ジャーナリスト堤堯氏と久保紘之氏は月刊誌Hanadaで毎号「蒟蒻問答」と題した対談を続けている。
以下は11/26に発売された月刊誌Hanadaに、核のボタンを握る まだらボケのバイデン、と題して掲載された第197回からの抜粋である。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
前文省略
見出し以外の文中強調は私。
安倍の危惧が現実に
堤
二コライニ世は、ボリシェビキの兵士によって家族ぐるみで銃殺された。
これを命じたレーニンは、ドイツ政府が封印列車でロシアに送り込んだ。
狙いどおり、レーニンは東部戦線の休戦(ブレストリトフスク条約)をやってくれた。
レーニンはドイツの回し者だよ。
新皇帝プーチンもボヤボヤしていると、前線兵士の反乱とそれを後押しする銃後の反乱で、二コライニ世と同様、おかしなことになりかねない。
先に述べたように、逃げを打ち始めているけど危うい。
ところで国内に目を向けると、相変わらずくだらんことばかり議論している。
統一教会の被害者救済の法案がどうのと騒いでいるが、何を言っているんだ、すでに被害者を救済する法律はあるじゃないか。
岸田は「既成の法律で足ります」と一言いえば話は終わりだ。
久保
そうしたら、共産党の志位あたりに「じゃあ、安全保障でもいまの法律で足るので、憲法改正はしなくていいですね」なんて返されちゃうかもしれませんよ(笑)。
堤
編集長をしていた『諸君!』で毎号、匿名代議士座談会をやった。
湾岸戦争の時に、出席した自民党の議員がこう言った。
「横須賀などから、湾岸戦争に向けてアメリカの原子力潜水艦や空母が出て行った。いまや日本は空っぽの状態だ。なぜ野党は『日本にさしかけられた核の傘がなくなっている。どうやって日本を守るのか』という議論を仕掛けて来ないのか。野党の役目って、そういうもんでしょう。それが全くダメ。逆に横須賀が空になったことを喜んでいる。バカじゃないの」
いまになっても、日本の安全保障体制はこの体たらくだ。
久保
野党が、なぜ安全保障で突っ込んだ質問をしないのか。
簡単な話で、リアリズムに徹して日本の安全保障の問題を議論すればするほど、自民党の意見や政策に賛成することになってしまうからです。
だから、モリ・カケ・サクラ・統一教会といった細部のくだらん話をつっつくだけなんです。
堤
一方、憲法論議はどうなのか。
岸田は「任期中に憲法改正を実現したい」と言うけど、なぜ野党議員は訊かないのかね。
「任期中? そもそもアンタの任期って、一体いつまでと思ってるんだ?」とね。
久保
明日、任期が終わるかもしれない(笑)。
堤
岸田は何についても具体的な数字や期限を決めない。
防衛費についても、参院選の公約には当初「抜本的に強化する」としただけで、具体的な目標数値を入れなかった。
それではダメ、と注文をつけたのは他ならぬ安倍だ。
「五年以内に防衛費をGDPの二%以上に上げる」と具体的な数字を挙げた内容を方針に盛り込むべきだ、と要求した。
同じように、憲法改正だって、何年までに何をどうすると具体的に数字と工程を出さないと、いつまで経っても何も進まない。
久保
その防衛費だって、海上保安庁など安全保障にかかわる予算を組み入れた枠組みで「水増し」しただけでしょう。
防衛省の予算を「真水」で増額しなければ意味がない。
岸田は、生前、安倍が危惧したように、予算拡充を防ぎたい財務省の入れ知恵で、マインド・コントロールされてしまったんでしょう。
食うや食わずの北朝鮮ですら、あれだけミサイルを撃って、ロシアにも砲弾を送り、頑張っている。日本も少しは見習ったらどうだ?(笑)。
トランプが返り咲いたら、金正恩も少しはおとなしくなるかな。
あいつはファザコンだから、強い男に従う傾向にありますからね。
でも、安倍がいるからこそトランプに期待するのであって、安倍のいないトランプなんて、日本にとってはたしてプラスかマイナスか、分かったものではありませんよ(笑)。
堤
それより、安倍のいない日本がどうなるかをもっと考えないといけない。
考えれば考えるほど、どの分野でも安倍の不在が認識される。
いまさらながら、いかに彼の存在が大きかったかがわかるね。
つつみぎょう
一九六一年、東京大学法学部卒。同年、文箱春秋入社。『文藝春秋』編集長、第一編集局長、出版総局長などを歴任。常務を経て退社。著書に「昭和の三傑-憲法九条は「救国のトリック」だった』等がある。小誌連載「ある編集者のオデッセイ」でおなじみ。
くぼこうし
一九四〇年生まれ。中央大学卒業後、産経新聞に入社。政治部、論説・編集特別委員を務める。同紙コラム『平成の考現学』を連載。二〇〇四年に退社。著書に『田中角栄とその弟子たち』(文箱春秋)、『天下不穏』(扶桑社)。