イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

動物愛護王国イギリスの知る人ぞ知る動物虐待の真実、それでも人々の善意が定着させた引退レース・ドッグ引き取り活動

2019年07月11日 09時00分00秒 | 英国のイヌ
イギリスではとてもよく見かける犬です。


ほっそり優雅な体形のグレイハウンドgreyhound
今までストックポート日報で紹介しなかったのが不思議なぐらい人気の犬種なのです。

人懐こくしかも犬くさい体臭が一切ないという理想的なペット犬種!






イギリスで飼われているグレイハウンドの実に多くが引退したドッグレース用のレースドッグ(競争犬)の払い下げなのです。

純血種がタダで手に入る!
...実際は斡旋協会などに引き取る際に義援金を自主的に寄付するか、あるいは一定額(少額のはずです)を請求されるはずなので、全く無料というわけではないようです。



ものすごく寒がりだそうなので、秋冬の外出にはフリースやキルティングのコートが欠かせません。

コートを着たグレイハウンドはあまり優雅には見えませんね。


パブ見かけた美しいブルーの毛並みのやはり引退レース・ドッグです。


基本的には手入れは不要だそうですが、ブラシをかけて布で磨くとベルベットのような毛並みがピッカピカに輝くそうですよ。

さて、レース・ドッグの話題です。
ドッグ・レースはイギリス伝統の、ギャンブルと社交が楽しめるどちらかといえば労働者階級の娯楽です。

レース・ドッグは競走馬よりお手頃で繁殖もたやすく、多数所有して儲ける人がけっこういるようです。

速く走れる期間は1歳から3歳ぐらいまで。レースドッグの選手生命は異常に短いのです。
それを過ぎたら直ちに殺処分するのが業界の習わしです。

引退したレース・ドッグを引き取ってペットとして一般家庭にあっせんするチャリティ―活動が1990年ごろはじまりました。
その活動は比較的短い間に軌道に乗って殺処分される数は激減、町で見かける間抜けなコートを着たペットのグレイハウンドの数は激増しています。

よいことだ!

...と思って、グレイハウンド救済関連のウエッブサイトを見てみたら、現在でも年間に殺される頭数はイギリス全国で8,000をくだらないらしいのです!
ショック!

奨励されている獣医による静脈注射の安楽死はお金がかかるので、自宅で銃殺する野蛮な飼い主が多いというのも問題視されています。

病気でもない若い犬を走る速度が少し落ちただけで虐殺する蛮行、動物愛護でしられるイギリスでまかり通っているのが非常に腹立たしい!
過酷な運命から救うために引き取る飼い主がとても多いのです。


レースの時以外、狭いところに閉じ込められていたので、屋内ではじっとして、いたずらもしない飼いやすい性質ではあるらしいのですが、やはり元レースドッグです。
屋外で引きひもを外したとたん疾風のように駆け出して捕まえられないということもよくあるそうです。

ペットのウサギやハムスターを見るとおいかけて殺してしまうこともあるそうです。
もとは貴族に飼われていた狩猟犬を改良して競争犬に仕立てられた犬種だそうなので、血が騒ぐのでしょうね。


グレイハウンドの小型版、ウィペットという犬種もたまに見かけます。




貴族から払い下げられたグレイハウンドをイギリスの小作人が品種改良して庶民の狩猟犬として定着させたのがウィペットの祖先だといわれています。

マンチェスターのアンティーク・ビレッジで店番をしていた不格好だけど人懐こい招き犬。


驚くなかれ!



.....両親が、スタッフォードシャー・ブルテリア Staffordshire bull terrior とグレイハウンドの引退レースドッグだというハーフ!



顔立ちにグレイハウンドの面影がないとも思えませんが、ガニガニ、ずんぐりむっくりした体形のはどう見ても闘犬系!



