ストックポートのトレイル・イベント、カエル探し再び。夏休みはもう終わりですが、このイベントは月末まで続きます。
(懐かしい!)i ポッドを発明したApple Inc の偉業をたたえる、作品番号1番、DJ。
耳の穴のないカエルがイヤフォンで音楽を聴いています。
国道A6沿いの、市庁舎とならぶ小さな広場に設置されているDJ, 国旗と戦没者に捧げる赤いポピーのリースで飾られたとなりの奇妙な銅像は...
(別の日に撮りました、上の写真の国旗がなくなっています)第二次世界大戦の末期にカヌーを漕ぎだし決死の行為で友軍を救った、地元ストックポート出身の海兵隊員だそうです。
あ、この人はぶじ復員したそうです。10年ほど前に高齢で亡くなりました。地元にいたこんなにすごい人!の名誉を記憶するための英雄像です。
国家に命を捧げた戦没兵士すべてを讃えるこの銅像があるこの場所は、戦没兵士への感謝の祈りと黙とうを捧げる厳粛な場所だそうです。
...そのわりには、カエルと記念写真を撮る親子をしょっちゅう見かけますし、この日は奥の芝生でお腹と背中をそれぞれむき出しにして日光浴する若いカップルが寝転がっていたりで...あまり厳粛な雰囲気ではありません。
この場所が厳粛なはずなのは...
(ああ、木がこんもり茂っていて見えない!)国道A6をはさんだ向かいに...
古代ギリシャ神殿風の立派な戦没者祈念廟、ストックポート戦争記念美術館 Stockport War Memorial Art Gallery があるからです。
第一次大戦後の1925年に建造されたギリシャ復興様式、第二特級保存指定建築 Grade II* listed building です!
左の柱には1914-1918と第一次大戦の、右の柱には 1939-1945 と第二次世界大戦の始まりと終わりの年号がそれぞれ刻み付けられています。
入ってすぐのフォイエ(入り口ホール)の右と左に美術館の展示室がひとつずつあります。
奥にあるのが、この War Memorial (戦没者慰霊廟)です。
英国の守護女神、ブリタニアに勝利の象徴、月桂冠を授けられる戦没兵士のドラマチックな大理石像。その周りには両大戦で戦死したストックポートの出征兵士すべての指名が刻まれています。
ところで、話変わって...今日9月2日は何の日でしょう。
第二次世界大戦終結の日です。
え、終戦の日って8月15日じゃないの、と思われたでしょう?
8月15日は日本がポツダム宣言を受諾し、無条件降伏を受け入れた日(8月14日)の翌日で、国民が天皇のラジオ放送によって終戦を知らされた日です。日本人にとって印象深い日なんですよね。なぜか英国もこの日を「第二次世界大戦終結の日」としています。
V-J Day (Victory over Japan Day 日本に勝利した日)と、うかれた名前がついています「日本降伏の日 Japanese Surrender Day」ともいうそうです。と言っても、英国にはこの日を知っている人はほとんど全くいないのが実情です...たとえ聞かされても日付はすぐに忘れます。
ちなみに、今、ウィッキぺーディアで調べてみました...8月15日を終戦日とする国は、日本、英国の他に、韓国と北朝鮮だけだそうです。
9月2日は日本が正式に降伏文書に調印した日で、連合国代表として米戦艦ミズーリ号の甲板での調印式に出席したアメリカ合衆国はじめ、オーストラリア、カナダ、ヨーロッパの主要国もこの日を終戦の日ということにしています。
ソ連(ロシア)と台湾、中国はその翌日に凱旋パレードをやったことから9月3日を終戦日としているそうです。
英国では、ドイツの降伏を記念する5月8日の V-E Day ( Victry in Europa Day ヨーロッパ戦勝日 )のほうがずーっと知名度も重要度もうかれ度も高いですね。国民が祝祭ムードを楽しむべき日です。
他のドイツと戦ったヨーロッパの国々も「日本の敗戦日=事実上の大戦終了時」にはあまり関心がないのではないでしょうか。
10年ごとの節目などに8月5日の「V-J デイ」の記念式典のようすがテレビで放送されますが、出席しているのは日本軍の強制収容所や労働キャンプで虐待されて、この日に開放された経験をもつ高齢の復員兵で...陰惨な体験談ばかり聞かされるちっとも浮かれていない記念日なのです。
「英国にとって何の日でもない9月2日は、もう一つの終戦日」だということは、戦争記念美術館の職員2人にすら知られていませんでした!
知り合いが受付スタッフとして働いているので、「パンデミック後の無事の再会」を今さらですが喜び合ってちょっとおしゃべりをしました。
戦争記念美術館の2階展示場に上がる踊り場の壁両面に、第一次大戦で戦死した兵士たちの英雄的犠牲を讃えるタペストリーがかかっていました。
戦友の墓に黙とうを捧げる兵士のシルエット、ドイツ軍のマスタードガスで失明した兵士たちが列を作って堤防の上を歩くシーンなど、英国人なら知らぬ人はいないほど有名な第一次大戦を描いたアイコニックな絵画のコラージュです。
2大戦とも戦勝した英国の、.敗戦国日本では考えられないヒロイズム、センチメンタリズム...それとは対照的な V-Eデイの浮かれぶり....お分かりいただけるでしょうか。
この踊り場からは慰霊廟が見下ろせます。
奥の曲面の壁に刻まれた「自らの命を我らの自由と幸福に捧げた彼らの名前をとこしえに忘れまじ」の文字が目に入ります。「わかった」と言うしかありません。
戦没兵士の目線の先には明るい光が差し込むギリシャ文様(ラーメンどんぶり模様)に囲まれた丸い天窓があります...天国の表現でしょうか。これでもか、と言うような感傷表現ですね。
11月11日のレッド・ポピー・デイ Red Poppy Day には国家を挙げて、両世界大戦のみならずすべての国際紛争で命を落とした英国軍兵士に慰霊と感謝の祈りをささげます。
原爆も投下された敗戦国日本で、悲惨な戦争体験の話をさんざん聞かされて育った日本人の私には疑問がいっぱいの戦死者の英雄視。どう考えていいのかわかりません。
...とは言え、私は軍国主義は大嫌いでも、軍事パレードや軍服を着た人がいっぱい出てくる国家行事を見るのが大好きなのです...。