イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

ウィットビーの、下からの眺望のポイント、海に突き出した武骨なピアと有名な怪奇観光資源

2023年09月22日 08時00分00秒 | イングランド北部

イングランド北東部の有名な観光地、ウィットビー Whitby 、続きです。(3回目)

エスク川河口の、東岸と西岸からそれぞれ北海にむけて伸びる桟橋 (ピア) pier が2本あります。

 

 

英国の観光地として名高い海岸にはたいていある、19世紀建造の瀟洒なつくりの観光ピアがウィットビーにはありません。

観光ピアにはカフェ、アイスクリーム・スタンド、パブやお土産物屋、ゲーム・アーケード(レトロなゲームセンター)などがあるのが普通です。

ウィットビーのピアは、がっしりと実用的なコンクリート製です。

雨降りの、風が強い日に河口の西岸(僧院のある丘のある側の対岸)からのびるウエスト・ピア West Pier を先端まで歩いてみました。

ピアは灯台のあるちょっと広くなったこの場所(上の写真)でおしまい。

 

 

天気のよかった別の日に、丘の上の、教会の墓地から見下ろした河口の眺めです。(昨日のストックポート日報 参照)左側がウェスト・ピアです。

ピアの先には幅の狭い、防波堤 breakwater があります。上から見るとゆるく湾曲しているのがわかりますね。

灯台のあるピアのおしまいまではたくさんの観光客が歩いてきていました。

ウィットビー・アビー(僧院)と教会のある丘の上を見上げたり、川沿いにつづく古い波止場町を振り返ってみたり、眺望スポットなのです。

...そう言えば対岸の、イースト・ピア East Pier には、ウェスト・ピアにあった鉄の柵がありません!危なそうですね。

どちらも上を歩けるようになっているにもかかわらず、丘の上の眺望が望める、こちら側のウェスト・ピアのほうがもっと人気のある眺望スポットのようです。

防波堤の上の板張りのデッキは遊歩道になっているのですが、この日は風が強くて、灯台のある眺望スポットでピアを引き返す人がほとんどのようでした。特に、イヌ連れは板張りの床を避けがちです。(晴れても降っても、町中イヌを連れた人がなんと多かったことか!?)

板と板の間は3~4センチぐらい開いていて、イヌの足がボソッとはまらないか心配です。(1匹だけ、勇敢なラブラドール犬が前を見てスタスタと歩いていきました)

私たちは、一番先まで行きました!灰色の荒れた波の水平線の眺めは最高でしたが雨と風の中、じっと立っているのは苦痛でした。メガネが濡れるし。早々に引き返してコーヒーが飲める所を探しました。

ところで、私たちが滞在したベッド&ブレックファーストに、朝食時にいつも一緒になる、40歳ぐらいのひとり旅の男性がいました。1週間以上毎日、ピアの先(防波堤の板張りデッキの下)で1日中釣り糸をたれていた熱心な釣り人でした。

板張りデッキの一番先まで行くと、この写真のやぐらの下に下の防波堤に降りる昇降口と鉄の梯子段があります。

 

目当てのマカレル(青地に黒のトラジマ模様のサバの一種)が毎日10 尾以上釣れたそうです。その他にも釣ったけど食べられないので放してやった多くのサカナを含め、写真を見せてもらいました。

マカレルのなん尾かは新聞紙でくるんで持ち帰り、宿の奥さんにプレゼントしたそうです。他は地元のグルメパブに持ち込み、毎日違うレシピで料理してもらって食べて帰ったそうです!連日10匹以上パブに寄付、持ち込みマカレルを料理してもらって、ビールは飲み放題が代価のなかなか楽しい取り決めのようです。

「客の持ち込んだサカナが厨房に入った」と聞くや否や注文が殺到!パブは大儲けだったでしょう。

釣り人の持ち込み大歓迎のレストランやパブが海辺の町にはかなりたくさんあるそうです。客として入って聞いてみるまでは料理してくれるか引き取ってくれるかは、わからないそうですが「ここはイケそうだな」という店は何となくカンでわかるのだそうです。

 

雨ふりで強風にもかかわらず、たくさんの人が199段の階段を上がるのがピアから見えました。

199段はカンベンね...と言い続けていた夫がその翌日の晴天の夕方に、自主的に上がってしまった顛末は前回の ストックポート日報 をお読みください。

ウィットビーと言えば、避けて通れない話題が吸血鬼ドラキュラ Dracula です。

 

ウェスト・ピア手前の、エスク川西岸はゲーム・アーケードやら安っぽい土産物屋やら立ち食いフィッシュ&チップス屋やらがズラッと並ぶ通俗観光地エリアです。

そこで一番人目を惹くのがこのドラキュラ・イクスペリエンス Dracula Experience というアトラクション。

観光案内には「博物館 museum」あつかいで載っていますが、どうもうさん臭いですね。入らなかったので断言できませんが、外見から判断するとお化け屋敷っぽい雰囲気です。

前回、2001年ごろに来た時に、前を通りかかって吸血鬼ドラキュラとウィットビーの関係に興味をもちました。

その時まで、19世紀英国のゴシック(怪奇)小説の草分け的小説、「ドラキュラ Dracula 」が1897年にウィットビーで執筆されたということを知りませんでした。それどころか、ロンドンに住む主人公の婚約者目当てにやってきたトランシルバニアのドラキュラ伯が英国で最初に上陸した港がウィットビーだという設定だそうです!

作者、ブラム・ストーカー Bram Stoker はウィットビー在住(国籍はアイルランド人だそうですが)で、僧院の廃墟や、広大な墓地のある中世の教会などの怪奇性をヒントに、ドラキュラ伯がウィットビーに来る設定を思いついたのだそうです。

ドラキュラ伯は教会に続く199段の階段を駆け上がり、墓地に隠れたということになっています。

(どちらにも入館していないので何とも言えませんが!)ストーカーの文学性やドラキュラ物語の背景にマジメな興味がおありならば、ドラキュラ・イクスペリエンスよりも、ウィットビー・アビーの資料館をおススメします。初版本を含む詳しい展示があるということなので。

チャーチ・ストリートの書店にはドラキュラ専門の棚と怪奇小説専門の棚がありました。

特売、£2-99 (542円、出版社の希望価格です)のペーパー・バッグを買おうかどうか迷って結局買いませんでした。著作権が切れているので、探せばオンラインで無料で読めるはずです。...ちょっと難しそうなやっかいな英文なようです。翻訳を読んだこともありません。

日本で、40年近く前ドラキュラのフランス映画を見たのですが、ウィットビーらしい港町が出てきたのかどうか、妙に耽美的でストーリーもはっきりと覚えていません。オンラインサーチで調べたあらすじとずいぶん違ったような気がします。

滞在先のそばの食品店のショーウィンドウにドラキュラの名をレベルに冠したワインが並んでいました。

夫は「不味いぞ、絶対」と決めつけました。

 

雨の日の観光地での過ごし方の決定版。地元の(マジメな)博物館に行きました。

ああああ、好きだなぁ、恥ずかしいなぁ、ドラキュラ伯に扮した立つワニ!!!

吸血鬼ドラキュラ、貴重な観光資源ですね!

現地での格安ペーパーブック入手がかなわなかった今、意地でも無料で読んでみなければ!(和訳が見つかればそっちの方が好都合)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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