路 北にまっすぐ
周辺の環境 商店街

●空間演出
建物外観 ビル?
壁画・眺望 現代美術風のチップタイル絵
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう

★設備
休憩所 ちょっと雑然としてる
脱衣所 ちょっと広め
シャワーの出 ふつう
浴槽の種類 バイブラ、電気風呂、薬湯
サウナ あり
温度 43℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 毅然としている
清潔さ まあまあきれい
貸しタオル あり(0円)
備え付け なし

◆人
受付 50代後半の女性
客層 高齢者


【案内】
住所
〒136-0072
江東区大島2−37−7

電話番号
03-3684-3775

アクセス
都営新宿線「西大島」駅下車、徒歩4分

休日
月曜
祝日は営業

営業時間
15:00−23:00

※東京銭湯ホームページ転載

入船温泉(大阪・動物園前駅)(リニューアル)

2022-09-03 05:37:00 | 銭湯
#入船温泉






大阪メトロ御堂筋線
#動物園前駅

▲最寄り駅は大阪メトロの動物園前駅


▲工事中のさなかに訪れた



▲路線図をみると中心部はとくに碁盤の目のように敷かれている


▲動物園前駅というとファミリー層向けの場所と思いきや、光と陰のコントラストが激しい地域である。


▲出口にむかい






▲改札口


▲4番出口をめざし




▲地上に到着

▲そのまま真っ直ぐ歩き


▲踏み切りをわたって




▲ローソンがみえてくると思うので


▲ローソンのところまで歩き


▲ここを左折


▲するともう見えてくる


▲これはなんでしょうか?


▲定休日以外で毎日朝風呂をやってるのはすごい。とくに土日はぶっ通しだ


▲簡易型の宿泊施設も経営してるようだ




▲全景


▲到着

さらにはちょっとその先に足をのばすと







あいりん地区である。


ここは動物園前駅だけでなくJRや阪堺電気軌道(いわゆるチンチン電車)の新今宮駅からも来ることができる。
ただ阪堺電気軌道の新今宮駅はかなり特殊な駅なのであまりオススメしない


▲こんな感じで地肌がむきだしに。ホームで寝ている“住民”もいる

▲チンチン電車に乗ってると、ここに通るときはものすごい音が響く


線路のバラスト(路線に敷き詰められている石)が引き上げられたのは、かつてあいりん地区で暴動がおきたさいに凶器として使われたからだ。
過去には何十回と暴動が起きているので対策としてやむをえないのだろう。ただ今は住民たちの高齢化が進み、暴動をおこす気配などみじんも感じない


はなしを入船温泉に戻すと、リニューアルしたのが2022年8月8日で、おとずれたのが8月12日だった。リニューアルして4日目ということでかなり綺麗だった。
扉をあけて足をふみ入れると、木材をふんだんに使った空間で入った瞬間から心を落ち着かせてくれる。
券売機は正面にあって、各種組み合わせのチケットが上段に用意されていた。
今回は入浴料+貸しタオル540円と追加30円の石鹸チケットを購入した。
右扉を抜ければ、ロビーもやはり木材が潤沢に使われ、ぬくもりを感じさせてくれるすてきな休憩所だった。


▲フルセットは860円とお高めだが、カミソリや歯ブラシもあるので旅行者にうってつけのセットだろう


▲右手奥がロビーになっている


出典:入船温泉ホームページ引用
▲室内は隅々まで明るく、郊外にありそうなおしゃれなカフェの雰囲気だった


受付は入って左側にあり、対応してくれたのは50代なかばぐらいの女性。
「こんにちは!」と朗らかに対応してくれて、タオルを出してもらったあとで「使い終わった貸しタオルはこちらに返せばいいですか?」とたずねたら、「脱衣場の中にカゴがありますので」とはにかんだ笑顔でこたえてくれた。愛想の良さと奥ゆかしい感じがとても好印象だった。
帰りのときは「おおきに」と大阪らしい挨拶をしてくれた。はなし方一つで大阪弁は上品な言葉に感じられる。
女湯は左側で、男湯が右側。
 

ふたつののれんをくぐると、脱衣場も木を主役にしたデザインで、休憩用の椅子には畳が使われている。このあたりは和のテイストを意識した空間だった。
天井を仰ぎみると昭和の感性を今に伝える装飾フィルムが残され、今回のリニューアルした現代風の洗練された意匠と違和感なくとけ込んでいるから不思議だ。歴史の地層を積み重ねたからこそ可能な時代を超越したコラボである。
服をロッカーにあずけて浴室に入ると、浴室はどちらかというと部分的な中普請(リニューアル)にとどまっていた。


かなり広めの空間で、真ん中には短い島カランが2つ並ぶ。左右の壁にもカランが連なり、基本的に固定シャワーであるが、島カランの内側はすみっこに一つずつハンドシャワー仕様になっていた。
右手前にはさりげない形でサウナが据えられ、銭湯のサウナということで決して広くはないものの、中を覗いてみたら最新式のサウナだった。
今回のリニューアルした目玉のひとつがこれだろう。サウナブームの熱波は西成にもしっかりと届いていた。


