イングランド北東部の有名な観光地、ウィットビー Whitby 、続きです。(6回目)
「カモメ」の話題です。
ウィットビーに限らず、海辺の町には必ずいますよね。
日本で「カモメ」と呼ぶ白い大きな海鳥を英語でseagullと言うことはご存知ですよね、学校で習いましたし。
ただ、正しくは「白い大きな海鳥(便宜上、カモメとよびます)」は、gull ガルと言うべきでそもそも「シーガル」は通名で、そんな名前のガルはいないそうです。
実にさまざまな種類がある「ガル」ですが、ウィットビーにいるのはもっぱらへリンガル herring gull とキットウェイク kittwake の2種類。
(雨宿りに入った美術館パネット・アート・ギャラリーの海を題材にした絵画の展示室にかかっていた、海鳥に関する子供向きの教育パネル展示で知りました)
私がウィットビーで見かけた「カモメ」はすべて、へリンガルのようです。キットウェイクは「カモメ」の小型版で、足が黒く、「キッティウェイク♪」と鳴くそうです。
足がピンクで、大型で「あ~あ~」とやかましく鳴くへリンガルが常習とする暴行、窃盗、追剥ぎ、ゴミ箱あさり、物乞いと言った浅ましい犯罪とは無関係だそうです。
ウィットビーの町に設置してあるすべてのゴミ箱には金属製のお願い表示がとりつけられていました。
「カモメに食べ物をやらないでください」と書かれた左側の表示の「カモメ」のあつかましい笑顔が気に入りました。
ついでです;右側の「ねっちょり仔イヌ?かたずけましょう」と和訳すればわけがわからない、ゴロの良い標語(イヌのウンコを片付けて、このゴミ箱に入れてください)も気が利いています。「マッキーパップ、クリーニッタップ」と読み上げればマントラのように頭の中で繰り返したくなりますよね。ねっとりしたウンコとイヌのお尻の穴の表現も標語イラストの域を超越しています。
ヨークシャー東部海岸地域ではほんっとうに「カモメ(へリンガル)」の害に手を焼いているようです。観光客の手からフィッシュ&チップスやアイスクリーム、袋菓子を袋ごと奪ったり、食べ物の入った買い物袋を持ち歩いていると集団で襲われたり...観光、住民の生活への妨害など人的被害がひどいそうです。
もちろん、カモメの悪行はヨークシャーの海辺の観光地に限ったことではありません。英国内のみならず、同じ種類のヨーロピアン・へリンガルの悪名は西ヨーロッパ全域にとどろいているようです。
ずいぶん前のストックポート日報 記事から転載しました☟。世界遺産指定都市、英国西南の国際的な観光地、バース Bath のカモメです☟
ストックポートの、カモメとハトが全員集合!のこの広場は数年にわたって工事中のため閉鎖しています。エサやりの人が入れなくなった今、カモメは見かけません。☟☟
どちらも海のない、バースとストックポートのカモメに関する過去の記事のリンクです☟☟(ストックポートの記事は、シーガルとガルについて、他人から聞きかじった大間違いの見識をしゃあしゃあとご披露しているそのままです!)
観光都市、バースのカモメはグルメ! バースその4
ストックポートで共存、海辺のお友達カモメと町のハト、住人がまくエサを目当てに全員集合
ヨークシャーの観光サイトがリンクを載せている野鳥保護団体、The RSPB のウェッブサイトによれば、へリンガルが生存の糧を人間に寄生することによって得るようになったのはここ数十年来のことだとか。それまでは野鳥として海のサカナをとって自活して人間とは距離を取って生活していたそうです。
強奪したりゴミあさりをしたりして得られる人間の食べ物を常食するへリンガルは必然的に短命だそうです。
エサをやる観光客が後を絶たないため、へリンガルが楽をして苦難の野生生活に見切りをつけることをおぼえちゃったんですね。人をおそれることをやめた野鳥の存在は生態系のためにもよくないです!
海辺の光景に欠かせない「カモメ」の写真を撮るために食べ物をちらつかせる観光客が今でもすごく多いとか。
エサやり、やめましょう!
ウィットビーのB&B に連泊中、町の中心に出るために連日 通った商店街、フラワーゲートFlowergate (通りの名前)です。
イヌの話題の回で使った写真です。↑
フラワーゲートに住みついた「カモメ」のロバート。
あごからスキンタッグと言われる余った皮膚をダラダラ垂らしている特徴のある「カモメ」です。
上の写真の右側の、アンティークショップの女性経営者に開店時と、夕方の閉店時に一日2回、店の前で餌(乾燥ミミズ)をもらっているのです!エサやり時間以外も、ペタペタ道をうろついているのをほぼ毎回、通るたびに見かけました。
愛嬌たっぷり、憎めません。通るたびに「今日はロバート、いるかな?」とキョロキョロ見まわしてしまいました。
しかし...地元の人がエサやり...いいのか?!本当はダメでしょうね。
波止場のあるエスク川まで、突き当りの建物を飛び越えれば10秒の場所です。
波止場や海岸にいるおおぜいの「カモメ」仲間とは付き合いがないらしい一匹狼のロバートです。
この絶好のえさ場を他人と分かち合い、荒らされるのはイヤでしょうね。「お前、いつもたらふく食っているようだな、俺たちもつれてけよ」なんて波止場の「カモメ」仲間にすごまれて、大勢おしかけるようになれば商店街もエサやりを禁止せざるを得なくなるのでは?
ああ、ややこしい。実は私が「カモメ」「カモメ」と(便宜上)言い続けたへリンガルは、日本語では「ウミネコ」に分類されるみたいですよ?!ウミネコと「カモメ」の一番特徴的な違いは、目だそうです。
日本語の「カモメ」の目は黒く丸くつぶらです。ウミネコの目は細い吊り目状の赤い縁取りがあり、白目が多いので、目つきが鋭い印象が強いのです。へリンガルはすべてこの目つきの悪いタイプです!