スタッフォードシャー・ブルテリア☟


フォト・ライブラリー・サイトから勝手に借りました。

労働者階級の特にこわもての男性が連れて歩いている印象が強いスタッフォードシャー・ブルテリア、物憂げな顔立ちとガニガニした肢体が私好みです。


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読書するお相撲さんの店のとなりはかわいい生地のオリジナル衣料とファンシー雑貨屋さん。両脇壁絵もかわい~

2019年07月09日 22時35分47秒 | マンチェスター
昨日、マンチェスターに行きました。


一昨日、ストックポート日報に載せた、入り口が読書するお相撲さんに はさまれた おしゃれな書店/デザイナーもの雑貨屋(マグマ magMA)のある通り、オルダム・ストリート Oldham Street。
マンチェスターの個性的な個人経営のショップやカフェが並ぶおしゃれなエリア、ノーザン・クオーター Northern Quarter の中心です。

となりの、ファンシー雑貨とかわいい生地を使ったオリジナル衣料を売る、とにかく かわいい!かわいい!!お店の両側もストリート・アート調のペイントで飾られていました!


店の名前は、サンダー・エッグ Thunder Egg。

お相撲さんアートの写真を撮った時には、こっちにも絵があったことにうかつにも実は気が付きませんでした!



実は、この店で夫にロブスターの模様のタックの入ったかわいいワンピースを数年前買ってもらって...年不相応なのですが今でも夏に着ています。

この店に入ると今はやりのかわい~いモチーフのはやりが一目でわかります。

ネコは定番、フラミンゴ、パイナップル(以上夏季限定)サボテン、ラーマ、ユニコーン、レインボー、バナナ、アボカド、ステゴザウラス、マンチェスターの地元限定、ハチ....などなど。
パグ、フレンチブルドッグ、ダックスフント、チワワなどのかわい~い犬、なぜかカップケーキ、それにアナグマ、キツネ、ハリネズミなどのイギリスの野生動物モチーフは一時大流行だったのですが、この頃ちょっと下火になってきたのがわかります。

上の写真の前を歩く男の人、ジャマですね。通り過ぎたところをもう一枚。


はやりすたりのない、「かわいい~!」を虹色のグラデーションで表現したファンシーなストリートアートです。

といっても、(今までそういえば気が付かなかったのですが)この2軒の人気ショップの両脇の空白部分(シャッターを収納するスペースのようですね)定期的に絵をかき替えているようです。

以前はどうなっていたのか覚えていなくて、店名でグーグルしてみたら以前の店頭の写真がいくつも出てきました。
どれも見たおぼえがあります!


ストリート・アートはそもそも一時的なもの。
半分取り壊されてむき出しになった壁や、閉店した店の無機質なシャッターや板張り、工事中の囲い板などを色鮮やかに飾り、ビンボッたらしく荒んだ印象になりがちの町を朗らかに楽しそうに演出する役割を果たします。

工事が終わったり新装開店したりすれば役割も終わり...そんな特色を生かして、飽きが来る前に塗りなおして次々と別のアーティストに発表のチャンスを与える臨機応変なストリート・アート。

いいなぁ...できるだけ多くを写真に撮っておこうと私が思う理由はそこなのです。


店が閉まった後にも何度も前を通っているのですが、シャッターに絵が描かれていたかどうか思い出せません。
いえ、たぶん閉店後もショーウィンドーが外から見えるようになっている細かい網状のシャッター(絵は描かれていない)なのじゃないかと思います。

どころで、上の写真の店の前を通過する男性、撮った時は気が付かなかったのですが、ビンテージふうミッキーマウスを手にぶら下げています。
ファッションの一部なのでしょうか?


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また出た!いかがわしいニンジン、強烈な変異!自然の神秘!誰が創造性を発揮したのか!?食べれば同じ

2019年07月08日 23時52分35秒 | 英国の野菜、果物
いかがわしい形のニンジン、第2弾。


...といっても、第1弾をご記憶の方は少ないでしょうから前回の記事、関連記事のリンクを貼りました。

いかがわしいニンジン

不恰好な野菜が買える!最近のイギリスのスーパー事情

例によって、スーパー、セインズベリーの量り売り野菜箱から掘り出しました。

不思議なことに、さまざまな形や大きさの野菜が詰められたはかり売り野菜箱の中に、普通のまっすぐなニンジンにぐねったり脚がはえていたりするニンジンが混ざる確率は日によって違うのです。

この日はけっこうな収穫でした!

