ツバメも来る家

わが家にここ数年ツバメが巣をかけます。ツバメのことだけでなく身の回りのことを綴っていきたいと思います。

贈る言葉、贈られる言葉

2015-12-13 | ことば
贈る言葉

前回投稿の終活のときにかあちゃんの横にわたしたち世代の女性が座っていました。
聞かないのにこんな話をしはじめました。
病床の主人に「愛してる」と言ったんですよ。
それを聞いた主人は「馬鹿か」と言いました、と笑われました。
わたしたちは黙って聞いていました。

「それで初めて川柳を作りました。愛してる 言ったわたしが 馬鹿でした」
「主人は亡くなりました。今は公民館のサークルで川柳を作っています。楽しいですよ。おいでませんか」

亡くなる前に病床のご主人に愛してると言われたのでしょう。

今もご主人を愛してあるのでしょう。これからも川柳をたくさん作ってくださいと言って別れました。

贈られる言葉

この話を聞いてから十数年前に聞いたことを思い出しました。

多分50歳代の奥さんだったと思います。娘さんが3人と言われました。当時一人は結婚されたということでした。
ご主人は何年も前に亡くなられたそうです。

その病床のことです。言葉もしゃべれない状態になった時のことです。

奥さんをベッドの側に呼んで、目を見ながらゆっくり親指、人差し指、中指、薬指、小指、の順に折っていかれたそうです。
ご主人は子ども3人を残し、両親もいられたと聞いたようです。まだ彼岸には行きたくない、行かれない、思いだったでしょう。

親指から小指までゆっくり折られたのを奥さんは「あ・り・が・と・う」と読まれて、しっかりその手を握り返されたそうです。