文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

広島出身であるから核のない世界を目指すという短絡的な核廃絶の主張を繰り返す岸田文雄首相には理解し難いだろうが、

2022年11月05日 17時29分45秒 | 全般

以下は11月1日に発売された月刊誌「正論」の「特集・安倍元首相が蒔いた種」の冒頭に掲載された櫻井よしこさんの論文からである。
本論文は彼女が最澄が定義した国宝、至上の国宝である事を如実に証明している。
21世紀を代表する論文の一つであると言っても全く過言ではない。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
見出し以外の文中強調と*以下の注釈は私。
価値観と軍事力で 世界を主導せよ 
安倍晋三元総理は深く歴史に学んでいた。
地球上で展開される勢力争いを地図上で確認していた。
国々が国益を追求するその動きのひとつひとつが磁石の陰極とも陽極ともなって国際関係に劇的な変化をもたらす。
国際社会が安定に向かう条件を欠くいま、日本の置かれている歴史的地理的位置の特質はわが国の根本的覚醒なしには過酷な未来へとつながりかねないものだ。
安倍氏は日本の政治家の誰よりも、遠く未来を見据えて日本を守るには何をすべきかを考えていた。
総理在任中の動きを振りかえれば、安倍総理の歩もうとした道、築こうとした未来がくっきりと見える。
一言でいえばそれは独立不羈の精神を土台に、わが国の国柄を構成する価値観の旗を立て、同じ価値観を共有する国々との連携体制を組み上げていくことだろう。
その道を揺るぎなく進め続けて初めて、闊闥な未来社会が開けるはずだ。 
「核の使用」と日本の責任 
何時の時代も国際情勢は一瞬にして変わる。
広島出身であるから核のない世界を目指すという短絡的な核廃絶の主張を繰り返す岸田文雄首相には理解し難いだろうが、国際社会はいま、核の先制使用を正当化する中露北朝鮮の3国、とりわけロシアに関して、いつ、核を使うのか、我々に人類の破滅につながりかねないその暴挙を抑止する術はあるのかを真剣に論じている。 
ロシアは国連常任理事国でありながら核の恫喝をやめない。
中国も近未来に台湾や日本に同様の恫鴟をかける可能性がある。
そのような究極の危機を懸念して、安倍総理は、岸田氏の問題意識喚起のために、また、日本の安全保障のために「核共有を議論せよ」と提言した。
核アレルギーの強い日本で、共有、すなわち共同使用につながりかねない事案を問題提起したのには、理由がある。 
ウクライナ戦争で、万が一ロシアが核を使用した場合、アメリカはどう対処するのかと、米側との意見交換で小野寺五典元防衛相が尋ねた。
米国側は「アメリカが単独で核の使用を決断することはない。日本を含む同盟国と相談する」と答えた。
この会話を聞いた安倍氏は間髪を入れずに言った。
「どんなに小型の核でも、使ってしまえば千人あるいは万人単位の犠牲者が出る可能性があります。その場合、日本も責任を分担してくれということです」 
核被爆国だから、日本は核兵器には関わりたくないという姿勢はもう通じない。
核はアメリカに任せて、それで終わりという時代ではもはや、ない。
異形の国々の核に対する考えを認識し、日本も責任をもって備えなければならない時代に入ったのである。
プーチン露大統領は2020年6月、核使用を正当化する「ドクトリン」に署名した。
「ロシアの国家の存在が脅かされた場合、核使用の権利を有する」という内容だ。
周知のようにロシフはウクライナ侵略戦争で窮地に追い込まれている。
10月8日のクリミア橋攻撃への報復として、プーチン氏はウクライナ全土にミサイル攻撃を行った。
10日と11日の2日間だけでロシアは高価な巡航ミサイル84発、ドローン24機を投入し、その総コストは最大で7億ドル(約1020億円)に達すると米フォーブス誌は報じた。
10月11日、英情報機関・政府通信本部(GCHQ)のジェレミー・フレミング長官はロシア軍の物資と弾薬が枯渇しつつあり、口シアの人的被害は驚異的水準に達したと語った。
しかし、多くの国民が犠牲になっても、「一人の死は悲劇だが、百万の死は統計上の数字だ」というスターリンの言葉を信奉しているといわれるプーチン氏には、響かないであろう。
10月17日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で、ロシア当局が「リーハサル中の音楽家、配達中の配送人、泥酔した50代の男を連行した」との米紙ワシントン・ポストの報道を取り上げ、この種の事件が少なくないこと、ロシア政府が手当たり次第に軍事訓練を受けたこともない市民を連行し、戦場に送り出し、死なせていると非難した。
プーチン氏は追い込まれている。
ロシアが核使用に走る可能性に世界は正対しなければならない。
厳しい反撃があると伝えなければならない。
いつでも核を使えるとの構えを誇示するロシアにゆめゆめ誤解させてはならない。 
9月から10月にかけて異常な頻度でミサイルを発射し続ける北朝鮮は今年の9月8日に、最高人民会議で「核戦力政策に関する法令」を採択した。
金正恩総書記をはじめ国家の指導部が核兵器又は通常兵器で攻撃される、もしくはその危険が差し迫ったとされる場合、北朝鮮軍は即、核による先制攻撃に踏み切るとの内容だ。 
核に関する性急な法決定は韓国の尹錫悦政権の下で米韓両軍が対北軍事作戦及び金正恩暗殺の斬首作戦に備えて、合同訓練を開始したことへの反応とみられている。
そして中露北朝鮮の中で最も深刻な脅威である中国も核の先制使用に向けてきっちりと整備を進めていた。
2013年に2年ぶりに発表した国防白書から、11年の白書にあった「核の先制不使用」の記述が削除されていた。
中国が事実上、核戦略を転換したことを示す軍事活動もあった。
21年11月から12月にかけて、中国人民解放軍海軍の晋級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)が初の戦略哨戒任務を遂行したのだが、そこにひとつの変化が見られた。 
中国は1964年以来、-核の先制不使用」を唱え、証しとして核弾頭とミサイルを別々に保管してきた。
しかし前述のSSBNの戦略哨戒任務では核弾頭はミサイルに装填されていたとされる。
専門家らはこれを中国の核先制使用を示唆するものだとみている。
*にもかかわらず11/4、金儲けの算段のためだけに中国を訪問したドイツ首相ショルツの前で習近平は核の先制不使用等と言った報道された。
正に、「底知れぬ悪」と「まことしやかな嘘」の国に共産党の一党独裁の悪が加わった史上最悪の国家である事の歴然たる証明である* 
こうした状況下、NATO(北大西洋条約機構)が「定期的訓練」だとしながら、高度な核抑止力を維持するための核演習を開始した。
米国を含む14ヵ国が10月17日から2週間、ベルギー、北海、英国など欧州北西部上空で各国軍機最大60機が参加して、実弾こそ使用しないが核兵器の投下訓練も行う。
これは、そちらが撃てばこちらも撃つ。準備は整っていると見せつけ、ロシアを牽制することが目標である。 
ロシアも「定例」の核演習を計画中だ。
NATOはロシアが演習と称して核の実弾を使用する可能性を警戒し、核の実弾使用なら「ロシア軍消滅の結果が生じるだろう」と警告を繰り返す。
いまや核は使えない武器ではなく、「使える武器」だと見なされている。
「核の使用」にわが国も無縁ではいられないということだ。
この稿続く。



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