まっすぐなものばかりの不漁の日もあるのです。

写真に撮ったのは購入して2日後。すでに足先が黒ずんでいます。
箱から取り出した時にはすでに細い先っぽが少ししなびていましたが、それでも買いました!

細く、繊細な部分は傷みやすいようですね。

根菜は、まっすぐで太く枝分かれしていないものが好まれるわけが分かった気がします。規格の大きさや形にこだわるのは必ずしも見た目だけのことではないのかもしれません。

同じ箱から長さに差はあるものの、太くてまっすぐなのもたくさん選んで買いました。
この5本も黒ずんだ足先を切り落とし(ああー無駄)一緒に玉ねぎ、ハーブと炒めてスープにします。

やわらかく煮えたらフードプロセッサーにかけて滑らかなクリーム状にするつもりですので脚もおちんちんもすっかり形を失うでしょう。
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かわいい!ピンクの肌のお相撲さん、休日には読書でリフレッシュ!読んでる本がまたおしゃれ!

2019年07月07日 22時25分41秒 | マンチェスター
マンチェスターのおしゃれなエリア、ノーザン・クオーター Northern Quarter の....


...ピンクの肌のお相撲さん。


アート、インテリア、ファッションなどグラフィックな書籍とデザイナーものや、日本、北欧などから輸入したヒップホップな雑貨をおしゃれなディスプレイで販売するマグマ MAGMA という店です。

狛犬のように入り口を挟んだ2人、読書中です。



左側のお相撲さんが熱心に読んでいる本のジャンルがヒップですね。
GACHAPON, BONSAI,ART, COMICS, MOOMIN, @YAYVM, MINIMARISUM。

壁画アーティストが依頼を受けた時、店の業務内容と扱っている書籍の概要をサラッと研究して手早く反映させたようなチョイスです。
(例えば、ガチャポンに関する本が実際にあったのかもしれません)

もちろん、日本のサブカルチャーやアートはグラフィック・アートの業界では不動の人気です。

で、@YAYVM って何だろう?

グーグルしてみると、このアーティストが制作している、ファンキーな「スーシー」ピンバッチや「スーモー」顔ブローチなどを販売しているサイトに行きつきました。(さりげなくなく宣伝していますね)


お相撲さんのことは英語でスーモー sumo といいます。(相撲競技はsumo wrestling)。

sumo wrestler より今や「スーモー」の方が親しまれ定着しています。

日本にいた頃、欧米事情に詳しい人が「欧米では相撲は日本の神事としてとらえられている」と書いたものを読んだことがあります。
戦前にはそういった紹介が好まれたのだとか。

私が来たばかりの30年ぐらい前、日本人留学生の私に相撲に興味があると話しかけてくるイギリス人がけっこういましたよ。

初対面の外国人には相手の国の文化に敬意を示すのがエチケットと思っているちょっと知的な感じの人たちです。

当時、週末の深夜にBBCで相撲中継を放送していたらしく、(後で知ったのですが私と知り合うまで日本には全く興味のなかったうちの夫も熱心に見ていました。)エチケットというより、実際日本人の私と相撲について話をしたがる人がけっこういたのです。

相撲は神事で、相撲競技は一種の宗教儀式で...なんて思ってる人は皆無でした。
当時、お相撲さんは伝統技能を継承する社会的地位の高いスポーツマンだ、という認識が広まっていたようです。後日夫がそう言いました。

事情が一切変わった今現在、イギリスで「スーモー」といえば、ユーモラスでかわいく誇張された太った manga キャラクターのイメージです。



一種人間離れした要素もあるような...
「ニンジャー」と同様、ファンタジーの登場人物的なイメージも少しあるようです。
日本の国技である相撲競技から離れて、ユーモラスなキャラクターが独り歩きしている感じです。





(☝寿司じゃなくておにぎりじゃないの?)

