9月8日に「今日あたりから涼しくなりそうです」なんていいかげんなことを書きましたが、とんでもない、昨日9日(土曜日)はとんでもなく暑くて晴天でした。(最高気温は29℃)
マンチェスターで友人と昼食を食べました。
天気のよい週末のショッピングエリアは人でいっぱい!ああ、もう暑苦しいこと。
メインのショッピングエリア(上の写真の)に入る前の、左側の店舗ビル(1930年代から2000年ごろに閉店するまでたいへん繁盛していたルイスィーズというデパートでした)の角の空き店舗の窓に張り出された多数の人物写真が人目を惹いていました。
行方不明者の捜索ポスターか、はたまた人物特定誹謗活動か!?
読んでみると、「コロナワクチン接種後に亡くなった、あるいは重篤な副作用を発症した人たち」だそうです。
ニュース・キャスターやサッカー選手など有名らしい人たちがけっこういます。顔面マヒしたカナダ人の歌手、ジャスティン・ビーバーの写真まで貼られていました。
...この啓蒙活動の目的は何でしょうか。ワクチン接種は終わっています。
依然としてコーヴィッド(コロナウイルスによる感染症)に感染する人たちは一定数いるようですが、検査もしていませんし、たとえ陽性になったとしても行動制限は一切ありません。今さら、ワクチンの危険性を訴えてどうするつもりなのか。
...ははあ、これはもしかして、近頃あまり聞かない「陰謀説」の布教?
.
そうみたいです。
ワクチン接種が危険だなんて全くの「ウソだ!」とまではいいません。実際に、ここに顔写真が出ている人たちは接種後に亡くなったり脳卒中など障害の残る重篤な症状が出たりしているということですし。
ただし、ワクチン接種との因果関係がこの告発活動では明記されていません。
とにかく、世界中でいったいどれだけの人がワクチン接種をしたのでしょうか。億単位ですよね?とりあえず、大多数の接種者が死亡や重症化を免れているのはたしかです。
死亡したり重篤副作用のあった人たちは接種者全体のうち、ごく少数なはずです。ワクチン接種促進を各国政府が躊躇していたら、あの大変なパンデミックは今、終わっていなかったと私は信じます。
主催者は、自転車で運び込んだポスターを張り終え、リーフレットなどを机に並べて、やっとキャンペーンのセットアップを始めたところのようでした。
話を聞いてみようか少し迷いましたが、「かかわらない」ことに決めました。友人と待ち合わせしていましたし。
ショッピングエリア、アーンデイル・センター Arndale Centre の前の道もまた人でいっぱい。
その道の真ん中で、いくつかの団体がそれぞれキャンペーン活動をしていました。
まず、イランの人権活動団体。
体制批判して投獄されたり行方不明になっている活動家の写真を掲げて、非人道的な専制主義国家に国際的な圧力をかけるための署名を呼びかけていました。
静かなアピールです。
その後ろではイスラム教の布教活動です。
コーラン(イスラム教の経典)や、写真入りのリーフレットが無料で持ち帰れるようになっていました。
スピーカーからはコーランの朗読(棒読みのライブ)が大音声で流れてきます。
そのすぐ奥では、キリスト教徒が積極的に道行く人々に声をかけていました。
棒の先に「悔い改めよ」「神の国は近づけり」とか、脅し文句を書いた板をもって無言で歩いている人たちと同じ「宗派」でしょうか。
棒の先の板には「我々は皆、罪を犯している/キリストがもたらす善い知らせを無視すると地獄へ落ちるぞ」と言うような恐ろしいことが書かれています。
そのすぐ後ろには...
わざわざ、ゴミを回収する作業員のオレンジ色の安全服をいっしょに写してみました。
懐かしい、ハーリー・クリシュナ!
暑い日になぜか、ハリー・クリシュナのトレードマークであるオレンジ色のフディ(トレイナー)を着て、「ハーリ、ハーリ」のマントラを無限ループで繰り返す男性とインド風の楽器を奏でる男性、どちらもエキゾチックな南アジア風の容貌でした。
アメリカ合衆国で広まった、インドのヒンドゥー教の神、クリシュナを讃える宗教らしいですね。
30年ぐらい前まで、マンチェスターで本当によく見かけたものでした。白人の若者ばかりが、夏でも冬でもインドやチベットの修行僧のようなオレンジ色の布を肩から斜め掛けして集団で太鼓をたたきながら踊っていたものでした。
当時、バスを待っている間など、いやでも耳に入ってくるハーリ、ハーリ...をぼうっと聞いているうちにトランス状態になって、一緒に踊り出し、お鍋を並べてふるまっていたオレンジ色のカレーをごちそうになって..、いつの間にか入信していた...!なんてことが起こっても不思議ではないほどひきつけられる不思議な旋律のマントラと太鼓のリズムだったのですが...ダメでした。今回は全くのれません。暑かったし、急いでいたし...(関係ないか?)
手前を歩く女性の腕のタトゥ(入れ墨)が注目に値するので、写真を撮りました。
テーブルひとつの小ぢんまりしたイスラム教のグループです。
最初の、コーランを無料で配布していたグループとの関係は不明です。
ヒジャブをかぶった女性が、興味をもった通行人がテーブルのほうへ歩み寄ってくるのを静かに待ち構えていました。横に立つ男性二人は補佐か、指導者か、あるいはボディガードかなんかでしょうか。
コーラン配付グループのシロウトくさいライブ朗読と違い、プロのイスラム教教戒師か誰かが朗々たる美声で吹き込んだお祈りをCDプレイヤーで流していました。
この人たちはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の融和を目指しているようです。ノア、アブラハム、モーゼ、イエス・キリスト、モハメッドの5人はひとつの信仰の預言者だという主張です。
とにかく、言論の自由と、信条の自由が保障されている体制は喜ばしいことです。
イランの署名運動、がんばってほしい!署名してくればよかったと今、後悔しています。待ち合わせがあり、急いでいたものですから。
よくこのあたりにいる、動物の権利運動や環境保護運動の活動家はこの日、見かけませんでした。
この通りは、大道芸人、路上音楽家が多いことでもよく知られています。
小道具の「グラッドストーン(医者の黒カバン)」を床に置いたこの人(左側)の芸をぜひ見たかったのですが、始める兆しはありませんでした。バーバリーのレインコートのすそとネクタイが下からの烈風で吹き上げられ翻っている状態を保つインパクトのある服装です。額の毛もしっかり立っていました。
帰りにこの場所をもういちど通った時には、コーラン朗読、コーラン朗誦、クリシュナ・マントラの喧騒の中、ラップの生演奏が聴けました。