出典:入船温泉ホームページ引用
▲オートロウリュまで導入。ここまでハイテクだとスーパー銭湯に引けを取らないどころかむしろ凌駕するほどだ


出典:入船温泉ホームページ引用
▲浴室のひだり手前にあるのが水風呂。深さを確保するために入り口が階段状になっている。水温は予想以上に冷たく、限界に挑戦するサウナーにとっては嬉しい設備だ


そのサウナの前には立ちシャワーがある。ただこの立ちシャワーはお湯しかでないのと頭上に大きな円形のヘッドがあるものの勢いはかなり微妙だったので使い勝手が悪かった。こうした基本的な設備が刷新されてなかったのは残念。
一方で、通常のカランは勢いがちゃんとしてたので問題なかった。
石鹸を使ってシャワーでゴシゴシ流そうとすると、なかなか落ちない。もしや軟水?と思ったら、軟水だった(水道水もおおまかな基準では軟水に分類されるが、銭湯の軟水はミネラル成分を徹底除去された超軟水である)。
もちろんシャワーだけでなく、湯船のお湯もみんな軟水である。美肌の湯と題して人工温泉を名乗っているので、いちおう“温泉”の看板に偽りなしか。


湯船は浴室の奥側に設置されたレイアウトで、これは完全に関東式である。
L字型をしていて、ひだりから眺めていくと、左端が寝湯のジェットバス。クリニックバスと命名され、これが3つ用意されていた。入ってみると温度は41℃ぐらいか。
その真ん中が電気風呂で温度は40℃ぐらい。電気の強さは特に可も不可もなく普通だった。右側の奥が浅浴槽で、手前が深浴槽になっていた。こちらも温度は40℃とぬるめだった。


出典:入船温泉ホームページ引用
▲クリニックバスと書かれてある。関西特有の呼称なのか。関東だとジェットバスとか寝湯とかで呼ばれる


出典:入船温泉ホームページ引用
▲こちらは真ん中にある電気風呂


出典:入船温泉ホームページ引用
▲そして右側は手前に伸びた湯船


浴室の右端には外気浴(ととのい)スペースをかねた露天風呂が用意されている。古いガラス扉をあけると短い通路の先に緑色の湯船があった。浴槽の奥は段差になっていて、すこし深い。こちらも温度は40℃とぬるめだった。
解説板にはうたせ湯と書かれてあったので、試しにボタンをポチっと押してみたところ、容赦ない勢いで頭上から打たせ湯が流れ落ちてきた。
じつは露天風呂の手前通路には外気浴用の椅子が3つほど並び、この時は2人の若者が会話を楽しみながら過ごしていたのだが、その2人の会話を遮断するように爆音を響かせてしまった。しかもそのうたせ湯の跳ね返りも当たりそうだったので(真横に壁はあるけど不規則にお湯が跳ねていたので)、打たせ湯を背中で受け止めて跳ね返りと音をおさえたがうたせ湯自体が一向に止まる気配がなく、かなり困惑した。忍耐強く待っていたらなんとかとまったものの、このまま永遠に流れてるんじゃないかと思うぐらいえらく出続けていた。めちゃくちゃ周囲に気を使う設備である。


出典:入船温泉ホームページ引用
▲打たせ湯もある露天風呂


天井は真ん中にかけて徐々に高くなり、その中心部分は四角にくり抜かれて湯気抜きになっている。
全体を通してリニューアルされているもものの、カランや壁のタイルはほとんどそのままだったので、郷愁感をいざなう昭和の風景は今も健在だ。室内もきちんと清掃されてかなり綺麗だった。


利用者は若者が多く、ほとんどは二十歳前後ぐらいだろうか。高齢者や中高年もいるが、ここでは少数派である。
おしゃれな空間へと生まれ変わるとトレンドの嗅覚するどい若者たちが集まってくるのはどこも同じだ。


ここはいわゆるドヤ街に近い銭湯ということで、一部では危険なイメージで語られることが多いが、率直に言ってそんなにアブナい場所とは思えなかった。
どんな客層もみんな小綺麗で、みるかぎり常識をもちあわせた人ばかりである。
まったく安心安全な銭湯だった。
再三のべるように受付の対応はすばらしく、駅からもかなり近かったし、治安も思ったよりもいいし、大阪に来たなら何度も足を運びたいと思える銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 動物園前
経路 あいりん地区方面へ歩く
周辺の環境 簡易ホテルや飲食店

●空間演出
建物外観 ビル
壁画・眺望 特になし
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう

★設備
休憩所 ロビー
脱衣所 おしゃれ
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 クリニックバス(寝湯ジェット)、電気風呂、薬湯
サウナ あり
温度 40~41℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 感じがよい
清潔さ きれい
貸しタオル あり(円)
備え付け なし

◆人
受付 50代の女性
客層 若者や高齢者


【案内】

〒557-0004
大阪府大阪市西成区萩之茶屋1-6-3

TEL
06-6641-2681

営業時間・定休日・祝日等について
月  :定休日
火〜金:6:00〜11:00 /15:00〜23:00(最終受付22:30)
土・日:6:00〜24:00(最終受付23:30)

※入船温泉ホームページ転載