マグマのお相撲さんたち、そういえば脚が長いですね。
タッチもマンガ風でもわざとらしいジャパニーズアイコン風でもなく、絵本調なのがちょっと新鮮です。






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街を歩けばイヤでも目に入る!町中を占領するハデな図柄の巨大カエルの町おこしイベント!観光案内付き

2019年07月06日 09時00分00秒 | ストックポートとその周辺
昨日、ストックポートタウンセンターに行きました。


ストックポートの「町おこしイベント」と決めつけてもいいパブリック・アート・イベント、ストックポーツ・ジャイアント・リープ STOCKPORT'S GIANT LEAP 続きです。



主催者が意図したカエルのアートめぐりを敢行するつもりは全くありません。
小さな子供でもいるならともかく、地元住人の私が一人でガイド・マップを見ながら見たカエルをチェックして歩くのはちょっと寂しい気がします。

用事があって歩いた短い距離のどこに行っても目に付くのです!

一番上の写真のカエルは、作品番号8;Buster。

帽子に関するユニークな展示で知られる帽子博物館、ハット・ワークス Hat Works とストックポートを代表する景観のストックポート・ヴァイアダクト Stockport Viaduct (鉄道橋、アーチが写っていないので見栄えがしませんね)が背景に写っています。

バスターという名前のカエルは、名前からも察しがつくように、192番のバス路線を走るバスを表しているのです。


スポンサーはもちろんバス会社!

ナンバープレートの「RIBBIT」というのはカエルの鳴き声です。
英語でカエルは「ケロケロ」ではなく、「リビッリビッ」となきます。

192番のバスは終日運行、日中は5分おきにストックポートとマンチェスター間を走っています。

カエル型バスの運転手がカエル、後部座席に座る乗客がおどろおどろしく質感が表現されたオタマジャクシ!


マーケットに行く途中で見かけたのが....作品番号19;Edgeleap。


セント・ピーターズ教会 Saint peter's Church のあるセント・ピーターズ・スクエア Saint Peter's Square は「噴水広場 fauntain square」と呼ばれて親しまれています。

時々ストックポート日報にも登場する、19世紀半ばのストックポート選出の国会議員、リチャード・コブデンの像もこの広場にあります。(遠景、中央)



この日はロードコーンをかぶされたり汚い靴下を持たされたりせず威厳をもって立っていました。

「Edgeleap 」の、また出た、leap (ぴょんと跳ねる)がらみの命名です。

青一色で彩色されたストックポート名所尽くしのこのデザイン....「ストックポート・カウンティ Stockport County」という、あまり強くないプロのサッカー・チームのチームカラーが、この青なのです。ファンが「ストックポートカウンティ・ブルー」と呼んでいます。

(...うちの夫もファンで、一時は株主席まで持ってましたっ!!)

そしてこのサッカーチームはストックポートタウンセンターそばのエッジリー Edgely という町に拠点を置いています。

ストックポートの名所尽くしの一部としてちゃんと名前も脚の付け根の部分に書き込まれているし...

スポンサー企業はストックポート・カウンティの後援を公的にやっているようですよ。

....市民アート・イベントなのにここまで「ひも付き」でいいのか?...深く考えないで楽しめばいいんですけどね。



この日買い物をした、ガラスと鉄骨構造のマーケット・ホール Stockport Market Hallがある、マーケット・プレイス Market Place 。


作品番号15;This Little Froggy Went to Market。


ナーサリー・ライムのよく知られた一節「This little piggy went to market」のもじりなのはわかります。

だけど、リトル・フロッギー(ちっちゃなカエルちゃん)という名前なのにぜんぜんかわいくない!
よく知られたナーサリー・ライムのウケのいいフレーズを「マーケット」が入っているという理由で安易に使っちゃってるのが残念です。

絵柄はマーケット・プレイスの名所建築物件....。前面には向かい合って建つマーケットホール正面立図。



うーん、エッジリープもリトル・フロッギ―も臆面もなく...ストックポートの観光プロモーションを前面に押し出したデザインなのが大いにアートとしての勧興をそいでしまっているのです!

アーティストは絵がちゃんと描ける人みたいなのにがっかりだなぁ。

スポンサーの意向とかいろいろあるんでしょうね....
ちなみにリトル・フロッギーのスポンサーは、ストックポート市。お役所です。

他にも通りがかりにいくつか写真を撮りました。小出しにしてお目にかけます。

すでに19体のうち10体を見て写真に収めています。
この分だと全部回れそうです!

