以下は6/27の産経新聞のフロントページに、日本の常任理事国入りに関門、と題して掲載された古森義久の論文からである。
2014年の8月まで朝日新聞に支配されていた日本だったから、日本国民は、この重要な事実を全く知らされずに来たのである。
戦後、最も重要な記事の一つであると言っても過言ではない。
見出し以外の文中強調は私。
自分ができないこと、したくないことを他人にやらせる。
人間同士の関係ではこんな態度は偽善であり、不公正である。
日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す動きに対し、実は米国側にこうした批判が存在してきた。
本気で常任理事国になりたいのなら避けて通れない関門だといえよう。
岸田文雄首相は米国のバイデン大統領が日本の常任理事国入りを支持すると表明した、と誇らしげに発表した。
5月23日の日米首脳会談後の共同記者会見で、だった。
「改革された安保理において」という前提条件が付いたとはいえ、岸田政権にとっては大歓迎の「バイデン大統領の支持」だった。
日本は安倍晋三政権下で、集団的自衛権の限定的行使へとかじを切ったが、米国側では長年、日本が現憲法の下で集団的自衛権行使を禁止したままでは、国連安保理に求められる任務を果たせず、常任理事国となるのは偽善だとする反対論が表明されてきた。
日本が常任理事国になっても、自国にできない行動を他国に実行させることになるからだという指摘である。
国連の平和維持活動、平和執行活動は軍事力の集団行使や軍事的危険を除外できない、という自明の現実への言及でもあった。
米側でのこの趣旨の見解で最も明確なのは1994年1月に上院が全会一致で採択した決議だった。
ウィリアム・ロス議員(共和党)とケント・コンラッド議員(民主党)が共同で提出した決議案は以下の骨子だった。
(1)日本は憲法の規定により軍事行動をともなう平和維持や平和執行の活動に参加できないと宣言している。
(2)日本が参加できないという国際安保活動なしには国連安保理の通常の機能は果たせない。
(3)日本が現状のまま常任理事国になった場合、普通の理事国の責任や義務も果たせない。
(4)日本は自国ができない国連安保理の軍事行動を決定し、粫国に指示して他国の軍人を危険にさらす。
(5)米国は日本が憲法上のこの制限をなくすまでは日本の国連安保理常任理事国入りを支持すべきではない。
以上の決議の背景には当時のクリントン政権の日本の常任理事国入りへの支持の構えがあった。
この2年前、宮沢喜一政権は初めて常任理事国入りに意欲を表明した。
だが米議会は明確な反対を示し、日本側に憲法の規定の修正を求めたわけである。
常任理事国になりたいならば、まず憲法の修正を、という要請だった。
その後も米側では同じ趣旨をロス上院議員自身が94年後半に村山富市政権の高官に、2004年には2代目ブッシユ政権のアーミテージ国務副長官が小泉純一郎政権を支える与党幹部にそれぞれ伝えた記録がある。
ちなみにロス議員は終戦直後に若き米軍将校として日本占領のGHQ(連合国軍総司令部)に勤務してNHKの放送改革などを進めた知日派であり、日米同盟堅持という立場から日本への 友好的姿勢で知られてきた。
米側のそんな人物からも日本憲法の欠陥は30年近く前から指摘されていたのである。
(ワシントン駐在客員特派員)
2014年の8月まで朝日新聞に支配されていた日本だったから、日本国民は、この重要な事実を全く知らされずに来たのである。
戦後、最も重要な記事の一つであると言っても過言ではない。
見出し以外の文中強調は私。
自分ができないこと、したくないことを他人にやらせる。
人間同士の関係ではこんな態度は偽善であり、不公正である。
日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す動きに対し、実は米国側にこうした批判が存在してきた。
本気で常任理事国になりたいのなら避けて通れない関門だといえよう。
岸田文雄首相は米国のバイデン大統領が日本の常任理事国入りを支持すると表明した、と誇らしげに発表した。
5月23日の日米首脳会談後の共同記者会見で、だった。
「改革された安保理において」という前提条件が付いたとはいえ、岸田政権にとっては大歓迎の「バイデン大統領の支持」だった。
日本は安倍晋三政権下で、集団的自衛権の限定的行使へとかじを切ったが、米国側では長年、日本が現憲法の下で集団的自衛権行使を禁止したままでは、国連安保理に求められる任務を果たせず、常任理事国となるのは偽善だとする反対論が表明されてきた。
日本が常任理事国になっても、自国にできない行動を他国に実行させることになるからだという指摘である。
国連の平和維持活動、平和執行活動は軍事力の集団行使や軍事的危険を除外できない、という自明の現実への言及でもあった。
米側でのこの趣旨の見解で最も明確なのは1994年1月に上院が全会一致で採択した決議だった。
ウィリアム・ロス議員(共和党)とケント・コンラッド議員(民主党)が共同で提出した決議案は以下の骨子だった。
(1)日本は憲法の規定により軍事行動をともなう平和維持や平和執行の活動に参加できないと宣言している。
(2)日本が参加できないという国際安保活動なしには国連安保理の通常の機能は果たせない。
(3)日本が現状のまま常任理事国になった場合、普通の理事国の責任や義務も果たせない。
(4)日本は自国ができない国連安保理の軍事行動を決定し、粫国に指示して他国の軍人を危険にさらす。
(5)米国は日本が憲法上のこの制限をなくすまでは日本の国連安保理常任理事国入りを支持すべきではない。
以上の決議の背景には当時のクリントン政権の日本の常任理事国入りへの支持の構えがあった。
この2年前、宮沢喜一政権は初めて常任理事国入りに意欲を表明した。
だが米議会は明確な反対を示し、日本側に憲法の規定の修正を求めたわけである。
常任理事国になりたいならば、まず憲法の修正を、という要請だった。
その後も米側では同じ趣旨をロス上院議員自身が94年後半に村山富市政権の高官に、2004年には2代目ブッシユ政権のアーミテージ国務副長官が小泉純一郎政権を支える与党幹部にそれぞれ伝えた記録がある。
ちなみにロス議員は終戦直後に若き米軍将校として日本占領のGHQ(連合国軍総司令部)に勤務してNHKの放送改革などを進めた知日派であり、日米同盟堅持という立場から日本への 友好的姿勢で知られてきた。
米側のそんな人物からも日本憲法の欠陥は30年近く前から指摘されていたのである。
(ワシントン駐在客員特派員)