写生自在20 朝鮮時代
蛙藻を掻き分けて目をつぶり開きし 迦 南
俳句初学の頃先生からよく注意された事の一つに動詞は一つというテーゼがありました。それは句中に動詞がいくつもあると句が賑やかになって焦点がが定まらず散漫な句になって失敗作となるからだ、と云われました。それをずっといまだに守っているのですが、そのこと自体は正当であり有効です。
ただ例外ということがあります。上の句は「掻く」「分く」、「つぶる」、「開く」等動詞ばかりでできているような句です。先生ずるいよ、と云いたくもなるのですが、一句はにぎやかなところがかえって面白く、ユニークな句に仕上がっています。とくに前にも云ったことですが、字余りになっても助動詞「し」を配して語尾のところで引き締めているのです。