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ストックポートの「町おこし」パブリック・アート・イベント、ストックポーツ・ジャイアント・リープ STOCKPORT'S GIANT LEAP 続きです。
「カエルはもういい、ほかの話題はないのか」と思っている読者の方もいるでしょう。
ストックポートの観光案内だと思ってしばらくご辛抱ください。
うちの夫はカエルやガマが大好きなのです。(実は私も...)
そんな夫でも半日タウンセンターを用事で出歩いて「ここにもカエル、あそこにもカエルで もうたくさんだ」といっていました。
一番上の写真は作品番号1;Nexphibian。
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国道A6沿いの白亜のストックポート市庁舎 Stockport Town Hall (別名ウェディングケーキ)横の小さな広場をネクスフィビアンとシェアしているのは 第二次大戦時に英雄的な活躍をした、ストックポート出身の海兵隊員の銅像だそうです。
数年前 本人が亡くなったらしくこの奇妙な銅像が建立されました。
ユニオンフラッグの国旗があがる市庁舎正面わきのポールに、この日は「半旗」が上がっていました。
ストックポートゆかりの誰かが亡くなったようです。
ネクスフィビアンのスポンサーはオランダに総本社がある Nexperia ネクスペリアという巨大グローバル「ハイテク」会社です。
ストックポートに支社があると聞いてびっくりです。
この会社の事業内容はちんぷんかんぷん、とにかく「ハイテク」という昭和の香り高い言葉でしか表現できません。
このカエルがわけのわからない「ハイテク」ぶりを的確に表現しています。
タイトルは Amphibian (両生類)とスポンサー名を合わせたこじつけでしょう。
作品番号が1番のこのネクスフィビアンからスタートして、番号順にガイドマップを見ながらまわると効率よくすべて(といってもたったの19ですが)のカエル・アートを鑑賞できるようになっているようなのです。
ついでなので、用もないのに斜め前のストックポート駅前に集中的に設置された3体のカエルも見に行くことにしました。
作品番号2;Golding
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デザイン的にすっきりして、なかなかいいと思います。
ストックポートのタウンセンター、オールドタウン Old Town に醸造所兼本社がある有名なエール(イギリス伝統のビール)会社ロビンソンズ Robinson's(通称ユニコーン・ブリュアリー Unicorn Bruary )がスポンサーで、デザインも制作もロビンソンズと書かれています。
柄は、エールの原料ホップ。ゴールディングというのはイギリス固有のホップの種類だそうです。
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作品番号3;KermIT
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カーミットというのはおなじみマペット・ショーのカエルのキャラクターです。
ああ、もううんざり、ダジャレ!最後の2文字が大文字で「IT」になっています。
スポンサーがIT会社なのです。これまた詳細不明の「ハイテク」事業のようです。
カーミットの表面にかかれたスポンサー企業からの「2進法メッセージ」(意味不明)を読み取ってほしいと説明書きにはありました。
0と1の羅列です。
数式か何かだとしたら解読する気は全く起こりません!
でも小さな活字でkiss、 find、 hidden、 your、 prince などなどといった単語が所々書かれていました。根気強くつなぎ合わせていくと.....グリム童話の、魔女にカエルにされたハンサムな王子様のストーリーからインスピレーションを得た、夢見る乙女へのメッセージでも出来上がるんじゃないかと思うのですが。
カエルとキスした少女は 魔法がとけて人間の姿に戻ったステキな王子様と結婚したのでした。
帽子にカエルの王子様を表す金の冠がペイントされています。
マンチェスター・ピカディリー駅とロンドンのユーストン駅直通の特急電車、インターシティInter City すべての便がストックポートに停まります。
現在1時間に一本発着するインターシティで、マンチェスターからロンドンまでたったの2時間4分から14分(時間帯によって僅差あり)しかかかりません。
駅前広場に高密度の3体もカエルを設置した意図はおそらく、ストックポートを訪れるイギリス各地からの旅行者にこのイベントの意図を何気なく悟らせ、興味を持ってもらおうという魂胆だと思われます。
一体 見ただけだと「連作イベント」だということがわかってもらえなさそうですから。
といっても...私がそこにいた時に、ロンドンからのインター・シティが停車した後だったらしく、乗客がおおぜいどっと駅前に降り立ったのですが、カエルに目をとめる人はほぼ皆無。誰も足をとめません。
インターシティが止まるほかの地方の都市からストックポートに観光やレジャーに来る人がそれほどいるとは思えません。
でもビジネス誘致が盛んなストックポートに仕事や、あるいはマンチェスター国際空港利用で滞在宿泊する人はけっこういるはずです。
それにしても、ストックポート駅 Stockport Station の周辺がいつのまにかモダンでかっこよく変貌していたことに驚きました。
完全な状態で現在も使われている19世紀のレンガ造りの古い駅舎はモダンなガラス建築に囲まれて外からはよく見えません。
ストックポート駅にはストックポート日報にも創刊間もなく(5年前)取り上げた知る人ぞ知る「0番線」があります。
ガラス張りの駅舎を増築した際、もう一つ新設したプラットフォームが1番線の手前側に位置するため全部の番号を変更するにしのばず、「0番線」登場...といういきさつは簡単に推測できます。
新築のガラス張りの建物が次々と駅前の小さな広場を囲むように建てられています。
いくつか、同時進行で現在建築中です。
黄色い安全ベストを着た建築作業員が芝生で寝転がってお昼寝をしています。
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作品番号4;Cornelius。(背面)
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(また!コーネリアスってだれ?)
最初に見た時は「ホロコーストを忘れるなかれ!といった重~いテーマの作品か?!」と思いました。
第一野党、労働党の組織的な反ユダヤ/反イスラエル思想疑惑が取りざたされている今、ホットな問題作!と興奮したのですが...
(でも、表現が不謹慎なような?)
説明を読んで脱力。
コーネリアスはホリデー・イン Holiday Inn (スポンサーのホテルチェーン)でぐっすり寝るのを楽しみにパジャマに着かえたところなのだそうです。
パジャマだったのか!?
強制収容所の囚人服にしか見えません。
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もう先刻承知ですが、ストックポートのアートイベントのはずのこのカエルたち、すっかり企業の広告媒体として利用されまくりですね。
強制収容所を思わせるパジャマカエルなど、宣伝効果が疑わしいものもあるようです。
カーミット
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