文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

今や欧米諸国が実質的には離脱しつつある脱炭素路線に日本だけが固執するのは、自殺行為に他ならない。

2022年07月03日 16時02分12秒 | 全般
以下は発売中の月刊誌「正論」に、脱酸素一本槍は自殺行為だ、と題して掲載された杉山大志の論文からである。
本論文も彼が戦後の世界で有数の研究者であり言論人である事を証明している。
同時に、本論文は2014年まで朝日新聞に支配されていた日本の全ての政党や官僚が如何に愚劣で低能な頭脳しか持ち合わせていなかったかを嫌と言うほど証明している。
彼らと世界のメディア等は似非モラリズムやポリティカル・コレクトネスを振り回して来た。
それがどれほど愚劣な事であり、国や世界に対して、どんな結果をもたらすかも本論文は証明している。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
見出し以外の文中強調は私。
以下は前章の続きで、最終章である。
エネルギー優勢を確立せよ
米国共和党でかつてトランプ政権の国務長官を務めたマイケル・R・ポンペオが米シンクタンク・ハドソン研究所から「ウクライナの戦争は、なぜ世界が米国のエネルギー・ドミナンス(優勢)を必要とするのかを明らかにした」という論説を発表した。
「気候変動活動家に後押しされバイデン政権はアメリカの石油、天然ガス、石炭、原子力を敵視する政策をとってきた。これがなければ、米国も欧州も戦略的にはるかに有利な立場にあり、プーチンのウクライナでの戦争を抑止できた。欧州はロシアのエネルギー供給に依存して脆弱性を作りだしてきた。だが本来は、それは米国が供給すべきものだったのだ。 …我々は、米国のエネルギーの力を解き放たねばならない。天然ガスやクリーンコール(環境負荷の少ない石炭)などのクリーンエネルギーを、欧州やインド太平洋地域の同盟国に輸出する努力を倍加させねばならない。我々共和党は秋の中間選挙で大勝し、彼の環境に固執したエネルギー政策を覆し、米国のエネルギー・ドミナンスを取り戻す」 
何と力強い言であろうか。
ポンベオ氏はエネルギーを国家経済の兵站と位置付けていることが分かる。
兵站を軽視する国は敗れる。
これは日本にとって、第二次世界大戦の重要な教訓だったはずだ。 
これから秋の中間選挙、そして次の大統領選挙を経て、米国共和党が世界を変えてゆく可能性はかなり高い。
日本は、そのときの対米関係まで予想して、バイデン政権の下でのいまなお脱炭素一本槍のエネルギー政策とは距離を置くべきだ。 
具体的にはどうするか。
日本は資源に乏しいので単独ではエネルギー・ドミナンスを達成することはできない。
だが米国と共にアジア太平洋におけるエネルギー・ドミナンスを達成することはできる。
それは、ポンぺオが指摘しているように、天然ガス、石炭火力、原子力などを国内で最大限活用すること、そして友好国の資源開発および火力発電事業に協力することだ。
この時には、日本の優れた火力発電技術が活用できる。 
いま日米がエネルギー・ドミナンスに舵を切らなければ、中国に打倒されるだろう。 
ウクライナ戦争後のエネルギー危機を受けて、中国は年間3億トンの石炭生産能力を増強することを決定した。
これだけで日本の年間石炭消費量の倍近くだ。
また中国は25年に原発の発電能力を7,500百万キロワットまで増やす計画で、30年には1億2000万キロワットから1億5000万キロワットを視野に建設認可を進めている。
これはフランスと米国を追い抜く規模である。
安価で安定した電力供給を中国が確立する一方で、脱炭素で高コスト化し脆弱な電力しか日米に無ければ、我々はいったい戦えるだろうか。 
日本は電力自由化の名の下、大手の電気事業者を解体・弱体化する一方で、政府は諸制度によって安定供給を担保する方針だったが失敗し、電力不足に陥った。
やはり長期的・戦略的視野に立って安定供給を実現するには、責任を持った強くて統合された電気事業者が必要なのではないか。
それは米国と共にエネルギー・ドミナンスを達成する条件でもあるまいか。 今や欧米諸国が実質的には離脱しつつある脱炭素路線に日本だけが固執するのは、自殺行為に他ならない。





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