発売中の月刊誌「正論」は「脱炭素」に反対と題した特集を組んでいる。
Hanada、WiLLと同様に、文明のターンテーブルが回っている国である日本だから、日夜、書かれている世界最高の論文を満載して毎月発行している。
日本国民は今すぐに最寄りの書店に購読に向かわなければならない。
世界最高の論文が満載されていて、たったの900円(税込み)なのである。
世の中、本程安いものはないのである。
SNSでのやりとりやスマホ等でのゲームだけに興じている人達は現代における白痴なのだと言っても過言ではないだろう。
否、そのような人間達を量産する事こそ中国の意図なのだと言っても穿ち過ぎだとは言えない。
私が、世界最高の学者の一人である古田博司が定義する「直感」で言及して来た事を、真の研究者である杉山大志は世界最高の論文として発表してくれている。
前述したように、彼は東大で学んだに相応しい頭脳の持ち主である。
政界、官界、学界、経済界、言論界には多くの東大出がいる。
にも拘らず、温暖化対策について彼と同様に至極当然な事を言う人間がいないのは何故か?
東大に入って出てくる者も玉石混交であるという事なのだろう。
受験優等生に過ぎない者達も多い事を証明している。
本論文は日本国民のみならず世界中の人たちが必読の、今、最も重要な論文である。
杉山大志は本論文だけでノーベル賞受賞に値する。
だが、本論文が明らかにしている事は、如何に世界は愚かであるかという事でもあるのだ。
昨日、言及した様に、本欄を検索結果から抹殺する犯罪行為が甚だしくなっている。
本論文は日本国民のみならず世界中の人たちが一文、一文を噛みしめて読まなければならない。
以上、二つの意味合いから、出来るだけ多くの章に分散化して発信する。
中国利するだけの愚かな温暖化対策
菅義偉政権下での温暖化対策の暴走が止まらない。
日本は2030年までにCO2をほぼ半減し、50年にはゼロを目指すことになった。
小泉進次郎環境相は太陽光発電の設置義務化を仄めかしている。
かかる政策は日本経済を壊滅させるのみならず、ウイグルの人権や日本の安全保障をも脅かす。
米国が主催した4月22日の気候サミットにおいて、菅首相は「2030年にCO2等の温室効果ガスを2013年比で46%削減することを目指し、更に50%の高みにむけて挑戦を続ける」とした。
これは既存の目標である26%に20%以上も上乗せするものだ。
同サミットでは、先進国はいずれも2030年までにC02をおおむね半減すると約束したのに対して、中国等は米国が求めた目標の深堀りに全く応じなかった。
日本が46%~50%としたのは米国が50%~52%としたのに横並びにしただけだ。
日本はいつも米国と横並びだ。
1997年に京都議定書に合意した時は米国の7%より1%だけ少ない6%だった。
2015年にパリ協定に合意した時は米国と全く同じ26%だった。
いずれの時も、米国は一旦合意したが、やがて反故にした。
歩調を合わせた日本は、二度も梯子を外された。
今回も確実に梯子を外される。
なぜなら、米国議会のほぼ半分を占める共和党はそもそも「気候危機」なる説はフェイクだと知っている。
のみならず、米国は世界一の産油国・産ガス国であり、民主党議員であっても自州の産業の為には造反し、共和党議員と共に温暖化対策に反対票を投じる。
このため環境税や排出量取引などの制度は、議会を通ることは無い。
米国はC02を大きく減らすことなど出来ないのだ。
なぜ米国は自分が出来もしない目標にこだわったか。
それは「地球の気候は危機に瀕しており、気温上昇を1.5°Cに抑えねばならない、それには2030年に半減、2050年にゼロでなければならない」という「気候危機説」に基づく。
これは御用学者が唱えるもので西欧の指導層と米国民主党から信奉されている。
ただし台風やハリケーンなどの統計を見ると、災害の激甚化などは全く起きておらず、この気候危機説はフェイクに過ぎない。
にもかかわらず、CNNやNHK等の御用メディアが、不都合な事実を無視し、「科学は決着した」として反論を封殺し、プロパガンダを繰り広げてきた。
サミットでのバイデン政権の最大の目的は、国内で気候危機説を信奉する人々、特に民主党内で存在感を増すサンダース上院議員等の左派を満足させることだった。
しかし、中国、インド、ロシアなどは全く目標の深堀りに応じなかった。
結果としては、日米欧が一方的に莫大な経済的負担を負うことになった。
中国は高笑い
気候サミットで、中国の習近平氏は自信に満ちた演説をした。
「中国は米国がパリ協定に復帰することを歓迎する」として、政権交代の度に方針が変わる米国の信頼性の無さを論(あげつら)った。
かつ、正式な交渉の場は国連であり、米国主導のサミットでは無いこともはっきりさせた。
中国の意図は「米国に環境を理由として覇権を維持させない」ことであった。
コロナ禍で広く知られるようになったように、国連は中国にとって都合の良い場である。
G77と呼ばれる数多くの開発途上国は、「途上国は経済開発の権利があり、先進国は過去のC02排出の責任を負って率先してC02を減らすべきだ」というポジションを取っている。
中国はそのリーダー格である。
確かに「善良なる開発途上国」であれば、開発の権利の主張はごもっともである。
しかし、領土拡張や人権侵害をしている国であれば、何をか言わんや、である。
だが国連の場では、中国を支持する開発途上国は多い。
香港での民主化運動の弾圧についても、先進国が人権侵害だとして中国非難の決議を出すと、その倍の数の国々が内政干渉だとして中国支持の決議をした。
今後、CO2の話が国連に持ち込まれると、多数のサポーターを従えて、ますます中国は強気に出るだろう。
「先進国がCO2を半分にすると言って圧力をかければ中国もそうするはず」などというお目出たい言説が流布されているが、全く根拠が無い。
中国の現行の計画では、今後5年で排出量は1割増える。
この増分だけで日本の年間排出量12億トンとばぼ同じだ。
また日本の石炭火力発電能力は約5000万kWであるが、毎年、中国はこれに匹敵する発電所を建設している。
今回のサミットで、先進国は自滅的に経済を痛めつける約束をした一方で、中国は相変わらず、事実上全くCO2に束縛されないことになった。
それだけではない。太陽光発電や電気自動車は中国が大きな産業を有し、先進国がわざわざ補助金で造り出す市場を悉(ことごと)く制覇できる。
そのサプライチェーンを握ることは地政学的な強みにもなる。
途上国に対しても、中国は環境インフラ整備を名目に一帯一路構想をいっそう推進すると表明した。
また先進国はCO2を理由に途上国の火力発電事業から撤退しつつあるが、お陰で中国はこの市場を独占できる。
先進国が石油消費を減らし、石油産業が大打撃を受ける一方で、中国は産油国からの調達が容易になる。
のみならず、化石燃料を取り上げられた途上国はこぞって中国を頼る様になる。
欧米が世界中の途上国に極端なCO2削減を押し付けたことは強い反発を招いており、いま先進国が最も味方につけたいインドまでが、新興国の会合(BASIC)で中国と共同声明を出して懸念を表明するに至っている。
先進国は自滅し、中国に棚ぼたが転がり込む。
気候変動という、先進国が冒された奇妙な新興宗教の顛末に、中国は高笑いだ。
この稿続く。