文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

しかし、マスコミ報道は、こうしたマクロ経済ではなく、交易条件の悪化などごく一部の現象のみを取り上げて「円安が悪い」と印象操作をしている。

2022年10月21日 15時39分41秒 | 全般

以下は今しがた発見した高橋洋一(嘉悦大)氏のツイートからである。
@YoichiTakahashi
見出し以外の文中強調は私。
【日本の解き方】
円安メリット生かす好機だ 古今東西、自国通貨安はGDPにプラス要因 金融引き締めで不況招いた「平成の失敗」を繰り返すな 
https://www.zakzak.co.jp/article/20221021-ZNK4T2WK2BPVXLLR57P4JZ35QA/
外国為替市場の円相場が一時、1ドル=150円近辺と、1990年以来の水準となった。
円安は国内総生産(GDP)にとってプラス要因だ。
これは、古今東西、自国通貨安は「近隣窮乏化政策」(Beggar thy neighbour)として知られている。

通貨安は輸出主導の国内エクセレントカンパニーに有利で、輸入主導の平均的な企業に不利だが、全体としてプラスになるので、輸出依存度などに関わらず、どのような国でも自国通貨安はGDPにプラス要因だ。
もしこの国際経済常識を覆すなら、世紀の大発見だ。

このため、海外から文句が来ることはあっても、国内から円安を止めることは国益に反する。
これは国際機関での経済分析からも知られている。
ちなみに、経済協力開発機構(OECD)の経済モデルでは、10%の円安で1~3年以内にGDPが0・4~1・2%増加する。

その証拠に、最近の企業業績は好調である。
直近の法人企業統計でも、過去最高収益になっている。
これで、法人税、所得税も伸びるだろう。
しかし、マスコミ報道は、こうしたマクロ経済ではなく、交易条件の悪化などごく一部の現象のみを取り上げて「円安が悪い」と印象操作をしている。

「32年ぶりの円安」というが、1990年はバブル経済の絶頂から崩壊を迎えた時期だ。
当時のマクロ経済指標はどうだったのか。
名目GDP成長率が7・6%増、実質GDP成長率が4・9%増、失業率2・1%、消費者物価指数上昇率3・1%と文句のつけようもない数字だ。

バブル期というと、ひどいインフレと思い込んでいる人もいるが、そうではない。
頭の体操だが、もし当時、今の「インフレ目標2%」があったらどうなのか。
昨今の欧米の例をみても、4%くらいまでは金融引き締めをしないのが通例なので、金融引き締めをしてはいけないとなる。

実際には、マスコミが三重野康日銀総裁(当時)を「平成の鬼平」ともてはやして、金融引き締め(金利引き上げ)を後押しし、日銀もそれに従ったが、それは間違いだった。
筆者の見解では、日銀はこの間違いを「正しい」と言い続け、間違いが繰り返されたので、平成不況の元凶になった。

90年と今との違いは対外純資産だ。
90年末は44兆円だが、2022年6月末(1次推計)は449兆円。
円安メリットは大きくなっている。
その中でも最大のメリットを享受しているのは外国為替資金特別会計を持つ日本政府だ。

GDPをドル換算して「日本のGDPランキングが下がった」と言い、円安を悪いものとして煽る論調もあるが、円払いの給与がほとんどである日本人には無意味なことだ。
むしろこれまでの円高で成長が阻害された結果を表しているとみたほうがいい。

しかし、外貨債を持っている日本人にとって円安メリットは現実のものだ。
最近の円安によるGDP増加要因で、日本経済は1~2%程度の「成長ゲタ」を履いており、他の先進国より有利になっている。

1990年の失敗を繰り返さず、この好機を逃してはいけない。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

 



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