.....各作品の土台に記されている文字を集めて文章を作る「文字パズル」(たぶんストックポートすごい風なフレーズなんでしょうけど)に応募して、黄金のカエル・ミニチュア・フィギュアをもらおうかなぁ、などと考え始めています。

あああ....イベント主催者の思うつぼ!!

作品番号18;Sir Hopslot。


解説略!

昨日のリンクです☟

制作意図とイベントの趣旨にちょっぴり疑問あり!ストックポートのパブリック・アート・イベントで町おこしなるか?

写真をいくつか差し替え、記事の構成を変えて、書き直しました。よかったらもう一度読んでください。
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制作意図とイベントの趣旨にちょっぴり疑問あり!ストックポートのパブリック・アート・イベントで町おこしなるか?

2019年07月05日 09時00分00秒 | ストックポートとその周辺


アート表現を施した巨大フィギュアを町中に点在させる おなじみのパブリック・アート・イベントがストックポートでも6月29日から開催されています。

作品番号6;Robert。


背景は、1930年代の映画館の内外の建築詳細が忠実に修復、再現された劇場/イベント・ホール、プラザ Plaza

作品番号7;Ferdinand


遠景の高い煙突のある建物は、ユニークな帽子博物館、ハット・ワークス Hat Works です。

で、ロバートって誰?フェルディナンドって?
いえ、そもそも、なぜカエル!?

ストックポーツ・ジャイアント・リープ STOCKPORT'S GIANT LEAP という「アート・トレイル」イベントです。

ストックポートの大いなる躍進(leap)と、ぴょーんと跳ねる(leap)カエルにかけた こじつけシャレなのはわかるのですが「ストックポートといえばカエル!」の説得力ある根拠がまるでありません。

ところで、私はカエルが大好きなのですが!

手もとに、ガイドマップ付きの解説チラシがあります。


しっかりした紙に印刷され、観光地図としても使えます。
もちろん、このアート・イベントそのものが観光/商業促進が目的なのは明らかです。

カエルめぐり(trail)に全部で16のカエル・アートを探して歩くとストックポートタウンセンターのめぼしい観光スポットをひと巡りできます。
トレイルのルートにはもちろんショッピングエリアや飲食店エリアも含まれているので、カエルめぐりで人を呼び寄せる商業効果は抜群です。

要するに、「町おこし」プロジェクトですね。

それだけでなく....
「ロバートってだから誰よ!?」「ロバートの1980年代のメンズ・シャツの柄みたいなこの装飾意図はなに?」と突き止めたくて解説チラシを読んでも、スポンサー企業(例;ロバートのスポンサーは保険会社)の業務内容に絡めた言葉遊びみたいな解説しか書かれていなくて「これ、ほんとにアートイベントか!?」と追及したくなります。

フェルディナンドは中世のおとぎ話の登場人物みたいな名前です。


表面の黒白装飾は ストックポートの名物史跡ブラモル・ホール Bramal Hall(うちのそばです!)を思わせます。
16世紀のチューダー建築の特徴のハーフチンバー模様なのですがやっぱり解説にはその記述がありません。

作品番号9;Mrs Mersey the Hoppy Shopper


真正面に、卵!(好きですが)

ハイストリート・ショップ(大手チェーン店)が並ぶ、ショッピング・アーケード、マージ―・ウェイ Mersey Way の中にあります。

「ホッピー・ショッパー」も苦しいですね。
hop も leap と同じで「ぴょんぴょん跳ねる」意味なのですが、happy shopper(満足してる買い物客)にかけるシャレなのです。「ハッピー・ショッパー」はお買い得を表現する決まり文句。



もちろんスポンサーはマージーウェイ・ショッピングセンター!



マージーウェイ・ショッピングセンターの下にはストックポートに水源があり、大河となってリバプール湾に流れ込むマージー河 River Merseyが流れています。

解説によるとこの作品には、1960年代のヒット曲の歌詞にまつわるものが描きこまれているとか。

え、どこに!?
どう見ても「カエルの一生」絵画にしか見えませんが。
今度行って、よく見てきます。(1960年代のイギリスのヒット曲のことはよく知らないのですが。印刷ミスじゃないの?)

