写生自在13 優しい視線
子を抱いて母となり来ぬ初句会 迦 南
出迎へし児の手をひいて草の花 〃
島の娘等葛を刈りつつ唄ひつつ 〃
花嫁と乗り会ふバスや麦の秋 〃
子を負ふて梅の門辺に出てはまち 〃
眉目かたち五家の娘らしく葛の花 〃
金魚飼うて藤間の名取女住み 〃
草刈女憩ひ帯飼ふ話など 〃
製作年次が昭和20年代ですから、時代の古さが当然ながらあります。
路線バスに花嫁と乗り会う句など頰笑ましい情景ですね。今日では絶
対に見られな光景です。
テレビ、パソコン、携帯などのない時代ですが、それなりの暮らしのあっ
たことが窺えます。迦南の女性を見る視線が優しいのですが、ただ優し
いだけでなく人物の把握が深いですね。眉目かたちの句など、季題葛
の花の働きがすばらしいです。