COP26のポイントは2つある。まず、中国は何一つ譲らず、完全に独り勝ちだった…
2021年11月25日
以下は11月22日、産経新聞に、譲らぬ中国 完全に独り勝ち、と題して掲載された、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹杉山大志氏へのインタビュー記事からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
COP26のポイントは2つある。
まず、中国は何一つ譲らず、完全に独り勝ちだったということだ。
2030年まで石炭火力も作り続ける一方、脱炭素化の目標は先進国が50年としたのに対し、中国は60年とするなど結局、所期のポジションから一歩も引かなかった。
もう1つは、先進各国は50年の脱炭素をCOPの場でも宣言しただけでなく、毎年、進捗をチェックすると自分たちから言い出したことだ。
これは、勝手に自分たちの首を絞めているようなものだ。
先進国は、二酸化炭素(CO2)を減らし、開発途上国にも多大な資金援助をすると約束したが、米国を筆頭に、各国国内で議会の承認を得られる見込みは低い。
来年のCOPで早速、進捗を確認するとしたが、ほぼ間違いなく言行不一致で猛烈に糾弾されるのではないか。
今回、岸田文雄首相が、短時間ながら現地に行くことができたが存在感を示すまでに至らず、"問題児"にもならなかった。
途上国などの気候変動対策支援に今後5年間で官民合わせて6.5兆円もの拠出を表明したが、日本の経済状況をみて、もっと国内で議論すべきだったのではないか。
COP26では石炭火力の議論が特に注目されたが、最終的には「段階的な削減努力」との文言にとどまった。
英国政府や環境団体は「石炭は終焉(しゅうえん)」と言いはやして回ったが、そんなことはない。
日本政府は、一定割合の石炭火力を堅持する方針だが、それに変更を迫るようなものではない。
これは重要な点だ。
原子力の存在も重要だ。
COP26ではあまり話題にならなかったが、フランスや東欧を筆頭に、本当に脱炭素を進めるならば原子力が大事だ、というのが世界的な流れになっている。
日本も原発の再稼働はもちろん、新増設や新技術の開発などに乗り出すべきだ。
現在、世界的にエネルギー価格が高騰し、再生可能エネルギー優先の脱炭素政策は早くも問題が露呈した。
現実的に脱炭素を目指すならば、再エネ最優先の考え方を今からでも見直し、原子力のさらなる活用を考えるべきだ。
(聞き手 那須慎一)
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
COP26のポイントは2つある。
まず、中国は何一つ譲らず、完全に独り勝ちだったということだ。
2030年まで石炭火力も作り続ける一方、脱炭素化の目標は先進国が50年としたのに対し、中国は60年とするなど結局、所期のポジションから一歩も引かなかった。
もう1つは、先進各国は50年の脱炭素をCOPの場でも宣言しただけでなく、毎年、進捗をチェックすると自分たちから言い出したことだ。
これは、勝手に自分たちの首を絞めているようなものだ。
先進国は、二酸化炭素(CO2)を減らし、開発途上国にも多大な資金援助をすると約束したが、米国を筆頭に、各国国内で議会の承認を得られる見込みは低い。
来年のCOPで早速、進捗を確認するとしたが、ほぼ間違いなく言行不一致で猛烈に糾弾されるのではないか。
今回、岸田文雄首相が、短時間ながら現地に行くことができたが存在感を示すまでに至らず、"問題児"にもならなかった。
途上国などの気候変動対策支援に今後5年間で官民合わせて6.5兆円もの拠出を表明したが、日本の経済状況をみて、もっと国内で議論すべきだったのではないか。
COP26では石炭火力の議論が特に注目されたが、最終的には「段階的な削減努力」との文言にとどまった。
英国政府や環境団体は「石炭は終焉(しゅうえん)」と言いはやして回ったが、そんなことはない。
日本政府は、一定割合の石炭火力を堅持する方針だが、それに変更を迫るようなものではない。
これは重要な点だ。
原子力の存在も重要だ。
COP26ではあまり話題にならなかったが、フランスや東欧を筆頭に、本当に脱炭素を進めるならば原子力が大事だ、というのが世界的な流れになっている。
日本も原発の再稼働はもちろん、新増設や新技術の開発などに乗り出すべきだ。
現在、世界的にエネルギー価格が高騰し、再生可能エネルギー優先の脱炭素政策は早くも問題が露呈した。
現実的に脱炭素を目指すならば、再エネ最優先の考え方を今からでも見直し、原子力のさらなる活用を考えるべきだ。
(聞き手 那須慎一)