やはり解説には「Mrs マージーはマージーウェイをぴょんぴょん(ホッピング)ショッピングしまわるのが何よりも好き!」と、愚にもつかないスポンサーによいしょコピーがかかれています。

なぜ1960年代?という答えは、何となくわかるような気がします。次の作品と関連がありそうです。

作品番号16;Strawberry Field。


ストックポートのタウン・ホール(市庁舎)の裏手の静かな場所に、ストロベリー・ストゥーディオス Strawberry Studios (活動は1968年~1993年)という、イギリスのロック・ミュージック史上重要な録音スタジオだった建物があるのです。

経営者がいつかビートルズの曲を録音することを目標に、ビートルズの曲の一つ、Strawberry Fields Forever から名付けたそうです。

車でよく前を通ります。
修復後、2017年に博物館としてオープンして以来、ストックポートで現在一番人気の観光スポットだということなのですが、寄ってみようみようと思いつつ、実現していません。

常連利用有名アーティストのリスト。めんどくさいからコピー&ペーストしました!(一部)
Joy Division, Neil Sedaka, Barclay James Harvest, the Smiths, the Stone Roses, Paul McCartney and Cliff Richard.....

ビートルズの録音をすることはなかったのですが、旧メンバーのポール・マッカートニーの録音は果たせたようです。

で、イチゴ肌のカエル。


デザイン的には優れています。
子供ウケしそうなイチゴ肌カエルを、子供が興味を持つとも思えない史跡録音スタジオの前ではなく、現在観光資源としてプロモート中の ショッピングエリアから間近い Old Town の、グレート・アンダー・バンク Great underbank に置くのも気が利いています。

背景は 16世紀の商館、アンダーバンク・ホール Underbank Hall
現在は、ナットウェスト銀行 NatWest Bank のストックポート支店です。


去年ストックポート日報でもしつこくレポートしたマンチェスターのパブリックアート・イベント、ビー・イン・ザ・シティ Bee in the City 、ご記憶でしょうか。
リンクを貼りました。ぜひ見てください!☟☟

マンチェスター中、個性的なはたらきバチでいっぱい!親しみやすい屋外アートイベント


まだまだあるハチのアートがマンチェスターを占領!今回は背景の建物とともに、シティーセンターのミニ観光案内


しつこく続くハチのアートの市民イベント、マンチェスターミニ観光案内つき;その2


載せ忘れたハチの写真を遅れて公開、中央図書館と市庁舎、マンチェスターの文化遺産の周辺


地元ストックポートの盛り上げイベントに関してけっこう皮肉な書き方をしてしまいました。

確かに全国的に話題になった上記のビー・イン・ザ・シティに比べると、アートの質も、スポンサー企業や団体の規模や知名度もかなりしょぼいのは事実です。
第一、参加アートの数も16体と、お茶休憩をいれても2時間以内でらくに回れる規模です。(beeは101体)

それでも!
マンチェスターのbee企画はかなり広範囲の公募で選ばれた作品のようですがこのカエル出品者や協賛企業はストックポート地元ベースが基本です。
プロの作家ではない学校や地域の制作による出品もあります。

地域に根差したプロジェクトなのです!!

作品番号13;Midas


タウンセンターのちょっとはずれ、大駐車場を併設したショッピングセンター、ピール・センター Peel Centre にあります。

日曜日には、家族連れがガイドマップを手に嬉々としてカエルめぐりをしていました。
カエルを見つけた喜びで咆哮をあげながらカエルに突進していった小さい子供を必死に止めるお母さんを見ました。

カエルに抱き着いた子供を嬉しそうに写真に撮るお母さん、おじいちゃんおばあちゃんもたくさんいました。

このプロジェクト、どうやら市民に愛されているようです。ストックポート市民としてはうれしいです!



上の写真のお母さんは子供たちに指図をして次々と配置を変えて激写していました。

ところで、この金ぴかカエル「ミダス」、シンプルで私が気に入った筆頭です。
制作に余り手がかかってなさそうです。たぶんスプレーペイントでしょ、着色したの?

