鳩山首相辞任、菅総理誕生。
沖縄の「普天間飛行場」の移設に関して、鳩山氏が言い続けていた「国外移設、最低でも県外」と言っていたそのことに努力した形跡がまるで国民には見えなかった。
それが「鳩山不信」になり、支持率低下になった。
鳩山首相はこの問題に関しては徹底的にブレーンを欠いていた。
岡田外務、北澤防衛、平野官房長官、誰を取っても、外交、安全保障、基地問題に関しては素人といっていい人達。
この人事からして首をかしげる政権のスタートだった。
この間の「普天間基地」問題の経過を見ていてわかったこと、それは「沖縄のことは沖縄に聞け」だった。
普天間のある宜野湾市長の伊波氏、名護市長の稲嶺氏、元沖縄知事だった太田氏、これらの人は当事者として実に米軍のこと、基地のことに通じている人達だという印象をテレビ報道だけでも感じることができた。
鳩山さんはこれらの人達の言うことを一番に聞くべきなのに、アメリカの手先になっている外務官僚や防衛官僚、そのOBの言うことを聞いた。
そういうシステムになっているらしい。首相や大臣に就任すると、省庁から担当官がやってきて、「これこれこうで」と一方的に説明をして大臣側に考えるヒマを与えないでスケジュールを押し付けてくる。
それが官僚組織が政治家を押さえ込んでしまう「手」なのだという。
しかし鳩山総理の「米軍存在の抑止力」論に国民は納得しなかった。
そこに住む人達の安全を無視してまで頼みにしなければいけないものなのか、今人々はそれに疑問を抱き始めている。
米ソ2大国による「冷戦状態」が崩壊して二十年。
アメリカのやっているイラクやアフガンでの軍事行動は何のためなのか、そこに大義がないことは、よほど目が歪んでないかぎりわかることだ。
「アメリカの軍事行動に大義はない」。そんな時代に日本に存在する米軍基地は何のためなのか。
その問題へ切り込むことを避けた瞬間、鳩山政権の命運は尽きた。
鳩山政権の失敗を見ていた菅氏は用心深く「普天間問題」を迂回している。
火中の栗を拾う短命政権に終わるのか、それとも下げ止まりして参議院選を乗り切るのかそれはわからないが、
自民党に一度も在籍せず、一族に政治家がいない「市民派総理」は、経済界や官僚組織が望んでいる更なる消費税増税に手をつける「反市民派」として名を残すことになるか。