ガイドマップの解説には作者名もスポンサー名も記載されていません。

ミダスというのは、手に触れたものを何でも黄金に変えてしまうギリシャ神話のミダス王のことです。

「躍進する産業都市、ストックポートに資本、技術投資をしませんか。Midas touch (濡れ手に粟、一攫千金のような慣用表現)が実現できますよ」というようなナマグサイ作品解説が載っていました。

....だからこれ、ほんとに市民に愛されるアートプロジェクトかって言ってるの?!

いい忘れましたが、カエルの頭にちょこんと帽子が載っているのは、ストックポートが「帽子の町」だからなのです。

ストックポートは1950年代まで、紳士がかぶる丸くて堅いフェルトのボーラー・ハット製造の世界的な中心地だったのです。
どうせならシルク・ハットではなく、ボーラー・ハットをかぶせればよかったのに!







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国際的な観光地バルセローナのど真ん中!地元民行きつけの時間のとまった隠れ家のようなバール発見....ちっとも隠れていない立地

2019年07月01日 09時00分00秒 | ヨーロッパ
スペインのバルセローナで食べた軽食の数々、続きです。


筆頭は、なぜかメキシコ料理、ナッチョス。
色鮮やかで人目を引くので記事の一番上に持ってきました。(ただそれだけです)

世界中で大人気の「メキシコ料理」だと思っていたのですが、メキシコ料理からヒントを得てアメリカのテキサス州で発達した「テックス・メックス」料理だそうです。

スペインでも大人気だそうです。
夫と息子がビールを飲むために寄った海岸沿いの、地元の人たちでにぎわう「ナッチョス・バー」で、せっかくだからと名物のナッチョスを注文しました。


今日の「バルセローナで食べた料理」の話題は.....



私たちが滞在したホテルのすぐそば、大聖堂(ゴシックエリアの中心にある14世紀の大聖堂です。有名なガウディ設計のサグラダ・ファミーリアとは違います!)から歩いて5分の場所にある、観光名所に囲まれた古い裏通りで奇跡のように営業している古臭い「バール」。


ホテルの横の細い急な坂道の通りを上がってすぐのところにあります。


写真を見て店名を確認、「BAR BRUSI」。

その日の午後遅くイギリスから訪ねてくる友人と合流する息子と別れた私たち、夕食は軽くすませよう、とホテルのそばのカフェを探していたら本当にすぐそばに見つけました。



(息子の友達はバルセロナに一泊して翌朝スペインの別の町に移動、息子はまた私たちの滞在最後の日、行動を共にしました)

夫が注文した地元産の赤ワインがワイングラスではなく、重ねて収納できて便利そうな「コップ」で出てきました。


びっくりするほど安く、しかもおいしかったそうで、夫はお代わりしました。

オリーブの他のおつまみのなんと素朴なこと!おしゃれなタパス・バーやピンチョス・バーとは大違いです。


トマトジュースとオリーブオイルを塗った薄切りパンも気弱な笑顔の経営者らしい男性がお酒や飲み物を出すバーとは反対側のカウンターで手早く用意してくれました。

チーズはマンチェーゴ、あっさりしていてかすかに炒ったゴマのような風味があります。
イギリスのスーパーで買うとけっこう高いのです。

「ケーキか、ペイストリーはないの?」と聞いた私に「カボチャ(パンプキン)は好き?」と聞き返し、持ってきてくれたのが上の写真の半月型の揚げ菓子です。

帰国してから名前を調べてみたら、スペイン名物のエンパナーダスというお菓子と形状が同じです。

エンパナーダスというのはパンで肉やチーズを包んで揚げた「甘くないお菓子」だということですが、この時私が食べたのはシナモンの香りがするカボチャの「餡子」の入った甘いお菓子でした。違うものかもしれません。

スペインで食べた唯一のスペイン菓子です。

イギリスでコーヒー(アメリカーノかフィルターコーヒーの場合)を注文すると必ず「ブラックかホワイトか」と聞かれます。
ホワイトというと室温の牛乳を入れてくれるか、あるいは小さなジャグに入れて添えてくれます。

パリでは温めた牛乳が付いてきましたっけ。
ところが南欧では特にたのまない限り必ずブラックで出てくるのです。

ポルトガルでミルクをつけてくれるように頼むとアツアツの沸かした牛乳がどこでも供され、びっくりしました。
今回はご当地流で、ブラックを飲みました。
だれもミルクがいるかどうか聞いてくれません。お砂糖はなぜかたのまなくてもついてきました。

店内が、とにかくレトロです!


わざとおしゃれなレトロにしているのではなく、1970年代ごろから時間のとまった自然体の泥臭いレトロなのです。

これは、翌朝朝食を食べに再訪した際撮った、午前中の写真です。


階上はビリヤード場になっていて、夕方、ビールを片手にプレイを楽しむ男性でにぎわっていました。


経営者らしい40歳ぐらいの男性がたった一人で店を切り盛りしていました。流暢ではありませんがちゃんと英語で対応してくれました。
いえ、壁際の狭いキッチンスペースには料理をしてるおばあさんもいました。男性のお母さんだと思われます。

おばあさんは英語が話せません。
それでもうちの夫に声をかけ(あっちの好きな席にどうぞ、とか何とかいったようです。私たちはスペイン語が話せません)、常連らしい地元の客とも短い会話を交わしていました。

店の看板おばさんなのかもしれません。

店内は夕方過ぎとはいえ、冷房がなかったのでけっこう暑く、油っぽいにおいが充満していました。
店内で玉ねぎやニンニク、ソーセージを調理する垢ぬけなさにちょっと驚きです。

バルセローナはおしゃれな国際観光地なのに!です。

バー(カウンター)の調理場に面したガラスケースには冷たいスパニッシュ・オムレツが各種ずらっと並んでいました。

一段低くなったカウンター内側に並んだお鍋にはいろいろ興味をそそる煮込み、炒め料理の数々が....

スープで煮込んだ白っぽい薄気味の悪い繊維質な肉料理を指さしてこれは何かと聞いてみたら、気弱な笑顔の経営者らしい男性は自分のおなかを指さして、「牝牛のおなか...」と英語で答えてくれました。

察しました、ウシの胃の一部、tripe です。ポルトガルで地元の名物料理だからと食べてみて激まずかったあれです。
日本語でミノとかガツとかいうらしいですね。(日本で食べたことはありません)

興味深い、「食事」メニューです。


ちゃんと英語で、トライプ(食材名というより、むしろ医学用語?)と書いてあります。

スペイン語の料理名の直訳みたいなのですが、もっと他に言いようがあるでしょうに....トライプのハーブたっぷりネギスープ煮込み、とかなんとか。

ご当地カタルーニャ・ソーセージを食べてみたらどうだ、と(ベジタリアンの)夫が勧めてくれたのですが、おしゃれなピンチョスを何回か食べた後、ちゃんと料理された庶民的なスペイン料理の魅力には抗いがたく注文したのが...


ソーセージとマッシュルームの炒め物。(上の写真の左下)
ソーセージのスモーキーな味がしみて素朴でとてもおいしかったです。

スパニッシュ・オムレツはどっちも冷たいまま切り分けられて小皿にのって出てきました。
肉が入っていないのを確認して、指さして2種類注文したスパニッシュ・オムレツ、実は何という種類だったのか、判然としません。
ひとつには輪切りのクジェット(=ズッキーニ)がたくさん入っていました。

冷蔵庫に入っている缶を指さして注文した缶入りオレンジ飲料は日本で旅館に行った時などに飲める懐かしの「バヤリースオレンジ」とそっくりのレトロでチープな味でした!

翌朝、再訪してクロワッサンとブラック・コーヒーの朝食をとりました。

その時一緒に飲んだ生のオレンジを一杯ぶんで4個も使った搾りたてのオレンジジュースは私たちが注文した品の中で一番高価でした。

スペイン滞在中に飲食したレストランの中で一番興味深く、お手頃においしく食事できたのがホテルから歩いて1分の、玉ねぎのにおいがする暑苦しいこのバールでした。

私たちはとっても気に入りました。

スペインの観光地ではない場所に行くと、こんな感じの素朴な地元バールがたくさんあるのかもしれませんね。
スペイン以外のどこの国でも同じでしょう。

おばあさん、長生きしてほしい。








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